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コロナ化のマクドナルドで#マーケティングトレース

マクドナルト

今日は、みんな大好き日本マクドナルドホールディングス株式会社をマーケティングトレースしていきます。

マクドナルドは、1971年に日本に設立してから現在では、2,910店舗を出店するまでに成長しています。
直近発表した2020年12月期第3四半期報告書では、213,467百万円と去年の同時期と比べても+1%とコロナの影響を受けつつも、売上を伸ばしており、営業利益ベースでは前年同期比17.8%増の253億円で、1~9月期として過去最高となっていました。

【2020年12月期 第3四半期報告書】

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また、前年同月比で計算されている月次動向によると、2020年は、客数自体は減少しているものの客単価ベースでは増加していることがわかります。

【月次IRニュース 2020/12/04】

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売上が下がっている外食店が多い中で、マクドナルドがどうやって、コロナ化で客単価を増やし、売上を伸ばすにいたったのかをトレースしてきたいと思います。


マーケティングトレース


PEST外部環境分析

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外部環境の特徴としては、
・外出自粛による店舗利用者の減
・リモートワークにより、テイクアウト需要の高まり
・テクノロジーを活用した購買体験・店舗体験の向上
・環境問題への配慮から代替肉の開発が進む
などの傾向があります。


競合分析

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競合としては、以前から競合だった他のファーストフード店やハンバーガー店に加えて、コンビニコーヒーや冷凍食品・惣菜パン・弁当を提供しているコンビニなども競合に入ってきています。


STP(セグメンテーション・ターゲティング)

マーケティングトレース思考補助ツール -マクドナルド

マクドナルドの場合、ターゲット層が幅広く一概に指定できないのですが、仕事をしている30~40代男女と30代~40代のファミリー層と置きました。

コロナ化の中で、店舗来店数が減りテイクアウトやデリバリー需要などが増える中で、ターゲットの優先度は変わりそうです。


STP(ポジショニング)

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ポジショニングとしては、飲食店は競合が多いため、同じ土俵で戦う競合相手は多そうです。


4Pマーケティングミックス

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朝メニューから夜メニューまで一日を通して食べられ、老若男女に親しまているので、ターゲットが利用する時間帯に合わせて商品を帰ることで、LTVの高いブランドとなっていますね。

❏コロナ化の動き

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マクドナルドのビジネスモデルは、利用顧客数×利用単価の単純なモデルです。
*通常、ここに利用頻度が入ってくるが決算では、単価×顧客数の計算で発表されているので、利用頻度は利用単価にまとています。

それぞれに対して、マクドナルドがどのような施策を行っていたかを見ていきましょう。

❏利用顧客数を上げる施策

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端的にまとめると、コロナによる感染を避けた、非接触型のモバイルオーダーやデリバリーサービス、ドライブスルーサービスなどに力を入れてます。

とくにモバイルオーダーはダウンロード数が好調で、2020年3月時点までに累計6,600万ダウンロードを稼いでいます。
(単純に考えて、日本人に2人に1人がダウンロードしている計算)

「マクドナルド公式アプリ」は、累計約6,600万ダウンロード(2020年3月時点)いただいているほか、日本国内で使用されているアプリの中でLINE、Youtube、Twitterなどに続いて、ユーザー数第10位になるなど、多くのお客様にご利用いただいております。『便利&快適に進化した店舗体験を、さらに多くのお客様へご提供累計約6,600万DLのマクドナルド公式アプリに「モバイルオーダー」の機能を拡充』


❏利用単価を上げる施策

マーケティングトレース思考補助ツール -マクドナルド2

2020年11月の数字では、前年の同時期と比べて+18.5%と顧客単価が上昇しています。背景としては、顧客が店舗からテイクアウトやデリバリーサービスに切り替わったことで、ファミリー層の利用が増え、オーダー時の品数や単価が上がっていることが挙げられます。利用顧客数を上げる施策とうまく連動しています。

❏中長期方針

ここまで挙げていた施策の背景にはもともと2018年~2020年の中長期の取り組みとして発表されていた中長期戦略があります。

【2020年 第二四半期決算発表】

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コアである、マクドナルドメニューやお手頃価格なバリューメニューを充実させる一方で、より成長を加速させるために、「デリバリー」「デジタル」「未来型店舗体験」と店舗展開を挙げています。

コロナが始まる前から、コロナでも対応できる準備をしていたのですね。


成功要因のまとめ

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ここまでをまとめると、コロナ化におけるマクドナルドの成長は、
①:もともと基盤にあるマクドナルドの信頼やブランド価値を更に上げるアプローチをしていた。
②:①で大事にしているブランド価値をお客さんにとって快適に届けるための仕組みづくりをしていた。
③:①と②を提供するためのクルーの採用や育成

などが挙げられるでしょう。

学び

①目先の競合やコロナなどに関係なく顧客体験のあるべき姿を描き、実行する

今回調査していく中で、モバイルオーダー対応のスピードを感じたのですが、もともとマックでは、モバイルオーダーの導入を2020年04月から始めていました。

これは、顧客体験のあるべき姿をコロナウィルスがあるかないかに関係なく、描き実行していたんですよね。この背景としては、もともと2000年代に効率化を進めた結果、顧客数が減り2015年に過去最高の赤字(350億円)を出した背景がありました。

どんな規模になってもビジネスの基本である顧客と向き合い、顧客体験を向上し続けることは必要ですね。

それでは、2014年の話に戻るけれど、私たちは、「顧客をがっかりさせてしまった」ということを、しっかり自覚して受け止めるところから始めました。
だからこそ集中的に行なったのは、顧客の声に耳を傾け、「マクドナルドが何をすべきだと思っているか」を聞くこと。
そして、そこから見えてきたこと、つまり「やるべきこと」を、ただただひたすらやってきたのです。『【独占】マクドナルド社長の栄光と挫折。今語る「復活の道のり」』


②自社のコアを伸ばすことが競争優位に

STP分析で見たとおり、競合が多い飲食店では、提供スピードや安さなどが競争優位にはなりづらいです。そのため、コアビジネス自体の信頼や価値を高めることも忘れずに同時に必要ですね。

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