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自由律ラジオ(仮)はじまり 作品紹介②


①に続き、「自由律ラジオ(仮)」にご応募いただいた作品をご紹介させていただきます。

テーマは「はじまり」。
応募期間内に「#自由律ラジオはじまり」のハッシュタグでツイートされた方の作品を、応募当時のアカウント名でご紹介させていただきます。

※掲載を希望されない方、アカウント名の訂正をご希望の方は、この記事へのコメントかTwitterのDMにご連絡いただければと思います。

投稿作品(アカウント名)
おのぎの選コメント(評というより感想コメントです。)

以上の形式でご紹介させていただきます。

◇◇◇◇◇

終わりましたはじまります (大豆さん)
何かが終わった後に、間髪入れずはじまる何か。
丁寧語の口調から、どこか事務的な印象を受けました。
はい、終わり、はい、はじまり、と機械的に運ばれていくような感覚。
予定調和を守った世界。それこそが世界、なのかもしれない。
深読みが止まりません。
シンプルな言葉に想像が広がる作品です。

つま先で引いたスタートラインは現在地 (タカタカコッタさん)
現在地を確認するところから、全てがはじまる。
最後に靴でスタートラインを引いたのは小学生の頃だと思いますが、
校庭や公園に線を引いた時のザリッとした感触を鮮明に思い出しました。
この句を目にして童心を思い出したのは私だけではないはず。
地に足のついた、希望的なはじまりの予感が感じられる素敵な作品です。


実験動物が逃げた月夜 (たばささん)

冒険がはじまりそうな一句。
逃げ出した彼もしくは彼女を、全力で応援したくなりました。
自由を手に入れた、人生(人ではありませんが)のはじまりに、月夜の演出がぴったりです。
「実験動物が」とあるので、主体は実験する側の人間なのでしょうか。
「逃げられた」ではないので、逃げた動物に対して苛立ちを感じているわけではないような気もしますが、主体の表情が読めず、何となく不穏な感じも受けます。
脱出の解放感と、物語がはじまりそうな空気に引き込まれる素敵な作品です。

どこからか たまごがひとつ あらわれて なかからたまご またたまご (たまごさん)
マトリョーシカ。
不意に出現したたまごの中から果てしなくたまごがでてくる、なんともふしぎな世界です。
全文平仮名、5・7・5・7・5の七五調(和歌形式?)で語呂も良く、
童話や童謡に登場しそうな楽しい雰囲気です。
「はじまり」に絡めると、、たまごからはじまる、ということでしょうか、、
たまごからはじまり延々たまごが出てくる。
(鶏が先か卵が先か問題への持論という可能性も?)
可愛らしい響きが楽しい作品です。

良いことばかりはないけれど朝はいつも新しい( 月兎耳さん)
「朝はいつも新しい」前向きでひたむきで素敵だなぁと思い、選ばせて頂きました。
良い事ばかりはないけれど、それはそれとして、新しい朝をはじめる。
素敵な考え方だと思いました。
「良いことばかりはない」と前置きしているということは、主体には何か落ち込むようなことが起こったのだと推測されます。
それでもやってきた朝をポジティブな気持ちで迎えようとする主体の姿勢が眩しく、読み手を明るい気持ちにする素敵な作品だと感じました。


最初はグーを入れない人か( 哲ロマさん)
いますよね、いきなり「じゃんけんぽん」ではじめる人。
こちらは当然のようにグーからはじめるつもりで握りこぶしを作っていて、
え、あ、あ、、と慌てる羽目に。
リズムを崩され、思わず「最初はグーじゃないんだ…」と口走ってしまう、
コミカルな場面を想像しました。
「最初はグー」は偉大な発明ですね。
タイミングの合わないジャンケンが目に浮かぶ、楽しい作品です。

