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「立皇嗣(りっこうし)の礼」ってどんな儀式なの?

昨年の5月1日、今上陛下は上皇陛下から「天皇」の御位を承継されました。それに伴い、弟君である秋篠宮親王殿下が皇位継承の第1順位にある「皇嗣」というお立場を承継することとなりました。

11月8日に行われる「立皇嗣の礼」は、秋篠宮殿下が皇嗣のお立場になられたことを国内外に宣明する国を挙げての儀式です。感染症の影響により、本来4月19日に行われる予定でしたが延期・縮小となりました。

想いを新たに、日本国の象徴として、ご兄弟で新たな一歩を踏み出します。

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「皇嗣」ってどんな役割なの?

皇嗣とは、天皇の位を継ぐ皇位継承第一位のものと規程されています。その上で天皇との関係により、男性の嫡子であれば皇太子という特別な呼称が付くこととなります。

天皇の即位の際、その御証として受け継ぐ三種の神器があるように、皇嗣の証として陛下から壷切御剣(つぼきりのぎょけん)という御剣を受け継ぎます。

天皇の御臨祭の際には神器の御動座があるように、以降、祭儀の際にこの御剣は、皇嗣の証として侍従がお近くで捧持、随従することとなります。

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この儀式が終わり、正式な形で皇嗣の御位に着かれる儀式が完了すると、秋篠宮殿下は今までは殿外にて洋装での参列者としてのお立場でしたが、今回の儀礼を経て、明確に天皇を補佐する祭祀の執行者として、自らご潔斎(けっさい:身を清める)の上、古式装束を身に付け、殿内にて陛下とご一緒に神事に直接携わられるお立場となられます。

宮中では、日々の日供の儀(毎朝のお祈り)や毎月3度の旬祭(毎月1日・11日・21日に行われる祭典)はもとより、年間約20件以上の重儀が途切れることなく執り行われており、天皇と他の皇族は、宮中祭祀においても違いが大きく表れます。天皇はそれらの「祭祀を司るご存在」であり、皇嗣は「そのお立場を継ぎ、補佐するもの」となります。

立皇嗣の礼は、外向きには皇位継承順位第一位としてのお立場とその誓いを天皇が「内外に宣明する儀式」であり、内向きには天皇の次を継ぎお側で支える「祭祀の執行者としての承継の儀式」なのです。



◆「立皇嗣の礼」奉祝御朱印

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初穂料 1,000円(11月1日〜末日迄・書き置き飲みの授与)

11月末日まで、奉祝事業の一環として「立皇嗣の礼」奉祝御朱印を授与しております。
奉祝の祝詞を添え、新しい時代の始まりを祝うイラストをあしらった透かし紙を上から貼る形の二層式の御朱印となります。

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桜が舞い散る春のうららかな陽気のなか、イノシシと狛犬、境内のネコが儀礼の様子があしらわれた屏風の前で真似をして遊んでいます。

その様子をノリノリで撮影するのは、芸術の神様である御祭神 小野篁公。
動物たちも撮影クルーとしてお手伝い。ひとつの時代に一回だけの大事な儀式のお祝いをしています♪

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4月にお出ししたものから印の色(金→銀)と日付を変えたものになります。書置きのみの授与となります。
リーフレットの文章が旧来の日時を前提として書かれておりますので、混乱の無きようお願いを申し上げます。

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立皇嗣の礼 儀式一覧

11月5日
「神宮神武天皇山陵昭和天皇山陵に勅使発遣の儀」

皇霊への報告の儀を行う為、勅使を発遣する。

11月8日
「神武天皇山陵に奉幣の儀」
 於:神武天皇山陵
「昭和天皇山陵に奉幣の儀」 於:昭和天皇山陵
「立皇嗣の礼 奉告祭」 於:神宮
勅使による奉告祭を行う。

「賢所皇霊殿神殿に親告の儀」
 午前8時 於:宮中三殿
天皇が、宮中三殿にそれぞれご親告を行う。
(御拝礼になり,立皇嗣の礼挙行の旨の御告文をお奏しになる)

「立皇嗣宣明の儀」
 午前10時40分 於:宮殿 春秋の間
天皇が立皇嗣の宣明を行い、皇嗣は敬礼の後、誓詞を奏上する。

「皇嗣に壺切御剣親授」
 午前11時25分 於:宮殿 鳳凰の間
天皇が壺切御剣を皇嗣にお授けになる。
(宣明の儀のすぐ後に、部屋を変えて行われる)

「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」
 午前11時35分 於:宮中三殿
皇嗣が、宮中三殿にそれぞれご報告を行う
(掌典長が祝詞を奏上し、皇嗣が御拝礼になる)

「朝見の儀」
 午後4時15分 於:宮殿 松の間
天皇に皇嗣が宮中三殿への拝謁を報告、謝恩の辞を述べ、儀式用の祝膳を囲む。


※賓客と食事を共にする祝宴「宮中饗宴の儀」「一般参賀(記帳)」についてはは中止となる。神宮御参拝、神武天皇山陵御参拝、昭和天皇山陵御参拝については、別途決定。すべて宮内庁 大礼委員会議事録より抜粋。

戦前の立太子の礼は、宮中三殿の賢所の内陣、天照大御神の御前にて天皇から皇嗣に御証となる壷切御剣の親授がなされ、そのまま立皇嗣の宣明を行うという流れでしたが、今回の「立皇嗣の礼」は、政教分離の原則に則り、天皇の”国事行為”として、平成の「立太子の礼」をモデルに行われます。

陛下が早朝に宮中三殿にご奉告のお祭りをされた後、宮殿にて皇嗣の任命を内外に宣明する”おことば”を述べられ、それを受けた秋篠宮殿下が決意を表明、その後、別室にて御剣の親授を行い、皇嗣は宮中三殿に拝礼、という形がとられます。


麗しい和の時代に

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この立皇嗣の礼をもって、今回の御代替わりに関わる一連の祭儀が幕を閉じます。今上陛下が一貫した強い覚悟を持って自らお示しになられたのは、
「受け継がれてきた日本という文化を継承し、次の時代につなげる」ということ。

即位の際の“おことば”にも、その想いは込められています。

ここに,皇位を継承するに当たり,上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し,また,歴代の天皇のなさりようを心にとどめ,自己の研鑽さんに励むとともに,常に国民を思い,国民に寄り添いながら,憲法にのっとり,日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い,国民の幸せと国の一層の発展,そして世界の平和を切に希望します。
(宮内庁 天皇陛下のおことば より一部抜粋)

上皇陛下の御心は、しっかりと今上陛下に受け継がれていらっしゃいます。

これからの日本を生きる私たちのミッションは、
新しい時代のはじまりに心からの祝意を捧げるとともに、この令和の御代を共に歩み、「麗しい和の時代」にしていくことではないでしょうか。

感染症が猛威を振るう中、縮小をしての挙行となりましたが、この御心を繋ぐ儀式を通じて、受け継がれてきた日本を知り、新しい時代のよりよい日本に想いを馳せる前向きな機会になればと思います。

共に心よりの奉祝の誠を捧げ、国家の平安と皇室の弥栄をお祈り申し上げます。




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