恩師・蒲島郁夫の言葉「期待値を超えよ」

私の大学のゼミの恩師である、蒲島郁夫先生(現熊本県知事)から、学生時代から常に聞かされていた言葉があります。「期待値を超えよ。そのために120%の努力をしなさい」

私は、そのときから、何か仕事を任されたとき、この言葉を心に留めて取り組むようにしています。

学生さんや若者たちに対して講演する際には、よくこの「期待値を超えよ」という言葉の意味をお伝えするのですが、以下のように説明しています。

皆さんがラーメン屋さんに入ってラーメンを1杯注文します。800円です。さあ、そう待たずしてラーメンが出てきました。食べたところ、麺もシコシコ、スープもアツアツでコクがあって塩加減もよい。「いやー、おいしかった。期待した以上の満足度があったな~」。こうなれば、皆さんは、「また来ようかな」となります。リピーターの誕生です。また、友達にも「あそこはおいしかったよ」とすすめます。口コミが広がっていきます。そうなると、どんどん繁盛するお店になっていきます。

反対に、期待したほどおいしくなかった場合や、お店の対応が悪かった場合は、「もう来なくていいかな」「人にすすめるのはやめよう」となります。そうすると、お客さんはまったくつきません。だんだんと売り上げも減っていきます。

別にラーメン屋さんに限った話ではありません。私たちが仕事をするとき、何か頼まれごとをするとき、相手は必ず自分に対して期待値を設定します。その期待値を上回る結果を出したとき、相手は「ここまで頑張れるんだったら、次もまた頼もう」「次はもっと大きな仕事を与えよう」と考えるのです。そうすることで、信頼を得て、大きな舞台が与えられ、成長につながっていきます。

反対に、期待値を上回れなかった場合、「ああ、もう頼むのはやめよう」「このぐらいの仕事しか任せられないかな」となってしまいます。

蒲島先生は、期待値を超えるために「120%の努力をせよ」と言い続けてきました。自身の人生もそうして逆境から乗り越えてきたのでしょう。もちろん、いつも成功するとは限りません。ですが、120%の努力を続けていれば、どこかで大きく飛躍する可能性があります。

私は、この蒲島先生の言葉の補足として、若い方々にこうもお伝えしています。前提として大事なのは、相手の期待値がどこにあるかを正確に把握すること。これを間違ってしまうと、あさっての方向に努力してしまうことになります。そのためには、相手の立場に立って、一体自分に何を求めているか、どんなコミュニケーションを必要としているかについて、考えをめぐらせることが必要だと考えています。

考えてみれば、私たちは、毎日、誰かから何かを頼まれています。そこには、かならず期待値が設定されているのです。それが何かを考え、期待値をクリアするために120%の努力をしていくことをコツコツと繰り返していくことにより、気づいたら大きく成長している自分がいることでしょう。

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