見出し画像

連載「record album」④

 この貴重な自由な期間の夜の海でたったの一度だけだけれど人と会うことがあった。その他の日はもしかしたら誰かに見つかって怒られたりするんじゃないかなんてひやひやしていたのだけれど結局誰にも怒られることもなく夜の波の音と自分の今と世界の未来をぼんやりと考える時間になった。

 その日は海に入る事もなくただ砂浜に座ってぼんやりと夜光虫を見たり対岸の微かな空の明るさを見たり星を見上げたりして、いつものように自分がまだ何もわかっていないことに愕然としながら、なんだか鼻歌かなんかを歌っていたのだと思う。

「誰かいるんですか?」

ここから先は

1,704字
週刊発行で月額300円で全てご覧いただけます 週刊と言いつつ、それよりも少し多めにお届けするかもしれません また、書いてるよ・・・と思いませんように

能書き新聞

¥300 / 月 初月無料

SNSじゃ書けないこととか、劇団運営とか、映像制作とか つぶれていく無謀なアイデア群とか 今週のアイツ、ニュースに一言、インディペンデント…

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。