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文フリに初めて参加した日

11月24日(日)文学フリマ。

寝坊。13時ごろ到着した流通センターは駅の構内から異様な熱気に包まれていて、ああ、こんなにも『表現したい』人が世の中には溢れているのだなあ、と改めて驚く。

プロの集まる場にはない熱気だ。

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プロの人っていうのは、たとえやる気とか、愛があっても、何かのオブラートに包んで、そっと脇に取って置いているような雰囲気の人が多い。

「いえいえ、私はそんなもの持ち合わせていません」みたいなクールな感じ。その裏でそっと爪を研いでる感じ。前面に「好き」を押し出す感じではない。なんていうか、どうしてもかっこつけが入る。もちろんそれは必要なかっこつけだ。けど私が初めて足を踏み入れた文フリにはそういう熱気に満ち溢れていて、でも、コミケとかコミティアとはまたちょっと空気が違ってもいて、もう少し、なんていうのだろ、「売ろう!」みたいな生々しい(良い意味で刺激的な)空気はない。もし目が合えば、そっと手にとって、気に入ったら持ってってもらっていいんですよ、みたいな、奥ゆかしい雰囲気。

今回初めて文フリに足を運んだのは、浅生鴨さんの主催する同人誌『異人と同人』に参加させていただいたからだ。最初に「書きませんか?」とお声がけいただいた時は、同人っていうくらいだから、みんなきっと適当に書くか、ボツになった原稿の使い回しなんだろうな、と思い、サラサラサラーっと軽い気持ちで(けど同人誌だからこそ書ける内容の)文章を30分くらいで書いてかもさんに送ったら「小野さん、原稿提出ほぼ1番乗りくらいですよ!」と返事が来て、えっ、嘘でしょ、と驚いた。そのうち浅生さんから送られて来た入稿前のゲラを見たら、他の皆さんは商業誌に載っても遜色ないくらいに完成された作品を載せていてさらに驚いた。あまりに完璧すぎる原稿を目指した結果、原稿を落とした人もいる(田中泰延さん)。

スイスイさんなんて、編集者をつけて小説を書いていて、え、本当にこれ、同人誌なの?と思うほどのクオリティで、ああ、もっと気合入れて書けばよかった、読む人少ないし、と思って便所の落書きみたいなものを載せてしまった、、と落ち込んだ。いや、もちろん、バンクシーくらいには見応えのある落書きですよ。そう信じるしかない。

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