どの靴にしようか (哲さん)
靴選びから、はじまる。
主体はとてもお洒落な人なのだと思います。
行き先、天候、服装、季節、誰に会うのか。
外出前に靴を選ぶ、楽し気な様子を想像しました。
靴を選ぶときに思い出すこと間違いなし。
非常に簡潔で短い句の中に共感性が凝縮されていて、鮮明に状況や映像が浮かぶ素敵な作品です。


履歴書を書く前のペン選び (トヨさん)
履歴書を手書きするの、大変ですよね。
そして、ペン選びはとても重要です。
インクの出が悪かったり、量が多かったりすると汚れやかすれが出来て書き直しの原因になってしまいます。
(私は履歴書を書き慣れているので共感が深いです。)
就活、もしくは転職活動に臨むにあたって真剣にペンを選ぶ主体の姿から、気合と緊張感が伝わってきます。
新たな一歩に向けての小さな選択に焦点を絞った、素敵な作品です。

ショートケーキに一本だけのろうそくを灯す(とらみな(寅三奈)さん)
ショートケーキにろうそく、一人で祝う誕生日でしょうか。
「特別な日を祝いたい」という主体の気持ちが伝わってきて、温かい気持ちになりました。
崩れないように、倒れないようにろうそくをたてて、そっと火を灯す。
小さな光が揺れている様を想像して、切ないような、愛おしいような感覚にキュンとしました。
「一歳の誕生日」という可能性も考えましたが、
ショートケーキなので違うのかなぁという結論に至った次第です。
(もしそうだったらごめんなさい。)
もしかしたら誕生日でもないのかもしれませんが、記念日のお祝い、新たな一年のはじまりを照らすろうそくの灯、という解釈をしました。
読み手に温かな灯りを想起させる素敵な作品です。


抱きしめて欲しいと言った覚えしかない(ナカムラロボさん)
こちらの作品、解釈にかなり悩みました。
主体は今まさに想い人に抱きしめられていて、その瞬間は驚いて動揺したけれど、よく考えたら自分は「抱きしめて欲しい」と伝えていた。
むしろ「抱きしめて欲しい」と言った覚えしかない。
という、念願叶って恋愛が始まる句、という読みに至りました。
細かい状況や関係性については読み間違えているかもしれませんが、一読したときに思わずドキッとしたのでこちらの句を選ばせていただきました。
ドキドキしながら「どういう状況なんだろう」と考えるのがとても楽しかったです。
素敵な作品をありがとうございました。

思いとどまれと言われた冬の日 (七屋 糸さん)
「思いとどまれ」シビアな言葉です。
主体の希望や意志を全面的に否定する言葉。
ここまで踏み込んだ発言をするということは、主体と近しい関係の人の言葉なのだろうと想像しました。
信頼している、頼りにしている、もしくは頼らざるをえない相手に言われた否定の言葉は記憶の深い部分に残ってしまうものだと思います。
しかしこの主体は思いとどまらなかったのではないか、と、私は感じました。
否定の言葉を振り切って自分の人生を歩き始めた主体が、それでも時折思い出してしまう、そんな心情を想像しました。
結句の「冬の日」によって寒々とした薄暗い冬の光景を想起させ、「思いとどまれ」という言葉と主体の気持ちに温度を持たせる効果が素晴らしいと感じました。
素敵な作品をありがとうございました。

歳時記を買いに行く( 猫原えみさん)
俳句をはじめようと決意した日の句でしょうか。
俳諧の可能性もありますね。(不安になってWikipediaを見ました…)
新たな世界に飛び込むワクワク感が素敵です。
出かけていく主体の気持ちを想像して、楽しい気持ちになりました。
新たに何かをはじめる時、その準備をしたり、情報を集めている時間は本当に楽しいですよね。
5・5で短くリズムの良い句に、明るい気持ちが詰まった素敵な作品です。

