[日本ハムファイターズ観戦記] 8/8 なべりょーの9球。神様仏様玉井様。

日本ハム 7x - 6 西武

 連日の一点差勝ち。今日は終盤に怒濤の展開が待っていました。

 まずは7回裏。相手投手は昨季の最多登板投手・平井。4点ビハインドの二死一塁から杉谷のツーベースでまず1点。相手がファンブルする間に杉谷は三塁に行き、ここで投手が新人の宮川に代わりますが、近藤が技ありのレフト前タイムリーで1点、さらに中田の軽く合わせただけに見えた当たりはライトフェンス直撃のツーベースになってさらに1点、これで1点差。大田が歩いて、ここで相手投手がギャレットに交代。横尾がボテボテのサードゴロを必死に走って内野安打。そして満塁から渡邊がギャレットの9球目の160キロストレートを見事にレフト前に打ち返してこの回5点、4点差をまさかの大逆転です。相手投手は6回に平良が出てきて全く手も足も出なかったわけですが、もし平良が7回に投げていたら、おそらくこの逆転劇はなかった。そういう意味では幸運でもありました。

 ギャレットは渡邊に対して9球すべてストレートの真っ向勝負。渡邊もストレート一本に絞ります。最速162キロはNPB史上2番目の速さだそうで、渡邊も「今まで見た一番速い球」と言ってましたね。5球目のストレートをファウルにして2-2になった次の6球目、7球目あたりに変化球を投げられたら打ち取られていた可能性が高いですが、ギャレットはストレートに絶対の自信があったんでしょう。そのままストレートで押しまくったものの、渡邊は必死に食らいついて粘り、ついに3-2のフルカウントに。

3-2になって押し出しを避けたいバッテリーにはストレートしか選択肢がなくなりました。そして9球目のやや甘めのストレートを見事打ち砕いて2点タイムリー。息詰まる真っ向勝負は本当に見応え十分。野球の醍醐味が詰まりまくった素晴らしい9球でした。これが押し出しとか暴投とかエラーではなく、ヒットで決着がついたのが良かったですね。渡邊の打席での集中力は本当に最高でした。今季なかなか調子が上がってこなかったナベりょーですが、この一打席は彼にとってすごく大きな自信になったんじゃないでしょうか。第一打席のホームランも、甘く入ったストレートを逃さず打ったもので、現在の好調ぶりを示してましたね。

 そして逆転した次の8回表。当然宮西が出てくるものと思っていたらまさかの堀。宮西の疲労を考慮しての登板だったのかもしれませんが、昨日の絶対絶命のピンチ(自業自得ですが)をなんとか凌いでセーブを稼いだ堀をこの重要局面でまた投げさせるということは、堀に宮西の後釜を期待していて、いずれセットアッパー、あるいはクローザーとして8、9回を任せたい、なので修羅場を経験させて成長を促したいという首脳陣の願いがあるのでしょう。しかし堀は連日の重要局面での登板で地に足がついてない感じ。先頭ヒット、続くバントを横尾が消極的なプレーでオールセーフにしてしまい、その後一死満塁の大ピンチを迎えます。そして左の源田を打ち取って2死になり右の外崎を迎えたところで、もうこういう場面ではこの人しかいない、玉井大翔が登板。玉井はわずか2球で外崎を打ち取って、完璧な火消しを見せます。この絶対的信頼感。素晴らしいの一言です。さらに玉井は回またぎとなる9回にも登板(秋吉がこの日ベンチ入りしていなかった)、あっさり3者凡退で打ち取ってプロ初セーブ。あとで述べますが8回裏の攻撃で考え得る最悪のプレーがあり、非常にイヤな雰囲気になって試合の流れが変わりかねない局面だっただけに、玉井の安定感が際立ちます。私は2006年の日本一に絶対的なセットアッパーとして、ある意味抑えのマイケル以上に貢献した武田久を思いだしました。

 しかし今日の勝利に至るまでにはいろいろなことがありました。まず先発の有原。初回に簡単に先制され、その後ナベの2ランで逆転してもらった直後、一死をとったあと源田の振り逃げでペースを乱し、あれよあれよという間に3失点。暴投→振り逃げは有原自身のミスですが、そのミスを引きずってしまい、崩れ出すと止まらない悪癖は一向に直りません、外崎は2球目、山川には初球の甘い球を打たれていますが、早いカウントで甘い球を連続して投げてしまうのは動揺して集中力を欠いている証拠。今年の有原は本当にこういう場面が多い。5回にも先頭打者四球からあっさり追加点を許してしまう。結局5回106球6失点は、エース失格どころかローテ失格。相手にエース級が来ることが多い金曜の登板を避けて、土曜日にシフトしてもらったのにこのテイタラクです。崩れ始めるイニングが投げるたびに早くなっていて、とても安心して先発を任せられる感じではありません。ほかの先発が比較的安定しているだけに、有原さえマトモになってくれるならリーグ1の先発ローテを組めるのに本当にもったいない。なにが原因なのかわかりませんが、一度ファームで建て直すことも考えたほうがいいのでは。代わりに試したい先発候補は、今日ファームから上がってきた北浦はどうでしょう。

 そして今日の許しがたい最悪のプレーは、8回裏。一死から西川がヒットで出て、杉谷が投手前に見事送りバントを決め……と思ったら、西川が二塁で刺されてしまった場面です。杉谷のバントは絶妙で、西川ならラクラクセーフのケース。それが、西川は全力疾走もせずチンタラ走っていて、これを見た相手投手はすかさず二塁に投げる好判断で、西川はスライディングをすることもなくあっさりアウトになってしまいました。これはもう、二塁に投げてくるはずがないと思い込んで手を抜いた西川の怠慢以外のなにものでもない。解説の岩本は「私には何も言えません!バントで一塁走者がスライディングしないなんて初めて見ました!」と怒り心頭。西川はこの日DHでの出場で、守備を免除されているなら走塁と打撃をいつも以上にちゃんとやらなきゃいけないケースです。おまけに自分の怠慢プレーを誤魔化そうとしたのか、誰がどう見てもアウトなのに、監督にリクエストを要求する姑息さ。西川は足を痛めていて全力疾走できないのでは、という見方もあるようです。DHでの出場はそういう意味もあるのかも。ですが、それまでのプレーでは普通に走っていましたからそんな言い訳は通らない。よしんば足を痛めているとしても、全力疾走できないほど悪いならそもそも出場すべきではないし、あの場面も代走を送るべきでしょう。

 いずれにしろキャプテンマークをつけたチームの範になるべき中心選手の怠慢プレーで雰囲気は最悪。だからこそ、続く9回表に出てきてあっさり三者凡退で抑えた玉井のすごさが光りました。ヒーローインタビューは2本の逆転打を放った渡邊で、これはもちろん当然ですが、玉井も呼んでほしかったですね。

 さて、いろいろありつつも、ついにカード勝ち越しを決めました。3位ロッテも勝ったので4位は変わりませんが、貯金1を作り、やっとチームが波に乗ってきた感があります。これを書いている現在ではソフトバンク楽天戦の結果は出ていませんが、上位が星を食い合っている間に、少しでも接近しておきたいですね。

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