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地球のはなし マッチポンプ

 18世紀半ばに始まった産業革命を契機として、資源とエネルギーの大量消費が可能となり、人類は格段に便利な生活を手に入れた。消費するからには、それに見合う廃棄物を放出せざるを得ない。それらの集積が、地球温暖化を始めとする環境の劣化をもたらした。

 この温暖化への警鐘と改善への努力に対して、2007年のノーベル平和賞が授けられたのは記憶に新しい。

 温暖化防止を実効あるものとするため、さまざまな取り組みが行われている。敬意を表したい。ところが、どうにも腑に落ちないことがある。

 最大の原因とされる二酸化炭素の排出権取引である。国際的取り決めによって、排出量を減少させる数値目標が定められている。その数値は、あくまで最低限の目安であって、その量までは排出する権利があるというものでは無かった筈だ。

 それが今や、不思議にも排出権なるものが存在し、それを売買することが大きなビジネスであるという議論がまかり通り、「ちょっとおかしいのでは?」という意見は封じ込められそうになっている。

 今の温暖化の主要な原因が人為的なものであることは、もはや否定できないであろう。その原因を軽減することが金儲けの手段になるとは、まるでマッチポンプではないか。私の理解が浅いのかもしれない。心に届くきちんとした説明が欲しいものである。
                           (2008.4.15)

別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--

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