ここにはいつもあなたの声が居ました (猫家ねこはちさん)
こちらの句、難解で、私には読み切れませんでした。
ただ、ぱっと見た瞬間に心に引っかかったのが「あなたの声が居ました」という表現です。
とても興味深く、強く惹かれたのでこの作品を選ばせて頂きました。
身体が在る、実体としての「あなた」が重要なのではなく「声が居た」確かにここに在った、ことこそが重要、ということだと解釈しました。
とても特別な関係性であることが想像されます。
そして「居ました」という過去形。
ここにいつも居たものが、現在は失われている。
喪失から何かが芽生えていく「はじまり」の句でしょうか。
力及ばず、的外れな感想だったら申し訳ありません。
若輩者故、何卒ご容赦ください。
はっきり分からないけれど、「声」の存在感の大きさが不思議な魅力を作っていて、そして喪失の哀しみが静かに香る作品だと感じました。

六花咲く頃、ルージュの似合う(八条さん)
恥ずかしながら、六花が雪の別称であることをこの句をきっかけにはじめて知りました。ありがとうございます。
雪の結晶には六角形が多いことから「六花」だそうですね。
「雪が降りはじめる頃」を「六花咲く頃」と美しい詩的な言葉で表現されていて、とても素敵だと思いました。
雪景色にはっきりした色のルージュが映えていて思わず見惚れてしまう
(恋人もしくは想い人でしょうか…)、そんな場面を想像しました。
「六花」を何と読むかでリズムが変わると思いますが、「リッカ」もしくは「ロッカ」の読みだと語呂も良く、思わず声に出して読みたくなります。
素敵な作品をありがとうございました。

マイクの不調に終始する(はにわさん)
zoom会議でしょうか。
リモートワークやオンラインの集まりに参加する機会が増えた今、この句は多くの共感を集めそうですね。
音が途切れたり割れたり、最後まで安定せず、結局何も進まない無為な時間だった…と脱力する主体の姿を想像しました。
4・4・5の音数でマイク、不調、終始、がリズムを作り、とても気持ちの良い響きです。
素敵な作品をありがとうございました。

布団の中まだ寝ていたい暖気運転 (はやしさち子さん)
冬の朝。温かい布団の中から出たくない、出るのが辛い。
もう目は覚めているけれど、冷気の中に出ていく決心がつかずに布団の中で小さな抵抗を試みているときの状態を「暖気運転」と表現されているのが上手いなぁと思いました。
念のため調べると「暖気運転」とは、機械を始動した直後に低負荷での運転を一定時間行うこと。
布団から出られない朝、まさにこの状態ですね。
比喩表現が光る素敵な作品です。

螺旋ほどいてもう一度編む鎖( ぴぃさん)
「螺旋」なので、かぎ針編みでしょうか。
編むのは時間がかかるのに、ほどくときは一瞬です。
私は趣味で編み物をするので、主体の状況がまざまざと浮かびました。
編み目を数え間違えたり、編みはじめと目の大きさが変わってしまって歪んだり。
なんとか修正しようとしても上手くいかなくて、結局全てほどいて一から編み直すことも珍しくありません。
最初からやり直そうと決めてしまえば、案外あっさりほどいてしまえたりします。
これは編み物に限らず、色々な場面に置き換えられそうだと思いました。
ほどいた編み目が螺旋を描いて毛糸に戻っていく光景が目に浮かび、ある種清々しい気持ちが沸き起こります。
素敵な作品をありがとうございました。

まさかスタンディングオベーションするとは (ビールおかわりさん)
思いがけず素晴らしい公演に感動し、気づけばいつの間にか立ち上がって力の限り手を叩いている自分がいる。
もしくは、カーテンコールで周囲の人が次々立ち上がり、「え、立つの?」と戸惑っているのか。
「はじまり」のイメージだと、前者かなぁと想像しました。
思わず立ち上がってしまう、感動の力で自然に身体が動くあの感覚は何度味わっても素晴らしいものです。
興奮と余韻に包まれながら、観る前と後で世界の色が変わっているような。
何かが変わる、わくわくする瞬間を思い出させてくれる素敵な作品です。

