[日本ハムファイターズ観戦記] 8/29 守備の差で負けた

ソフトバンク 3x - 0 日本ハム

 8回裏に玉井が打たれてダメを押されましたが、それまで、わずか1点ビハインドとはいえ、実際の点差はそれよりもはるかに大きい印象でした。8回の追加点はその追認にすぎない。つまり両チームの力差がありすぎて、全く付けいる余地がなかった、ということです。

 先発有原は7回なげて被安打3,与四球は4と少し多かったですが、要所を締めて自責点ゼロ。しかし失点1で負け投手になりました。3回裏一死で周東のセーフティバントを処理した宇佐見の悪送球で一死2塁。中村を歩かせ1,2塁で柳田を注文通りのセカンドゴロに打ち取ったのに、併殺を焦った石井がタイムリーエラー。三者凡退無失点で何事もなく終わるはずが、ご丁寧に1イニングに2エラーが集中して有原の足を引っ張り失点です。

 対照的に5回表のハムの攻撃。一死1,2塁と一打同点の場面で、松本のセンターに抜けようかという当たりを相手ショート川瀬のファインプレーでチャンスを潰します。こっちはタイムリーエラーで、向こうはファインプレー。川瀬はまだ高卒プロ5年目の若手ですが、石井とは球際の強さが違い過ぎる。打てない石井は守備ぐらいちゃんとしないと使う意味がありません。

 結局この差が最後まで響き、完封負け。9回表の攻撃で、相手右翼上林の肩を考えず渡邊が暴走してチャンスを潰すというおまけもありましたが、いずれにしろ守備力など細かいプレーの質の差が勝敗を分けた形。悔しいですが、その差がソフトバンクとのチーム力の絶対的な差です。何度も何度も何度も書いていることですが、打てなかったり打たれたりで負けるのはまだいい。エラーとかつまらないミスで負けるのは本当に腹が立つ。ここ数年のハムはそんな試合が多すぎる。それというのも、それまでのハムは固い守備で攻守のリズムを作り、ブルペンの強さと足や小技を使ったしぶとくソツのない攻撃でロースコアの接戦を競り勝つのが身上だったのに、ここ数年は守備軽視、小技軽視の態勢が明らかでした。打撃は2007年以降のハムの弱点でしたが、その強化を目指すあまりスカウティングも育成も用兵も、すべて打撃優先にした結果が今のテイタラクです。いい例が清宮の起用法ですね。攻守ともプレーのすべてが雑で大味。よくビジターの試合を観ていると、解説者が「ハムは試合巧者」みたいなことを言ってますが、実際には全然そんなことない。今日の初回の松本のバント失敗も、最終回の渡邊の走塁ミスも、試合巧者どころか「野球がヘタ」としか言えない。岩本も建山も森本も、ハムの試合をよく観ている解説者は、今のハムを「試合巧者」なんて絶対言わないですからね。

 8回に打たれた玉井は26日の西武戦以来の登板。登板過多気味だったので少し間を空けて休養させたわけですが、相手打線にねじ伏せられる形でダメ押しを許してしまいます。昨日は先発の金子が初回にいきなり5失点して試合を壊し、今日はエラーで負けた。こうなるともったいないのは27日の西武戦。1点リードの9回に山川に逆転サヨナラ打を打たれて負けた試合です。制球が全く定まらず、誰が見ても危なっかしかった堀を続投させたのは、玉井宮西秋吉という3人を温存したからです。西武3連戦は既に勝ち越していたし、この試合は落としてもいい。その代わり温存した玉井宮西秋吉の勝ちパターン投手をフル回転して、首位ソフトバンクに勝ち越して差を詰める。そんな皮算用があったんでしょうが、その3投手を使うまでもなく肝心のソフトバンク戦にあっさり連敗。挙げ句はビハインドで温存していた玉井を使って打たれて致命的な追加点を許すなど、首脳陣の采配はすべて裏目に出ている。これは結果論ではありますが、勝負事は勝てる時に勝っておかないとダメ。そんなことを思い知らされました。8月11日からのロッテ6連戦で、休養のためという理由で杉浦、マルチネスというローテ投手を2人も登録抹消して負け越したのもその一例ですね。上位チームとビジターで闘うのにローテ先発を2人同時の抹消なんて、思い上がりもはなはだしい。今のハムは捨て試合を作って計算通り勝てるほど強くないのです。

 必勝を期していた有原で落としカード負け越し決定。ソフトバンクとの差は6.5ゲーム差に開きました。2位ロッテも勝ったので2位との差も4.5ゲーム差に。楽天の結果はまだわかりませんが、楽天が勝てば3位楽天との差は3ゲームに開き、西武が勝てば5位とのゲーム差が3.5と詰められる。

 残り59試合で首位と6.5差は、逆転不可能な差ではありません。ただしそれは追いかける側が2位である場合です。今回は4位からの追走。首位ソフトバンクだけでなく、2位ロッテや3位楽天も蹴落とさないと優勝はない。1チームだけが相手ならなんとかなっても、3チーム相手では困難。ましてその上位3チーム相手に今季ハムはすべて負け越しています。ハムは格好の「お客さん」なのです。客観的にみて、逆転優勝はきわめて厳しくなったとみていいでしょう。CSに出るなら2位までに入る必要がありますが、ロッテも楽天も、そして西武もオリックスも最後まで諦めず全力で来るでしょう。特にオリックスは今季5勝5敗と苦戦しているうえに、中嶋新監督は栗山監督の手の内も、ハム選手の長所も弱点も全てわかっています。厳しい戦いになるでしょう。

 あしたはバーヘイゲンの先発。チカラのある投手ですが、8月16日のロッテ戦で、足を絡めた攻撃に脆いことが露呈しています。ロッテ以上に俊足の選手が多く、一発長打だけでなく相手の弱点を徹底的に突くいやらしい攻撃を仕掛けてくるソフトバンク相手に苦戦は必至でしょう。過去1度の対戦は6回2失点で勝ち投手になってますが、その頃とはチーム状態も違う。明日負けてカード3連敗するようなら、終戦に限りなく近くなる。去年同様、8月に急失速して下位転落、という失敗を繰り返すのか。それとも巻き返すのか。ここが踏ん張りどころ、のるかそるかの正念場です。



 

 

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