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麻痺

世界が狂っているかのように騒がしい一日だった。
民間航空機ごとの粛清から始まり。
沖縄での北朝鮮ロケット失敗によるJアラート。
ALPS処理水の放水開始。
ショーヘイ、テリー・ファンク、エトセトラ。
僕のポケットに入った世界の窓は一日中速報をしらせる。
狂っているぞ、狂っているぞと知らせてくる。

恐ろしいのは民間航空機の乗客についてあまり報道がないことだ。
パイロットも含めて何人の民間人が犠牲になったのだろう?
権力争いやるならどっか別の場所でやればいいのに。
そんなことってありえるのか?
天安門の時、衝撃だった。デモをする学生を国が戦車で轢き殺すなんてことはあまりにもおぞましくて、腹が立って仕方がなかった。
それが今度はデモ相手でも反政府でもない一般の人がもしも国に殺害されたのだとしたら?
誰が暗殺されたとかじゃなく、そちらがなぜ報道されず、どの国も非難しないのだろうかと衝撃を受けている。

あまりにも死が希薄。
戦争をしているとはそういうことなのか。
だからといってそれを受け入れる自分ではありたくない。

自分の持つバランスをこんなことで崩してたまるか。
そう言い聞かす。
世界が狂っているのだ。
僕がそれに合わせてやる義理はない。

ただちに映像が画像が僕のポケットに飛んでくる。
情報は次から次へと。
毎日のように緊急速報さ。
毎日のように緊急会見だ。
街を見渡せば何食わぬ顔でいつもの街のままだ。

何も変わらない街。
けれどほんとうに何も変わっていないのだろうか。
僕たちは知らない間に何かを麻痺させられているのではないかという恐怖。
空は繋がっているのに。

空は繋がっているのに。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。