[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2023]  春季キャンプ終了

 春季キャンプが終了しました。現在までのところ故障等で離脱している選手で、判明しているのは以下の通り。

堀瑞輝(左肩)
齋藤友貴哉(右膝)
淺間大基(左膝骨折→手術)
山田遥楓(椎間板ヘルニア→手術)
五十幡亮汰(右膝)

 このほかに現在WBCキューバ代表に参加している新外人アリエル・マルチネスが左膝の故障で離脱と伝えられていますが詳細は不明。また田中瑛斗と育成の中山量晶が通常トレーニングから外れてトレーナー管理となっているようで、まだ実戦登板がありません。

 この中で残念なのは淺間の骨折でしょう。もともとケガの多い選手ですが、今年はキャンプから絶好調で実戦でも結果を残していただけにあまりに痛い。その素質は誰もが認めるのに、ここまで故障続きではとても戦力としては計算できない。今年は外野手争いが激しいだけに、大きく遅れをとったことは間違いない。このままイマイチの選手のまま終わってしまうのか。正念場です。また一番センターの座を争っていた五十幡の故障も長引いていますね。こちらもケガが多くプロ入りして満足に稼働していないだけに、本人としても焦りがあるはず。堀も近況が伝わってきませんが、ブルペン強化がチーム浮上の鍵を握るだけに絶対にやってもらわないと困る選手です。

 さて故障者は多いですが、それ以外は、まずまずいいキャンプだったように見えます。特に去年は特別臨時コーチの招聘など、マスコミ受けを狙ったような浮ついたふるまいが目立った監督が、今年は一転して厳しい姿勢を打ち出して、キャンプもピリピリした緊張感に包まれていたとのこと。去年1年間は「勝とうとは思ってない」とプロとは思えない言動でヒンシュクを買い、毎日オーダーを変え奇策を繰り返し好き放題に振る舞い、それでも「自分が監督すればある程度は勝てるし、たとえチームの負けが込んでも俺様の人気で客は入る」とタカをくくっていたはず。ところがチームはダントツの最下位で観客動員も激減し、愛想を尽かした近藤に出ていかれてしまう始末。特に観客動員が低迷しネットを中心にファンから叩かれまくったのは想定外だったでしょう。メディアの論調が変わったことも敏感に感じているはず。どんなチームであれ優勝を目指すのがプロとしての建前なのに、去年1年間をすべて捨ててまで「育成」に振り切ったんですから、今年厳しく結果を求められるのは当然。「2位も6位も同じ、目指すのは優勝だけ」と大風呂敷を広げているのだからなおさらです。おそらく球団からも結果を残せなければクビ、という無言のプレッシャーがかかっているんじゃないでしょうか。近藤のFA交渉の時、「今の監督の元ではプレーしたくない」と言う近藤に対して球団が「もうすぐ辞めるから1年だけ辛抱してくれ」と言った、という話も聞きましたが(真偽不明)、いずれにしろ監督にとっては2年目で早くも背水の陣であることは間違いない。もちろんその結果選手が成長し、おかしな用兵や采配がなくなって勝てるようになるなら文句はありませんが……

 さて、特に野手はいいポジション争いができているように見えます。どの選手も実戦で結果を残し、いいアピールができている。キャンプ初日から紅白戦や練習試合を繰り返し、実戦を多くしてどの選手も仕上がりが早いようです。しかしこの時期に若手選手が結果を残して期待を集めるのは毎年のことですし、ここから他球団の1軍レギュラークラスの調整が進んでくるにつれ、そうした若手のバケの皮がめくれて数字を残せなくなり結局ファーム落ち……なんてのも毎年見る風景です。特に新人や新戦力に関しては、今各チームともガンガン打たせて弱点を探っている段階でしょうから、開幕までに丸裸にされている可能性大。猛アピールが続く矢澤や奈良間はこれからが正念場です。

 そして今年は自主トレの段階からガムシャラに飛ばして仕上がりを早くしている分、疲れがたまってくるのも早いはず。シーズン当初は仕上がりの早さでスタートダッシュを決めても、結局体力が足りないからシーズン途中で息切れしてチームも失速……というのも、前監督時代から飽きもせず繰り返されている。しかしこれは弱くて実績がないチームなんだからある程度仕方ない。とにかく最初から置いていかれないように食らいついていくしかない。強いチームにどんどん先行されてしまっては、弱いチームは追いつけなくなってしまうからです。ソフトバンクやオリックスのような地力があり選手層が厚いチームは、勝負どころのシーズン後半に調子が最高になるようにキャンプの段階から綿密に調整しているからなおさらです。でもそこでうまい具合に手綱を引く余裕はハムにはない。とにかくシーズン序盤から、いやキャンプの段階からムチを入れまくって勢いで突っ走るしかない。あとは野となれ山となれです。

 一方投手のほうは野手に比べると調整が遅れているように見えます。加藤・上沢・伊藤といった実績組はきちんと開幕に合わせてくるでしょうが、それに続く選手が物足りない。3人に続くローテ投手はポンセでしょうが、それ以外の2枚に見通しが立たない。根本も鈴木健矢もイマイチですし、田中正義もガントもまだまだ。ブルペンも宮西や玉井のようなベテラン・中堅が目立っているぐらいですから、絶対的にコマが足りない。去年の低迷の大きな原因は投手陣の崩壊ですから、今年のチーム浮上も投手が鍵を握ります。日本代表をオリンピック優勝に導いた建山コーチの手腕に期待しましょう。

(開幕スタメン候補)
中 五十幡
遊 上川畑(奈良間)
左 松本
三 野村
一 清宮
二 石井(加藤豪)
補 伏見
D  万波(今川)
右 矢澤

(開幕ローテ候補)
加藤
伊藤
根本
上沢
ポンセ
金村

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