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代官山、中目黒、恵比寿、ここは歩いて行ける距離感なのだと知った2~3日。

街並みが特別きれいなわけではなくて、歩いている人がみなきれいなだけなのだ。すとんとしたシルエットのスタイルも上品な黒も、無造作に束ねられた髪も、人を寄せ付けないかんじがする。こんな街ではベビーカーをおす母親もまた二の腕あらわにサングラスをかけている。

そういう上品の世界の上の上品映画を私がとったらどうなるんだろうと想像を広げる。

『海が走るエンドロール』第5巻。半年に一度、私の先行くうみ子さんの日常。PFFで倒れたその後。とまあ、これがまたリアリティというかんじで、大事なく退院し、日常に戻っていく。母もそうだけど、仕事場で合う65歳という年齢を迎えている女性は、そんな仕方なさを越えた馬力みたいなものがあるので、これが弱気だなんて人には見せないんだろうな。それはたぶん本人も自覚できない部分というか。芸大にはわりかし自由に使えそうな編集室やスクリーンがあることを知る。

映画を通して母と娘の立場や会話が逆転し、その代わりスムーズな関係に進んでいくのも作品で描かれたものって少ない今の生活味がでていると思う。あと、海くんの主役をとられる問題。初主演作品というものに示唆を与えてくれた。

夫も読んだので感想を聞く。「面白かったね」のつづきを詳しく聞くべきなんだけど、その返事を待たずに「3時間の映画を30分削っても2時間30分しかならないところ?」って聞いてしまう。笑ってもらいながら「『バッドマン』も3時間は長かったからね」という。

それよりも「コミックなのに某書店カバーがつけられている」と驚かれる。すでに1、2年前の話だったと思うが、夫はブックカバーをつけられずにそのまま渡されたことを今でも根に持っている節がある。
「言えばつけてくれると思うよ」「いや無言でつけて渡してほしいんだよ、それが本屋に行く意味だ」と。
冗談と本気が五分五分か、いや本気が強めか、
過去、高田馬場にある芳林堂が破産したときも「あそこの店員はこちらから言わないとコミックにカバーをつけてくれない、しかも若い店員同士の私語が多いから。さもありなん」とコメントを出していたことを思い出す。根が深い。

たかがブックカバー、されどブックカバー。

休みの日の夫が買う漫画には、しっかりとブックカバーがついている。今回は有隣堂。場合によってはジュンク堂だ。これが夫にとって信頼する本屋の証なのかしらんと想像。

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