[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022]12/13 近藤健介、ソフトバンクにFA移籍

7年総額約50億円の超大型契約で、オリックス、ロッテ、西武、日本ハムによる5球団の争奪戦を制した。

複数回の交渉で、条件も当初の4年総額20億円から大幅に上方修正。

 ここではご無沙汰でした。近藤の去就が決まったら更新しようと思ってたんですが、まさか12月半ば近くまで決まらないとは思いませんでした。そして最終的な条件にまたまたびっくり。年にならすと7億以上。これは柳田を上回って日本人プロ野球選手の最高年俸です。こんな腰が抜けるような条件を出されたら、そりゃ近藤ならずともソフトバンクに決めるでしょう。

 ここまで近藤の決断が延びたのは、おそらくポスティングでメジャー行きを目指したオリックス吉田正尚の去就を待っていたのでしょう。吉田が好条件でレッドソックスと契約してメジャー行きが決まったのを受けて、おそらくオリックスが条件を上積みし、全球団の条件が出揃ったところで近藤は最終的な決断を下した。各球団と何度も交渉を重ね、ギリギリまで返事を引き延ばして好条件を引き出し競り合わせた。

 古巣のハム、GM監督以下ハム時代の恩師がずらりと揃うオリックス、近藤の地元球団でハム時代の同僚・吉井監督金子コーチがいるロッテ、監督以下親しい選手も多く環境に馴染みやすい西武……に対してソフトバンクは地縁もないしほとんど人間関係もない。たぶん近藤が重視した条件は以下の3つ。
1)金
2)長期契約
3)優勝が狙えるかどうか

 たぶん近藤はFA権を行使した時点で、ハムという選択肢を捨てた。もちろんハム球団もそれはわかっていたでしょうが、新球場元年の年に、ロクな戦力補強もなく、押しも押されもせぬチームの中心選手の流出をただ見送るだけではファンに対してイメージが悪すぎる。形だけでも全力で引き留めるフリをしていただけでしょう。

 結局近藤は地縁も人間関係もない球団を選んだ。長年所属した球団への愛着とか、世話になった監督やコーチへの恩義とか、仲のいい選手との友情とか、ファンへの思いとか、地元愛とか、そんなべたついた情緒的な理由は全て断ち切って、プロとして自分を高く評価してくれるところ、そして勝てる、優勝を狙えるところをドライに比較して決めた。もちろんその姿勢に批判されるべきことは何もありません。上記の3条件を高いレベルで満たすのはソフトバンクとオリックスしかおらず、おそらく近藤の本命も最初からその2球団で、他球団は当て馬に過ぎなかったのでしょう。入団記者会見ではいろいろ理由を述べると思いますが、結局はそういうことだと思います。ハムにも他球団にも可能性があるかのごとく振る舞って交渉を重ね条件を釣り上げ、他球団のさらなる好条件を引き出したわけです。大した交渉上手です。皮肉でなく。

 近藤が額面通り働けば、来季以降のソフトバンクと他チームの戦力差は,特に打線に関してはどうしようもないほどに開く。ペナントレースへの興味が薄れるほどに。もちろん千賀のメジャー行きがあるのでトータルで見ればどれだけ戦力アップになるのかわかりませんけどね。これだけの凄まじい好待遇で、ちょっとでも働きが悪ければ叩かれるのは必至。層が厚いソフトバンクで7年もの間年俸に見合った好成績を出し続けないといけない。凄まじいプレッシャーだと思いますが、それも覚悟の上でしょう。

 リーグ1の弱体球団から、よりによって一番強くて金を持っている同一リーグ1の強豪へと移籍。小笠原が巨人に行った時は悲しみと喪失感が大きかったですが、今回は腹立たしさの方が先に立つ。選手の権利に文句をつける気は毛頭ありませんが、「よりによってソフトバンクかい」という思いです。私はとても「ソフトバンクでも頑張れ」なんて言えません。おそらく多くのファンがそんな気持ちじゃないでしょうか。でも近藤はそれも承知の上で移籍を決めた。もう2度と彼の応援をすることはないし、ここで彼のことを書くのもこれが最後になるでしょう。ありがとう、近藤健介選手。君と過ごした11年間は楽しかったよ。

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