【詩】 夜道
遠くに見えるビルのイルミネーションが
十一月の冷たい空に突き抜ける
国道で自動車の風を切る音が
君のすすり泣きの途切れ間に割り込む
暗い生垣も、柄物の敷石も、この静かな夜も
さびしさという大気に呑まれて冷え込んでいる
並んで歩く二人は
手を取るでもなく、離れるでもなく、並んで歩く二人は
悪魔がやってきて甘い声で囁いても
魂を賭けて手に入れたいほどのものもなく
行くでもなく、帰るでもなく、ただ並んで歩く二人は……
襟のボタンに街灯の明かりが反射して
世界でいちばん正しい存在たちのように、黙りこくった