[日本ハムファイターズ観戦記] 9/26 逆転勝利。しかしいろいろ課題も。

日本ハム 6 -5 オリックス

 まさかの逆転勝利。8回に手痛い追加点を奪われ、9回表に入った時点で3点ビハインドですから敗色濃厚。これまでのハムなら、なすすべもなく無抵抗で土俵を割っていたところですが、一死から、いつもは早打ちの大田が珍しく四球を選んで出塁。ディクソンのタマがボールとストライクがはっきりしていて、ボール球を見逃しやすかったということでしょう。連続試合安打がかかっていて打ちたい気持ちもあったはずですが、よく我慢して出塁しました。続く代打王が初球のカウントを取りに来た甘いストレートを打ち返して一死一二塁。王は初球から迷いなくバットが出るようになって、打ち損じが少なくなってきてますね。ここでディクソンは冷静さを失った感じで、続く平沼にまさかのストレートの四球。低めにタマを集めたものの、今日3安打と好調だった平沼が冷静にボールをみきわめた感じ。満塁になって、清水のところで代打清宮。代打を出すにしてもここは杉谷のほうがいいんじゃないかと思いましたが、4球目の低めのナックルカーブをうまく掬い上げて、見事左中間突破の3点タイムリー二塁打で、同点。見逃せばボールになるタマで、そうするとカウント3-1となり押し出し四球を意識したくなるところ。そこで受け身になって消極的になってしまうのが清宮の悪いところですが、ここはよくバットが出ました。9/24の西武戦あたりから、ヒットには繋がらなかったものの、いい感じで捉えたライナー性の当たりが外野に飛び始めていたので、もしかしたら調子が上向いてきたのかなと思っていましたが、いいところで結果を出してくれました。あの打球にもう少し角度がついてスタンドインするようなら本調子じゃないでしょうか。

 そして延長に入って10回表、二死一塁から大田のどん詰まりながら、後ろに守っていたライトの前にポトリと落ちるラッキーなタイムリー三塁打で勝ち越し。そして続く鶴岡が低めの変化球をうまくはじき返し、2点リードとなって、これが結果的に決勝点となりました。

 今日はこれといったエラーも守備ミスもなく、引き締まったいい試合だったと思います。しかし8,9,10回に出てきた秋吉宮西公文がことごとくピリッとしないピッチングで、今後に大きな不安を残しました。

 秋吉は簡単に2アウトをとったあと、T-岡田に対してど真ん中のストレートを完璧に捉えられてソロHRを被弾。完全な失投でしたね。秋吉はタマの力でねじ伏せるタイプではないので、今日有原からものすごい当たりのHRを打っていた岡田に対しては細心の注意を払わなくてはいけないところ。この肝心なところでの被弾癖が治らない限り、僅差のゲームでは使えません。結果的に清宮の起死回生の一打が出たおかげで目立たなくなりましたが、試合の流れから言って本来なら完全なダメ押しとなっていたところでした。

 そして同点に追いついたあとの9回裏の宮西。先頭のモヤを警戒するあまり歩かせ、続く杉本がアンラッキーなサード内野安打、犠打で送られて一死二三塁。ここは申告敬遠かと思いきや勝負。それでも、ここまで幾多の修羅場をくぐり抜けてきた宮西なら大丈夫……と思ったら、伏見相手にスライダーがまったくストライクが入らず、ストレートの四球で、勝負した意味が全くないといいう有様。一死満塁の絶対絶命のピンチ。四球でも死球でも外野フライでも暴投でも、もちろんエラーでも、三塁ランナーが還ってきた時点でサヨナラの場面ですが、続く若月は甘く入ったストレートを打ち損じてくれて、結局ボール球を振って三振。そして宜保も、真ん中付近に来た甘い甘いストレートを見逃したり打ち損じてくれたおかげで、これも三振にとって、なんとか無失点に終わります。しかし最後の2アウトは、若月の力みと、若い宜保の経験不足からくる未熟に救われたようなもので、生命線のスライダーは最後までストライクが入らず。ここのところの宮西はずっと不安定なピッチングが続いていて、非常に不安です。

