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ピック

皆さんにとってはどうでもいいことだと思うけれど、僕にとっては一大事が起きている。その事が気になって夜も眠れない(とまでは行かないから大丈夫)。ギターを弾く時に右手にピックと云うのを持つのだが、それがフラットタイプになったと云うお話。何のこっちゃ、である。

ピック

白いのがフラットピック。右の黄色っぽいのはサムピック。そのサムピックを長年愛用していた。これを使っている人はあまりいない。それがひねくれ者の僕にはかなり重要なポイントであった。これでどんな曲でも弾いた。ロックでもファンクでも歌謡曲でもボサノヴァでもサムピックで弾いていた。使い慣れない人には「よくそれで弾けますね」と感嘆されたが(呆れられていたのかも知れない)それも僕の自尊心を満たした。まあそれだけではないのだけれど。

以前のフラットピックの持ち方

あまりサムピックを使っていなかった1990年半ば頃の僕のフラットピックの持ち方。あまりピックの先が下に出ていない。一目瞭然なのだがピックの向こう側の人差し指の先が見えている。この持ち方だと上から下にピックを弦にコンタクトさせようとするとまず人差し指の爪が弦に当たる。それからピックが弦に当たる。人差し指の爪とピックは一蓮托生。全ての演奏曲の全てのダウンピッキングがこうだったかは判らないが、とにかくこれで演奏していると人差し指の爪がどんどん削れてくる。2時間もライブをやればかなり深く削れる。これが連日のライブになってくると爪がもたない。この悩みを解消してくれたのがサムピックだったのだ。

サムピック

サムピックはこうして親指に装着して使う。これだと人差し指を添えなくてもピックが固定されているので人差し指の爪のダメージを大幅に軽減出来る。そしてこれだとピックを飛ばしたり落としたりすることもない。僕の敬愛するジョニー・ウインターやパット・シモンズと云ったギタリストも使用しているし、何より一時期ギブソン・ファイアーバードをメインギターとしていたのでその組み合わせは好事家にはすぐ「ジョニー・ウインターがお好きなんですね」と判る仕組みにもなっていた。それにしてもサムピックでアップピッキング(下から上)を普通にやっていると「引っかかったりしないですか」と良く云われた。自分としてはベースのスラップ奏法(昔はチョッパーって云いましたよねチョッパー)よろしく、手首の回転を使って親指を弦に当てる感じで何の問題もなく弾けていた。苦労して練習した記憶もない。いつの間にかこれで何でも弾けるようになっていたのだ。何よりも右手がピックを持つと云う仕事から一つ解放されて、自由気ままであったのが楽だった。しかし制約もある。その一つが、弦に対してピックの当たる角度が一定に近くなると云う点。これは含み損として今まであまり顧みてこなかった点なのだが、これを最近とても大事に思うようになってきた。ギターの音色、鳴り、聞こえ方に大きく関係するからだ。レコーディングではフラットピックを使うこともかなりあった。ライブでは一貫してサムピック。でもライブでもレコーディングのそのニュアンスを再現したくなった。そしてふと自分のフラットピックの持ち方を見てみたら、以前と全く変わっていたのだ。あら、あたしったらこんなことができるのね。そんな驚きがあったのだ。灯台下暗し。

現在のフラットピックの持ち方

これまた一目瞭然。かなり長くピックの先が出ている。これはサムピックを使っていたからこそ会得したもので(会得なんて大袈裟か)ピックだけを弦にコンタクトさせられる。使うと云う点ではフラットピックに戻した形になるが、そうではなくてフラットピック→サムピック→フラットピックと進化してきていて(進化も大袈裟か)弾き方が全く変わったのだ。これを一大事と云わずして何と云う。ピッキングの角度、ピッキングのスピード、強弱、ピッキングの場所、サムピックを使っていた時の自由さを加えて、新しい自由さを手に入れたような気持ちになっている。実際このところの連日のライブで試してみたが、爪のダメージも少なく(やはり多少は削れちゃう)これならフラットピックでいけると云う確証も得た。暫くはこれで行こう。

ピック

フラットピックはここ20年近く同じ素材で作ってもらっていたけれど、これも見直すチャンスである。これから色々な素材で試してみるつもりだ。こんな内容はギター専門誌にでも載れば良いのだけれど、今年還暦になるようなギタリストがピック変えたんですぅーなんてそんなの取材に来ないだろうから自分で書いた。これが自助ってヤツか。違うか。これ読んだ人が10人くらいなるほどねと思ってくれればイイや。とにかく書いてスッキリした。他にも書かなければならないことがいっぱい溜まっているんだけれど中々これが書けずにいる。この夏はバンドの練習も、文章を書くのも、がんばってやろうと思う。それに加えてあれもやらなきゃこれもやらなきゃである。本も読まなきゃ。ああ忙しい。書きたいけど書けないこともいっぱいある。やっぱり国(以下略)。

末永くがんばりますのでご支援よろしくお願い致します♫