雨に叩かれ起きたか蛹 (昼行灯さん)
まるで眠っているかのように微動だにしなかった蛹が、雨によって動き出す気配を見せる。
幼虫から成虫への変容の過程である蛹。
その皮の中では凄まじい大改造が行われています。
雨に「打たれる」ではなく「叩かれる」という言葉から、激しく容赦ない刺激を受けてようやく反応する蛹の姿が想起されます。
この句においての「蛹」は、作者の内に眠っていた感情、衝動を意味しているのでしょうか。
「起きたか」という表現からは、作者自身の変容ではなく、近しい人の成長を見守っているような印象も受けます。
あるいは実際に蛹を眺めているのか…想像が広がります。
7・7のリズムが心地よく、脱皮寸前の緊張と期待を感じさせる素敵な作品です。

はじまりのおわり おわりのはじまり はじまりのはじまり はじまりのおわり… (宥樹[記]さん)
初句と結句がともに「はじまりのおわり」。
「はじまり」と「おわり」を組み合わせた言葉遊びのような作品です。
良く見ると「おわりのおわり」だけがない。
「はじまりのはじまり」はあっても、「おわりのおわり」は存在しないということでしょうか。
最後の「…」が、永遠に続く言葉の迷宮の入り口のように見えます。
底なし沼のような言葉の世界へ読み手を誘い込む、不思議な魅力に満ちた作品です。


もがいていた頃の欠けらを拾う( 富豪閣さん)
「もがいていた」、過去形。
主体は今はもう、もがき苦しんではいないのでしょう。
必死にもがいていた頃の自分を思い出す何か、を「欠けら」と表現されているところが、共感性を高めるポイントになっていると思いました。
日記かもしれない、写真か、本か、何かしらの創作物か。
欠けらは、主体にどんな感情をもたらしたのか。ここから何がはじまるのか。
絶妙な余白に、想像がどこまでも広がっていきます。
流石富豪閣さんです。素敵な作品をありがとうございました。

深呼吸 肺が凍って 溶ける朝 (ぷっしろさん)
痛いほど冷え切った空気で満ちた朝。
「凍って溶ける」の表現で、冷たい空気が気管を通って肺を満たし、白い息となって吐き出される感覚を思い出しました。
「肺が凍る」には少し怖さを感じてドキッとしましたが、冷たさに目が覚める、身が引き締まる感覚。
そんな一日のはじまりを思いました。
読み手に温度を感じさせる素敵な作品です。

イントロのまま三十路 (平安まだらさん)
単律のストレートな句。シンプルですが強烈な文字列です。
「イントロ」が強い。
映画なら、まだタイトルも出ていない。
物語で言えば、本編が始まっていない。
音楽なら、メロディが始まっていない。
人生においていまだ何も成していない、自分はまだまだ若者だ、と、思っていたら、いつの間にか二十代は過ぎ去っていた。
しかし、主体はそれほど焦ってはいないのでしょうか。
どことなく俯瞰的な視点を感じます。
あるいはイントロのまますでに諦念に達しているのでしょうか。
個人的に、かなり心に突き刺さりました…
素晴らしい作品をありがとうございました。

真っ白なノート開いて深呼吸 (みちるさん)
新しいことを始める、直前の高揚感。
目の前に開かれた真っ白なノートが、ハレーションを起こして眩しく光る光景を想像しました。
白紙に宿る無限の可能性。
「深呼吸」の動作から、あふれ出しそうな期待と覚悟を感じます。
定型の音数はやはり心地よいものですね。
わくわくするはじまりの瞬間に、主体を応援したい気持ちになりました。
素敵な作品をありがとうございました。