 そして2点勝ち越しての10回裏。金子、堀などいくつか選択肢があったはずですが、マウンドにあがったのは公文。しかしこの公文がまた、ピリッとしません。なんとか打ち取ったものの先頭の大城に9球粘られた時点で危うい感じでしたが、T-岡田の守備固めで出てきた西浦に、今度は8球目の甘いストレートを完璧に捉えられソロHR被弾。これで一点差。早々に追い込みながら決め球が甘く相手を打ち取れない。ファウルで粘られ、根負けして失投というパターンです。西浦は今季第2号、プロ通算でもこれが3本目のHRで、長打率が.300にも届かない、決して長距離打者とは言えない若い打者ですが、2ストライクからでも迷いなくフルスイングできるのは大したもの。そういうチーム方針なんでしょう。当てにいくだけのせこいバッティングで単打ばかりのハム野手陣(打率に比べて長打率が低い)は見習ってほしい。続く吉田正尚は投手強襲ヒットで一死一塁。西村は打ち取った当たりでしたがバウンドが高く併殺は無理で二死二塁。続く杉本の一二塁間の当たりを中田がよく止めるものの、公文のベースカバーが遅れてオールセーフで二死1,3塁。この日のテレビ中継の解説は大島公一でしたが、公文は投げ終わると三塁側にカラダが倒れるクセがあり、ベースカバーが一歩遅れるのでは、との分析。しかしこれは少々優しすぎる見方で、やはり一歩目が遅かったのではないかと思います。一塁走者が走って2,3塁、ここはさすがに申告敬遠かと思いましたが、勝負。最後の山足がセカンドゴロに終わって、なんとかゲームセット。しかしこれはオリックスがスタメンの打者を下げていたのに救われた形で、通常のオリックス打線相手だったら、9回あるいは10回にサヨナラ、同点、あるいは逆転サヨナラになっていた可能性が高い。

 7回に投げた玉井だけがまともな投球だったわけですが、ちょっと前はハムの勝ちパターン継投だったはずの秋吉・宮西・公文が、ことごとく不安定な投球を続けている。解説の大島は、去年良かったハムのブルペン陣が今年軒並み悪いのは、去年ショートスターターを多用したおかげでブルペンに負担がかかり、そのツケが今年に回ってきてるんじゃないかと言ってましたが(大島は解説を聞いていても、ハムの試合をよくみているようで、ハムの選手のことをよく知ってますね。いいときの公文と今日の公文の違いを的確に指摘してました。話しぶりも公平で好感が持てます)、宮西や金子はこれから年齢との戦いになるし、秋吉は抑えとしてはもう難しい。公文も今季長くファームで調整したわりに調子が上がってこない。堀は相変わらず制球が悪く不安定だし、福田や鈴木健矢は経験・実力ともまだまだ不足です。玉井も去年今年の酷使で来年が心配。来季に向けブルペン陣の整備は必須、それも即戦力となる強力なリリーフ投手の補強が急務と言えます。これまでのようにドラフト下位で大卒社会人の投手を拾ってくるやり方は限界で、上位指名で大型投手をとるか、外国人を補強するしかない。地元北海道出身の伊藤という大型投手がドラフト1位候補にあがっているようですが、彼などは補強ポイントに合致しているのでは。

 そして捕手問題。清水は伸び悩みで、宇佐見や石川亮は打力不足、田宮や郡は経験不足で、どれも正捕手を任せるにはあまりに頼りない。今日オリックスに打たれたHR4本のうち3本が2アウトからのもので、投手の責任もありますが、捕手のリードにも問題があるはず。そして9回と10回の大ピンチをなんとか凌げたのは捕手が鶴岡だったことが大きい。宮西のワンバウンドのスライダーを横っ飛びに止めた鶴岡のプレーがなければサヨナラ負けしていたはずだし、全くスライダーの制球が定まらない宮西に対して、相手打者の経験不足を読んでストレート勝負にしたリードもさすがでした。そして打つ方でも、6点目を叩き出した鶴岡のバッティングがなければ、西浦のソロHRで同点に追いつかれていたのです。しかし年齢的にも鶴岡が正捕手を務めるようでは困る。ここはやはり、大野以来となる大卒社会人の即戦力捕手を上位で指名すべきでしょう。もちろん経験のある中堅捕手を出血覚悟でトレードでとってくるのもアリです。

 さて明日の先発は吉田輝星。勝てるに越したことはありませんが、勝ち負けよりも、来年に繋がるようなピッチングを期待したいと思います。

 

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