第2話 Goodwear/ポケット Tシャツ
主役としても着られる無地のTシャツ。むろん夏のあいだの活躍が多いが、春や秋にもインナーとしての登板が期待される相棒は皆にもあるだろうか。
薄く肌触りがなめらかで羽のように軽く、体にぴたりとフィットする無地のTシャツも魅力的ではあるが、どんなに丈夫を謳ってもやはり限度というものは存在する。洗濯を重ね一年も経つ頃には首まわりの伸びが目立ち全体的に型くずれを起こしてしまい、次のシーズンには新調することを考えるはずだ。
そうやってシーズンごとに役目を終え新調されていく役回りのTシャツもあれば、幾度となく繰り返される着まわしや洗濯の試練を乗り越えて、何シーズンも衣装ケースに居座ってやろうという鋼の気概を見せるものも存在する。所謂「ヘビーT」というジャンルに区分けされる製品で、Chamipon / Hanes BEEFY / Fruit of the LOOM / Good Onなど様々なブランドが世に製品を放っているが、自分の一押しはここ何年も変わらずGoodwearのポケットTシャツだ。
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Goodwearはアメリカで1983年に創業されたU.S.A.コットンを扱った衣料ブランドで、素材と製法ともにメイドインU.S.A.にこだわり続けている。
その定番にして代名詞とも言える製品がこのポケットTシャツというわけだが、手に持ってみると実感するのは7.2オンスものヘビーコットン生地を使用したことによる素材由来の頑丈さだ。ここまで肉厚なTシャツにはあまりお目にかかることがない。
実際のところ、撮影したTシャツは今年で4年目になるがVネックにもかかわらず大きな型くずれや伸びはなく、ネットにも入れず雑に繰り返された洗濯に耐えてきた。素材自体の強さもあるが、袖口・首まわり・裾部分の丁寧な二重縫製も製品の丈夫さを向上させるのに大いに一役買っている。
またウォッシュ加工された染めも古着のような独特な表情を生んでおり、4年目ともなるとさすがに新品時のハリや発色の良さは衰えているものの、そうした経年によってポケットTシャツにもたらされる変化は「へたり」よりも「風合い・味わい」で、着続けていくことが楽しみな一品と言える。
ノエル・ギャラガーではないのでもう一枚買っちゃえよとは言わないが、このTシャツを一枚買うと異なる色やタイプのものも手に入れたくなる気持ちはわかってもらえるはずだ。
日本向けには日本人の体型に合わせたシルエットやサイズ感に調整されたものが多く販売されていることも嬉しいところ。首まわりのデザインはクルーネックとVネックがあるがそこはお好みで。
一着税込6,000円程度と、無地のTシャツとして一聴するとけして安くない価格だが、3年以上着られることを考えればお値打ちと言えるのではないだろうか。
一点、GoodwearのTシャツには中国産で価格が半分程度のものも出回っているが、これは所謂ライセンス商品で質が異なるものであることには注意されたい。見た目に大きい部分では、アメリカ本来の製品ではポケットの形状がホームベース型だが中国製のものは真四角となっているほか、縫製なども簡略化されていたりタグにMADE IN U.S.A.の表記はないそうだ。
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