ペンネームで手紙を送るあなたが居ました(深雪さん)
「ペンネームで手紙を送るあなた」が居たのか、
「ペンネームで手紙を送る/あなたが居ました」なのか。
前者ならば、「ペンネームで手紙を送る」あなたの意外な一面を知った主体の驚き、発見を描いていると読めます。
後者なら、ペンネームで手紙を送っているのは主体で、「あなた」は宛先なのでしょうか。
この場合だと「居ました」の過去形から、今はもういない「あなた」を懐かしんでいるような印象を受けます。
「あなた」はどんな存在なのでしょう。
ペンネームで送るということは、ラジオ番組への投書でしょうか。
ファンレターや、ペンフレンドに宛てている可能性も考えられますね。
個人的には、文通相手の手紙を読み返している場面だったら良いな~と思いました。
想像(妄想)するのがとても楽しかったです。ありがとうございました。

演奏が始まる直前の喧騒がやむ瞬間 (むーむーさん)
真っ先に、劇場でのコンサートを思い浮かべました。
チューニングの音が止み、ガヤガヤしていた客席がシンと静まりかえる瞬間。
期待感、高揚感が最高潮に到達するあの瞬間を思い出してドキドキしました。
コンサートのみならず、バレエやミュージカルの公演にも当てはまりますし、ロックバンドのライブもそうですね。
一瞬の静けさを切り取ることで、直後に始まる音の衝撃まで予感させる演出が素敵です。
ライブに行きたくてたまらなくなりました。
素敵な作品をありがとうございました。

重そうに見える扉も案外軽い (やな らいやさん)
5・7・7で耳なじみ良く、声に出してみても読みやすくすっと入ってきます。
「重い」で始まり「軽い」で終わる構成が素敵だなと思い、選ばせて頂きました。
開いてみるまでは、扉の重さは分からない。
「思い切って開けてみたら、案外軽く開くかもしれないよ。」
という、ポジティブなメッセージと受け取りました。
挑戦する人、新たな一歩を踏み出そうとしている人の背中を押してくれる、素敵な作品です。


あなたと結婚できて幸せでした 空を見上げて (ゆうこさん)
「あなたと結婚できて幸せ」の言葉にほっこりした気持ちが、後半の切なさにギュッと締め付けられました。
亡くなったパートナーへ向けて、胸の中で呟いた言葉なのでしょう。
死別後の一番辛い時期を乗り越えて静かに感謝を伝える姿から、主体は芯のある強く優しい人なのだろうと思いました。
「あなた」への愛情が伝わってきて、切なくも温かい気持ちになりました。

コーヒーメーカーから朝を沸かす (ゆりのはなこさん)
「朝を沸かす」という表現が面白くて好きです。
コーヒーメーカーから「朝」の文字が次々に飛び出していく景を想像して、楽しい気持ちになりました。
実際は、モーニングルーティンを詠んだ句でしょうか。
一日の始まりはコーヒーの香りから。
寝起きの頭の活動スイッチとしても素敵ですね。
素晴らしい作品をありがとうございました。

朝起きて加湿器の水入れる (宵月さん)
こちらの作品もモーニングルーティンでしょうか。
5・5・5でテンポよく読める印象です。
なんとなく無意識に動いているような、頭はまだ寝ているけれど身体が勝手に動いているようなイメージが浮かびました。
身体に染み付いた動作のような。
空気・環境を整えて一日を始める主体の人物像が垣間見えるところも楽しい作品です。

始発駅に漂う昨日の残り香 (羊子さん)
始発が動き出す時間の始発駅を想像しました。
「残り香」の響きが、どことなく気怠さを漂わせているように感じます。
出発する人と帰宅する人が入り混じっているのでしょうか。
置き去りになっている雑誌や空き缶などのゴミが、昨日の残骸として目についたのかもしれません。
それとも、もっと漠然とした空気や気配のようなものでしょうか。
始発駅だということは、終着駅でもあるはず。
到着と出発の狭間に溜まっている昨日のイメージが浮かびました。
はじまりと同時に終わりを想起させる、味わい深い作品です。

お隣のアラームで目覚める (吉田髑髏さん)
壁が薄いアパートでしょうか。
隣のアラームが鳴りやまない。こんな大きな音で起きないなんてどうかしてるんじゃないかと隣人の神経を疑う。
ゆっくり寝ていたい休日に起こった悲劇。
二度寝しようとうとうとした頃に、再び鳴り響くアラーム。スヌーズか。
おかげで完全に覚醒してしまう。
などと、妄想が広がりました。。。
読み手の想像を掻き立てる素敵な作品です。

