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俺的良品

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肩ひじ張らないちょっと良い品。
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第6話 水の平焼 / 赤海鼠釉珈琲カップ&ソーサー

昨年末の12月に、さとふるを通じてふるさと納税として熊本県天草市に寄付をしたわけだが。返礼品の「水の平焼 赤海鼠釉珈琲カップ&ソーサー」が到着した。 水の平焼を知ったのは、店舗は忘れてしまったものの無印良品のFOUND MUJIコーナーの一角だったように思う。光の当たり方によって奥行きが変わるような釉薬のテクスチャを纏う器が並んでいて、重厚さを感じる質感にも目を奪われた。 そのなかでも珈琲カップ&ソーサーにピンとくるものを感じて、あぁ、家でこれで珈琲を飲んだら旨そうだな。

第5話 無印良品 / ボデガ BASQUE GLASS

ふだん使いする「器」のなかで、毎日の生活で最もふれる機会の多いものの一つはグラスだろう。 朝起きがけにキッチンに立ちピッチャーから注いだ水を飲む。昼間その日の昼食を摂るとともに緑茶で喉を潤す。仕事を終えて帰宅した晩には、ビールやウイスキーなど思い思いの酒で心の緊張をほぐす者もいる。一日を通してグラスを一度も手に取らないことは稀なことと思える。 グラスはどこの家庭にも存在する極めてありきたりな食器だ。だからその日どんなグラスを使ったか気にも留めない者もいるだろう。中に注いだ

第4話 セブンプレミアム ゴールド/金のビーフシチュー

世の中には避けて通るべき話題がある。みなそれぞれに信ずるところ・好みとするところがあるが、話題にしてしまうと故意であれ不用意であれ紛争の引き金となってしまう類のものだ。 酢豚にパイナップルを入れるか・入れないか。マクドナルドのサブメニューはフライドポテトかナゲットか。汁粉はつぶあんかこしあんか。ああ、くそ。これについても言及しなければならない。美味いのは「たけのこの里」か「きのこの山」か。 どれも根深い問題であるが、たけのこの里ときのこの山に至っては1980年代に入りチョ

第3話 亀の子束子西尾商店/亀の子スポンジ

食器を洗う。蛇口をひねり、スポンジに水を含ませ、少量のチャーミー・マジカを垂らし、シュコシュコと揉んで泡をたてれば準備は万端。食器が描くなめらかなバンク上を、手にとったスポンジを滑走させコース上に落ちた汚れを泡で包み込んでは分解し、こそぎ落としていく。誰でも行う行為だ。 そのやり方については、食器洗い人であるそれぞれに宗教ともいえる作法があることだろう。そしてそこには、道具としてどの「スポンジ」を使うかについても一家言が存在するはずだ。人はこだわりの動物なのだ。 ➢➢➢

第2話 Goodwear/ポケット Tシャツ

主役としても着られる無地のTシャツ。むろん夏のあいだの活躍が多いが、春や秋にもインナーとしての登板が期待される相棒は皆にもあるだろうか。 薄く肌触りがなめらかで羽のように軽く、体にぴたりとフィットする無地のTシャツも魅力的ではあるが、どんなに丈夫を謳ってもやはり限度というものは存在する。洗濯を重ね一年も経つ頃には首まわりの伸びが目立ち全体的に型くずれを起こしてしまい、次のシーズンには新調することを考えるはずだ。 そうやってシーズンごとに役目を終え新調されていく役回りのTシ

第1話 江崎グリコ/アイスの実<梨>

多くの人にとっておそらくどうでもいいことだろうが、日常に溢れている自分がちょっと良いと感じている品をただなんとなく紹介したくなったので書いてみることにする。 むかしブログを書いていた習性からくる疼きのようなものが取らせた筆であり、回を追うごとに文体や言い回し、ときには人格さえも変わっていくかもしれない。初期の漫画作品を読むような気持ちで見守ってほしいし、例によって更新が途絶えたら、あの漫画は打ち切られたのだなとか、文才のなさに絶望したのだなと理解して流してほしい。ものごとに