[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021]8/18 「中田問題」の行方


初めて中田の暴行問題について言及した栗山監督は「時間は凄くかかる。今すぐ“はい、どうぞ”と何もなかったように戻れるという話ではない」と今季中のチームでの1軍復帰を否定。さらに「正直、このチーム(での復帰)は難しいと思っている」と退団の可能性も示した。
「誰が一番悪いのかといったら監督である私自身。責任を凄く感じているし申し訳ない」

 中田問題についてようやく栗山監督が口を開きました。「このチーム(での復帰)は難しい」という発言は、いち監督にしてはかなり踏み込んだものと思いますが、当然ハム球団に於ける選手の雇用契約を含む人事権は球団フロントが握っており、栗山監督に決定権はほとんどないはず。にもかかわらずこうした踏み込んだ発言をしたのは、おそらく球団側との意思のすり合わせがあったうえでの、球団の意向を代弁するコメントではないかと思います。もっとはっきり言うと「観測気球」です。人事権のない監督の個人的な意見として中田の解雇(契約打ち切り)を示唆し、それに対する世論の反応を見て、最終的に中田の処遇を決める。

 また今回の一件には、中田の出身校である大阪桐蔭高校との関係も絡んでくる。つまりドラフト4球団競合の超大物OBをこうした形で解雇することで、今度とも有力な新人選手供給源となりうる大阪桐蔭との関係を悪化させるわけにはいかない。ソフトバンクがケガでリハビリ中だった馬原をFAの人的補償のプロテクトから外したことでオリックスに移籍になってしまい、出身校の九州共立大学が激怒して、ソフトバンクと九州共立大学の関係が悪化した、なんて噂もありましたが、こうした栗山発言が出たということは、中田の解雇やむなしという言質を大阪桐蔭高からとったのではないでしょうか。

 そして栗山監督の「解雇やむなし」という発言に対して、中田を擁護する声はほとんど聞こえてきません。せいぜいが一部のプロ野球OBの「あれだけの選手、もう一度チャンスを与えてやってくれ」という懇願に近い声ぐらい。内心では「解雇はやりすぎ」と思っていても、圧倒的な世論の前では口に出しにくい。栗山コメントに対する世論の反応次第では中田がハムに残留(オフの再契約)する可能性もあったと思いますが、今の様子を見ていると、それも難しそうです。おそらく今シーズン終了後に中田は自由契約。拾ってくれる球団があればそれでよし、もしそれもなければ、改めて格安年俸で再契約する、つまりかつての坪井や多田野や村田のようなやり方で再契約する可能性はあると思いますが(育成契約で再雇用、ということも)、それも世論の動向次第でしょう。あとは栗山の後任として監督に就任するはずの稲葉の意向も関係してくる。ですが中田問題以外にも問題山積みでボロボロ状態のハムを2023年の新球場開場までに立て直すために、ここで一気に病巣を断ち切る、という判断を下す方がはるかに現実的でしょう。

 今後の中田はどうなるのか。NPBの他球団、海外も含むNPB以外の野球チームへの移籍の可能性なども取り沙汰されていますが、個人的には、もう中田は野球へのモチベーションを失っているのではないか、という気がします。国内移籍は無理でもアメリカでマイナー契約で一からやり直す、なんて根性が中田にあるとは思えないのです。中田は今回の件に関して記者会見をやる予定もあるようですが、それが引退会見になる可能性もある。

 むかし、中田がプロに入って間もないころ、「ザ・インタビューズ」というウエブ・サイトで「中田はホームラン王をとれますか」という質問が来たことがありました。私は「そう信じています」と答えました。昨シーズンはその絶好のチャンスでしたが、わずか1本差で逃してしまいました。今年こそはという思いは、私も、多くのファンも、もちろん中田自身も強く持っていたはずです。そこから1年もたっていないのに。このまま中田はホームラン王になれぬままプロ生活を終えてしまうのでしょうか。ただただ、残念です。


よろしければサポートをしていただければ、今後の励みになります。よろしくお願いします。