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地球のはなし 臨時の独居

 7月末から8月初めにかけての2週間を、1人で過ごすことになった。臨時の独居である。旅行に出るのに好都合と思ったが、ポツポツと会議などのスケジュールが詰まっていて、別府を離れるわけにはいかなかった。

 最大の問題は食事だが、自炊することにした。炊事は嫌いではない。というより、テレビの料理番組は喜んで見る方だから、好きな部類に入るかもしれない。

 そういうわけで、わりに面白がって、朝・昼・晩の3度の食事を作った。

 外食は昼2回、晩1回だけ。

 スーパーで買った出来合いのものは、寿司・トンカツ・トリテンの3品だけ。

 ハンバーグはうまくできた。季節のゴーヤチャンプルも作った。どの料理も見た目はよくなかったけれど、独酌もすすんで、それなりに楽しんでいた。

 ところが、ある日の夕方、夕刊を取りに出ようとしたら、玄関の鍵がかかったままだったのである。一度も外に出ていなかったのだ。約束していた会議に出たり、人と会ったりした以外は、引きこもり状態の日が続いていた。

 この間は、あちこちで記録的な豪雨があり、別府でも雨天が続いた。

 外出するのが億劫な天候であったにしても、孤立的な状態を、当たり前のように受け入れてしまっていたのである。加齢した独居人の問題を考えさせられた次第だ。
                                                                                              (2009.8.31)

別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--

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