[日本ハムファイターズ観戦記] 来季ファイターズの戦いに向けて (その1)

 目下ファイターズは自力優勝が消滅し、首位ソフトバンクに10ゲーム、2位ロッテに8.5ゲーム、3位楽天に2ゲーム、4位西武に0.5ゲーム差の5位という状況(9/17試合終了時)。残り試合は43試合なので、優勝はおろか、CS圏内の2位もきわめて厳しい状況です。もしこれからロッテかソフトバンクのどちらかが急失速して、もう片方が独走状態になって2位と3位以下の差が縮まるようなら、わずかに2位のチャンスが広がりますが、その場合も楽天、西武というライバルの存在が厄介です。残り試合、もっとも多く対戦を残しているのはオリックス戦ですが、たとえ大きく勝ち越してもオリックスはダントツの最下位なので、それだけでは上を目指すには足りない。上が負けてくれないと差が縮まらないからです。もちろん3位の可能性は十分残っていますが、今年はCS出場が2位までなので、3位はAクラスとは言っても、名目だけ。つまり今季のファイターズは既に消化試合に入っていると言っていいでしょう。

 ということは、来季に向けてどうチームを建て直していくか。残りのシーズンはそれを見据えた戦いになっていくはずです。いや、栗山監督はそう思っていないかもしれないし、いずれにしろ数字上、優勝〜2位の可能性が残っている限りは勝利に向け最善を尽くすのは当然ですが、これからは現有戦力を見直し、来季の構想に入る選手かどうかを見定めて、来季の構想に入っている選手、特に若手を積極的に起用して、その力を伸ばしていかねばなりません。つまり育成です。私が考える来季の一軍構想はこんな感じです。

(捕手)◎清水、郡、宇佐見、石川亮
(一塁)中田、◎清宮
(二塁)◎渡邊、杉谷
(三塁)◎野村、平沼
(遊撃)◎平沼、中島
(外野)大田、近藤、◎淺間、松本、杉谷、◎万波、(西川)

 ◎は、特に来季に向け守備・打撃・走塁、すべてにわたって徹底的に鍛え、実戦の機会をできるだけ与えて重点的に育成しなければいけない選手です。特に守備は、来季に向けての最重要課題です。なお西川は来季のメジャー挑戦を表明しているので、一応除外して考えます。

 これを見ても一目瞭然。ハムは守備率、失策数、併殺成立数、捕逸数でリーグワースト。失点と自責点の差(つまりエラー絡みでの失点)も38とダントツで悪い。チームUZRもマイナス21.4とダントツでリーグワースト(1位はソフトバンクのプラス33.2、5位は楽天のマイナス8.5)。チーム打率もチーム防御率もリーグ2位なのにチーム成績が5位と低迷しているのは、拙守が大きな原因のひとつでしょう。来季に向けて克服すべき課題は明らかです。

 来季の監督が誰になるかわかりませんが、かつては固い守備で戦ってきたハムが、いつのまにかリーグワーストのザル守備になってしまった。栗山監督就任以降、金子誠や田中賢介、飯山裕志、小谷野栄一、陽岱鋼、稲葉篤紀といった固い守備を支えてきた守備名人が引退したりチームを去ったりして、ほぼ栗山監督就任以降に主力になった選手が中心になって、チーム守備、特に内野は見る影もなく劣化してしまいました。栗山監督以降、打撃を活かすため打撃のいい選手は複数ポジションを守らせ出場機会を増やすのが当たり前になりましたが、そのぶん守備のスペシャリストがいなくなってしまった。かろうじてそう言えるのは中島と中田ぐらいです。外野にしても、要となる西川は肩が見る影もなく衰え、UZRも両リーグダントツワースト(マイナス12.7)と、デフェンス上の大きな穴になっています。栗山監督の守備軽視の姿勢は明らかで、西武が辻監督の就任、守備名人源田の入団で守備が向上し打撃オンリーのチームから脱皮して、2連覇を達成したのとは対照的ですね。栗山監督の8年半でここまで守備が劣化したということは、建て直すのもそれぐらい時間がかかっても不思議ない。ファームの育成、あるいはスカウティングやコーチ人事の段階から根本的に方針を見直す必要がある。でも当面は、来季一軍での活躍を期待したい現有の若手の守備を徹底的に鍛え直すことが求められます。期待は大きいものの打てないだけでなく守備でも力不足を露呈している清宮、打撃では大きな成長を見せているものの守備ではしばしばチームの足を引っ張っている渡邊、打撃も含めたセンスではピカイチの正遊撃手候補ですが、まだまだ経験不足で特に守備では中島と大きな差がある平沼、そして打撃は非凡な素質を垣間見せていたものの、守備のまずさで故障離脱してしまった野村の4人は、シーズン残り試合、出られる試合はすべて出て経験を積み、さらに秋季キャンプで地獄の猛特訓でもやって、守備を鍛えてほしい。

 コーチ人事としてとりあえずは

1)一軍に、かつての平野謙コーチのような外野守備のスペシャリストのコーチを置くこと。
2)かつての白井コーチのような鬼軍曹的な厳しいコーチを一二軍問わず置くこと。

 を求めたいと思います。そして来季の監督になる人は、まずは固い守備がチームの土台になることを、よく理解してほしい。

 捕手、打撃や投手部門についてはまた稿を改めます。

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