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地球のはなし 瀬戸内小旅行

 いささか旧聞ながら、7月の末、高松に行った。香川大学のS教授が引き受けておられる、日本温泉科学会の事務局に用事があったのだ。

 それはそれとして、高松訪問には個人的な楽しみもあった。というのは、讃岐は私の家の出身地だし、高松郊外には由佐という地名があると聞いていたからである。

 あいにくの雨天の中を、S教授が自らの運転で案内してくださった。その地は現在、高松市香南町になっていて、およそ10年前に開館した歴史民俗郷土館に、さまざまな資料が展示されている。直接の先祖かどうかは分からないが、自分の姓が載っている文書などを見るのは、なんとも不思議な感じであった。

 この旅行は鉄道と船を使った。往きは、新幹線経由、岡山で瀬戸大橋線に乗り換えて高松へ。待ち時間も入れて、4時間半。

 帰りは、松山を経由して八幡浜に出、フェリーで別府・観光港着。待ち時間込みで、7時間。

 というわけで、瀬戸内海を3分の2周ぐらいはしたことになる。やや時間が掛かるものの、適当に乗換えがあるし、景色も変化するから退屈はしない。1人旅には、手ごろなコースである。中で、佐田岬半島の稜線に風力発電の巨大な風車が20基ほど並んでいたのは、壮観であった。

 私は、別府湾に入ったころから正面に展開する鶴見の山なみが好きで、フェリーを選んだのはそれを見るためでもあったのだが、残念ながら靄のためぼんやりしていた。またの機会が残されたと思いたい。
                                                                                              (2007.9.27)

別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--


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