[北海道日本ハムファイターズ観戦日記] 2023 今季の戦力補強

 いつのまにかキャンプまで1週間を切りました。去年の今ごろは新監督の話題、そして特別臨時コーチの話題で持ちきりでしたが、今年は静かなもの。指揮官もさすがに今年が勝負という立場を理解しているのか、スタンドプレーは控えめで臨むようです。さて、昨シーズン終了から現在までのハムの戦力補強をまとめてみます。

 まずは退団した選手。

金子千尋 [自由契約]→現役引退→特命コーチ
杉谷拳士 [現役引退]
ヌニエス [退団]
速水隆成 [現役引退]
長谷川凌汰 [戦力外]現役引退→球団スタッフ
片岡奨人 [戦力外] 現役引退→球団スタッフ
谷川昌希 [戦力外] 現役引退
望月大希 [戦力外] 現役引退
宮田輝星 [戦力外] 現役引退
難波侑平 [戦力外] 現役引退
高山優希 [戦力外]
樋口龍之介 [戦力外]
王柏融[退団]→育成契約
柿木蓮 [戦力外]→育成契約
上野響平 [戦力外]→育成打診→トライアウト→オリックス
古川侑利 [現役ドラフト]→ソフトバンク
石川亮 [トレード]→オリックス
渡邉諒 [トレード]→阪神
髙濱祐仁 [トレード]→阪神
佐藤龍世 [トレード]→西武
近藤健介 [FA]→ソフトバンク

 例年になく多いですね。次は新入団選手

矢澤宏太 投手/外野 [ドラフト]日本体育大
金村尚真 投手 [ドラフト] 富士大
加藤豪将 内野 [ドラフト] メッツ3A
安西叶翔 投手 [ドラフト] 常葉大菊川高
奈良間大己 遊撃 [ドラフト] 立正大
宮内春輝 投手 [ドラフト] 日本製紙石巻
伏見寅威 捕手 [FA]←オリックス
田中正義 投手 [FA人的補償]←ソフトバンク
江越大賀 外野 [トレード]←阪神
齋藤友貴哉 投手 [トレード]←阪神
松岡洸希 投手 [現役ドラフト]←西武
齋藤綱記 投手 [トレード]←オリックス
山田遥楓 内野 [トレード]←西武
A・マルティネス 捕手←中日

育成契約
中山晶量 投手 [ドラフト] 独立L徳島
山本晃大 投手 [ドラフト] 独立L信濃
藤田大清 外野 [ドラフト] 花咲徳栄
山口アタル 外野 [ドラフト] テキサス大タイラー校

 1軍実績のある選手のうち近藤、渡邊、高濱、石川亮、佐藤龍世、古川侑利がチームを去り、金子千尋、杉谷が引退。代わりに入団したのが伏見、田中正義、江越、齋藤友貴哉、松岡、齋藤綱記、山田といった面々。外国人はヌニエスが去り、アリエル・マルチネスが新たな戦力となります。これにドラフト組が加わります。球団本部長の話によれば、これからキャンプ〜オープン戦にかけてさらなる補強・トレードも考えられるとのこと。さすがに2013年のキャンプイン直前の糸井トレードみたいなことはないと思いますが、キャンプやオープン戦での仕上がり次第で、結構大きな動きがあるかもしれません。

 新入団選手のうち、過去に1軍である程度実績があり、ハムでも戦力として計算できるのは伏見とマルチネスのみ。残りはこれまでほとんど1軍実績がなく、これからの伸びしろを期待しての獲得です。両斎藤、松岡は手薄なブルペンの補強として期待したいところですが、やってみないとわからない。田中正義は故障なく無事に投げられればいきなり二ケタ勝利も、と期待される大器ですが、もちろんアテにはできない。先発希望のようですが、ほかに先発希望投手が(実力はさておいて)目白押しの中、中継ぎに回ることもありそう。江越は監督が獲得を熱望したというアスリートタイプの外野手ですが、ここ3年1軍でヒットがなく、もうすぐ30歳になる中堅選手に大きな期待はかけられません。キャンプイン前から野球以外で騒動を起こしている山田は、心構えだけも既に失格。期待薄ですね。

 こうやって見ると、補強の動きは派手ですが、大きな戦力プラスとは考えにくい。もちろん移籍してきた選手の働き次第では大きくプラスになることだってありえますが、近藤の抜けた穴を埋めおつりが来るほどの補強かと言えば大いに疑問。ひいき目に見ても野手は大幅マイナス、投手でややプラスというのが妥当なところでしょう。打線はまだ若いマルチネスが大化けして打ちまくってくれれば、ところ。

 新人に関しては全くの未知数。二刀流の矢澤はまだ海のものとも山のものともつかない。金村と宮内は即戦力の期待がかかりますが、ここ数年大卒社会人出の新人投手で戦力になっているのが伊藤大海ひとりという状態で、ハムの育成力に疑問が持たれている今、きちんと戦力に仕立てることができるのか。奈良間は激戦区の二遊間の争いに今すぐ割って入るだけの力があるかどうか。そう考えると戦力としてある程度計算できそうなのはメジャー帰りの28歳・加藤だけということになります。おそらくは同じ歳の石井一成との一騎打ち、そこにアルカンタラ、谷内や水野、細川などが加わっての二塁の定位置争い。楽しみではあります。

 ということで、正直な話、新入団選手だけでチーム力全体が大きく底上げされるような状況かと言えば、ちょっと厳しいというのが公平な見方かと思います。もちろん大いに期待はしていますし、ハムに来た限りは全力で応援しますが、アテにはできない。そうなると、近藤退団というとてつもなく大きな穴を埋め、最下位脱出、さらにはその上のクラス、監督が公言する優勝・日本一まで狙えるほどの戦力アップを図るには、既存の若手選手たちの大幅な成長、それも1人2人ではなく4〜5人が一気に覚醒するぐらいの大ブレイクが求められます。去年はダントツ最下位だったわけですから、少々の戦力アップぐらいでは「ダントツ」が「普通の」最下位になる程度。松本・野村・清宮・上川畑はもちろん、万波・今川・淺間・五十幡、前記の石井、アルカンタラ、水野、細川、そして伏見と定位置を争うであろう宇佐見やそれに続く古川、梅林がどれだけやれるか。投手では根本や吉田、鈴木健矢、北山や田中瑛斗などが大きく伸びてほしい。

 キャンプ初日から紅白戦をやるそうで、選手たちはオフの間も気を抜かず調整に励んできたはず。その成果はどうでしょうか。彼らの成長を楽しみにしながら、2月1日を迎えたいと思います。


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