空っぽになったあの部屋の日差し (雷(らい)さん)
引っ越し作業が終わり、荷物がなくなった部屋に日が差して白っぽく光っている映像が浮かびました。思わず目を細めて佇んでしまうような。
自分でも何故かは分からないけれど、妙に記憶に残る光景ってありますよね。
この句の主体にとって、この部屋の光景はそういう種類の記憶なのかなぁと思いました。
新生活のはじまりを象徴する、部屋との別れ。
少しの感傷と眩しい記憶を切り取った素敵な作品です。

ひとつめの波からはじまる海の曲線 (リカオン28さん)
「ひとつめの波」に、はっとしました。
はるか昔から存在する海を前にして、今、眼前にある波を「ひとつめの」と言い切る、そしてそこから「はじまる」と、表現する勇気に圧倒されました。
「海の曲線」も素敵です。
目の前のひとつの波はどこまでも広がっている。
ちょっと途方に暮れてしまうような広さ。真っすぐではない水平線。
波音が聞こえ、壮大な景色が脳裏に浮かびました。
素敵な作品をありがとうございました。

スーツの寝ぐせにキュンとする (るびいさん)
ギャップ萌えでしょう、きっと。たぶん。いや、そうに違いない。
隙のないスーツ姿の後頭部に寝ぐせ、と読みました。
良いです。可愛いです。
見えなかったのかな、気づいてないんだろうな。教えてあげた方が良いかな…でも可愛いから、このままもうちょっと見てようかな。指摘したらどんな顔するんだろう。照れたり慌てたりするんだろうか。…見たい、その顔も是非見たい。
男女どちらでも良いですね!妄想が止まりません!
キュンキュンしました。ありがとうございました…!

最後に、企画発案者の金魚風船さんの作品にも感想を書かせて頂きました・・・!

明け方の公園に響くスケートボード (金魚風船さん)
主体はどこにいるんだろう??と悩みました。
近所の公園からスケートボードの音が聞こえてきて、明け方にも関わらず起こされてしまったのでしょうか。
そんな時間にスケボーの練習をしているのはきっと若者ですね。
主体はその音を聞いて昔の自分を思い出しているのかもしれない、と思いました。
スケボーをしているのが主体だとしたら、きっとスケボーに夢中で練習したくて仕方ないんだろうな、と想像しました。
まだ誰もいない公園で、思い切り練習する。
何かに夢中になっている時の、ワクワクして居ても立っても居られない感覚を思い出しました。
最高の一日の始め方ですね。
(金魚風船さん、後で句意を教えてください!)

◇◇◇◇◇

おわりに

重ねてになりますが、ご応募いただいた皆様に心から御礼申し上げます。
どれも素晴らしい作品ばかりで、選んでいる時間も、感想を書いている時間もとても楽しかったです。
皆様の作品に触れることでたくさんの刺激をいただき、勉強させていただきました。

普段から俳句を詠んでいらっしゃる方に多数ご参加いただき、たいへん有難かったです。
そして、今回の企画で初めて自由律俳句を詠んだ!という方がいらしたこと、とても嬉しく思います。
句歴に関係なく詠んで読んで、自由律俳句を楽しむ輪が広がっていったら素敵だなぁと思います。

やっぱり、自由律俳句は難しいけど楽しい!!!
いまだ初心者のやみくも句作の域から出られない私ですが、今後も楽しみながら続けていきたいなぁと改めて感じました。
そしてこんなに楽しい企画にお誘いくださった金魚風船さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!

自由律ラジオ(仮)、不定期になると思いますが、1回で終わらず続けていけたらいいなーと思っています。
その際は是非またご参加いただけると嬉しいです!
今後ともよろしくお願いいたします(^^♪



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