第4話 セブンプレミアム ゴールド/金のビーフシチュー
世の中には避けて通るべき話題がある。みなそれぞれに信ずるところ・好みとするところがあるが、話題にしてしまうと故意であれ不用意であれ紛争の引き金となってしまう類のものだ。
酢豚にパイナップルを入れるか・入れないか。マクドナルドのサブメニューはフライドポテトかナゲットか。汁粉はつぶあんかこしあんか。ああ、くそ。これについても言及しなければならない。美味いのは「たけのこの里」か「きのこの山」か。
どれも根深い問題であるが、たけのこの里ときのこの山に至っては1980年代に入りチョコレート分離主義・チョコレート混合主義との間に勃発した「きのこたけのこ戦争」が2019年現在いまだ未解決であるほど問題を引きずっている。
あらたな火種の投下は避けたいところだが、俺的良品を謳っている以上この問題は避けて通ることは困難であるし、果敢に立ち向かわなければならない。
それが、セブンプレミアム ゴールドどれが一番美味いか問題だ。
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結論として、セブンプレミアム ゴールドその頂点に君臨するのは「金のビーフシチュー」と言わざるを得ない。
アンガス種黒毛牛肉を具材・出汁に惜しげも無く使用し、赤ワインを加えられたブラウンルーとデミグラスソースによって、実に自然な風味とコクが生まれ、そして切れ味のよい後味に仕上がったビーフシチューだ。
初めて食したときには驚嘆した。星付きレストランで出されたとしても何の疑問も生まれないだろうこの本格的で深みのある味を、あろうことか300円台のコンビニエンス ストアのレトルトパウチに閉じ込めてしまうとは。ルーの凝縮された味わいはもちろんのこと、具材である牛肉やじゃがいもにも十分な旨味が浸透し、そしてホロホロ・ホクホクとやわらかく舌の上でとろける。
加えて、同じくセブンプレミアム ゴールドの仲間である「金の食パン」との相性の良さも筆舌にしがたいところ。
セブンプレミアム ゴールド シリーズの味はコンビニ食の次元を既に超えており、いずれのメニューもたいそう優秀であることは否めない。その中から「金のカレー」「金の直火焼きハンバーグ」を王に選出したい諸君の気持ちは分からなくもないが、個人的に言えば彼らの存在は特にカレーにおいては白米を無しに語れない。単独にして王。それがビーフシチューを選出した理由である。
世界が終焉を迎えるとき最後の晩餐に何を食すか。気に入ったレストランの料理を挙げる人も多いだろう。しかしレストランのシェフも人間だ。あなたがもし思慮深い人間であるのなら、ぜひ彼らにも家族や友人と過ごしてもらう選択肢を与えるということを考えてみてほしい。そうなったとき、ある程度の保存が利き・温めるだけで味わえる極上のビーフシチューはいかがだろうか。
大げさなことを語ったが、つべこべ言わずストックをしろ。仕事から疲れて帰ってきて、パッケージのまま電子レンジに入れ、2分40秒で極上ビーフシチュー。あたたまるぞ、最高だろ。
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