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飛行機の音

飛行機の音をたびたび聞く。
いつもよりも少し多いなぁという感じで。
広島のG7が近いからだろうか。

広島でG7サミットが開かれるということを僕はもっと重要なこととして報じて欲しいなぁと思うし、こればかりは与党野党関係なく要望とかだけじゃなくて声明を出してほしいなぁと思っている。現政権の成果だとか与党も小さいことを喧伝しないで、野党も政局になんか利用しないで、超党派で広島という地に先進国首脳が集まることの重要性をもう一度話し合うぐらいがあってもいいんじゃないだろうか。共同声明でも良い。
韓国の大統領が韓国人原爆犠牲者慰霊塔に訪問することとかもさ。
国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則をもう一度広島で願うことはとても大事な気がする。
色々な問題が話し合われてそのたびごとに色々な意見が錯綜するのかもしれないけれど、あの原爆ドームの前では思いが一つであってほしい。色々な意見はあってもいいけれど、基本的なことだけは。自由だけどさ。
劇的に世界が変動していく中で僕なんかは小さい存在でどうしょうもないなぁと思うけれどさ。無知でどうしょうもない僕でもとても重要なことだけはわかるよ。

飛行機の音で近いんだなぁなんて気付くのも随分変わったなぁと思う。
僕が十代の頃なら、まぁそういうのって街宣車が知らせてくれた。
右も左もメガホンで大声でがなって車を走らせてた。
怖かったもんな、あの人たち。角刈りとか坊主頭とか。高校生の頃とかはチャリンコ乗って、うるせー!とか言ってからかって逃げたりしてたけどさ。
軍歌をガンガン流してたりとか、昭和天皇の戦争責任がーとか。
まぁ、やかましかった。
広島でG7サミットなんて、絶対やかましくなるやつだけど、今は静かだ。
精々、渋谷や新宿で風俗情報誌の広報トラックが、やかましく音をたてて走るぐらい。

「大豆田とわ子と三人の元夫」ってドラマがあったでしょ。
あれによく出てくる場所で代々木八幡駅の駅前の高架下があったんだけどさ。
あそことか、昔はビッシリと壁一面にチラシが糊付けされていたんだよ。
子供の頃は赤に白文字や、白に赤文字で、難しい漢字ばっかで、なんだかもよくわかってなかったけどさ。後から赤尾敏?ああ、右翼の人のやつかなんて知ったりしてさ。三島由紀夫とかね。いっぱいチラシに書いてあった。
あそこがドラマのロケ地だもんなぁって。
少し不思議な感じがする。

だからさ。街に出てもあまり空気感で感じないんだよ。飛行機しか。
ビラもなければ、やかましい街宣車もない。
もちろん、僕自身その方が快適で、街は綺麗で、なんだったらやっぱり少しずつ先進国てきな感じに進んでいるのかなとか思うよ。おしゃれじゃないしね、あの感じ。
実際、そういう世の中を求めていた気がするし、そうなっているのだからそれでいいのかもしれない。
元に戻るとかはちょっと言われたらゲンナリしちゃうわけだけれどもね。
SNSなんかでもTwitterから若い層が離れたのは政治的な空気が強すぎるからより画像や動画に特化したSNSに移動したなんてデータもあるらしいし、そっちの方向へ進むでしょ、やっぱり。

でも同時に、なんか、うわっつらだよなとも感じたりするわけです。
表面だけ取り繕って、幸せかどうかとかさ。
街宣車なんか大っ嫌いだけど、あいつら気合だけは入ってたよなとか。
んー。そういうことでもないか。
なんだろう、ほんとうは中身もあって、思っていることもあって、感じていることもあるのに、ベールをかぶっているような感覚というか。
別に具体的な政策がどうこうとかじゃなくて、希望であるとか、雰囲気であるとか、なんとなく感じる閉塞感であるとか、そういうものに対して知らねーーよバカヤロー的なこととか。なんかそういうものまで隠されちゃってるようなこの感覚は何なのだろう。

きどるのと、かっこつけるのって違うじゃない。
なんかきどっちゃってるんじゃねぇかなんて思ってさ。
かっこよろしくないですよ、とても。きどってると。

もっと肌の感じがして欲しいというか。

で、飛行機うるさいね。
うるさいんだけれどもさ。
ああ、遅すぎるけどようやく広島でG7サミットかと。
78年も必要だったか?ホントに?って思うけどさ。
僕のような不勉強な人間でもそれがとても重要なことだってわかるよ。
人間の歴史で初めて、人間の頭の上で原子爆弾が爆発した場所。
大量破壊、大量殺人、被爆。その広島。
そこで人間の過去の愚かさと、これからの未来の希望を感じられないなら終わりだろ。
そして亡くなった全ての皆様に申し訳ないだろ。

うわっつらでもなんでもいいけどさ。
世界が良い方向に進むように。
そこだけは思いを一つに出来たらいいのになぁって思うのですよ。

そんな日が近づいても変わらない街を明日も歩くだろうけれど。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。