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Algomaticの採用哲学

こんにちは、株式会社Algomatic大野(@ono_shunsuke)です。

2023年4月に、20億円の投資を原資に「生成AI時代を代表する企業になる」ことを目指し、Algomaticという会社を作りました。Algomaticは、この技術革命期におけるチャレンジの数を最大化すべく、スタートアップスタジオ的な組織構造を取り、複数領域で同時に事業を立ち上げています。

複数事業の同時立ち上げ
スタートアップスタジオ型の組織

スタートアップスタジオ構想は、言うは易く行うは難しで、いわば複数のスタートアップの創業メンバーを同時に集めるようなものであり、特に採用・組織づくりについては、とてもチャレンジングな取り組みです。

しかし、これまで創業から約1年、仲間集めと事業立ち上げの両面で、(まだ道半ばではありますが)確かな手応えを感じています。現在、フルタイム25名、パートタイムを含めて40名の心強いメンバーと共に、4つの事業を展開しております。各事業には、事業立ち上げ経験豊富な事業責任者、複数のスタートアップでVPoE/CTOの実績を持つCTO、メガベンチャーで新規プロダクト開発をリードしてきたCPO、複数の新規事業をデザイン面で牽引してきたCXOなど、優れた実績を持つ仲間が参画しています。

CxOメンバー(一部)

この1年間で、実質的に4つのスタートアップを同時に創業するかのごとく、4つの事業に強力な経営陣と優秀な初期メンバーが参画してくれたことは、間違いなく昨年の最大の成果の1つです。

素晴らしい方々との出会いには運も味方してくれましたが、ここまで歩みを進められた背景には、Algomaticが大切にしてきた独自の採用哲学があります。

今回は、未来の仲間に向けて、Algomaticらしさを体現する採用哲学について、紹介できればと思っております。また、もし採用・組織づくりをミッションとしている同志の方(CEO、CHRO、人事責任者の方等)にとっても、何か示唆があれば嬉しく思います。

■ この記事の想定読者
・Algomaticのカルチャーに興味を持って頂いた方
・採用、組織作りをミッションとするCEO、CHRO、人事/採用責任者の方


採用哲学を支える3つのコアバリュー

Algomaticの採用哲学は、3つのコアバリューに支えられています。これらは、私たちが目指す組織の在り方と、大事にする価値観をよく反映しています。

1. 「担当者に任せる」ではなく、「全員で採用する」

私たちは、採用を特定の担当者や人事部門だけの仕事とは考えていません。Algomaticの全メンバーが、自らの仲間を見つけ、迎え入れる責任を持っています。これにより、互いに各ポジションに真に最適なマッチを確認することがができ、かつ、新しい仲間の円滑な適応(オンボーディング)まで一貫してサポートできると思っています。

2. 「良く魅せる」ではなく、「ありのままを見せる」

Algomaticは、採用プロセスを通じて会社の等身大の姿を見せることを何よりも大切にしています。「入社意思」を頂くことを目指して良い面だけを見せるのではなく、課題も含めたありのままの姿を共有する徹底した情報開示や、実際の業務を体験する「お試し入社」を通じて、会社の現実をありのまま体験していただきます。一見「採用」というスコープでは非効率にも見えうるこれらの取り組みは、個人と組織の長期的な真の成長につながると確信しています。

3. 「短期の穴埋め」ではなく、「10年かけて誘う」

Algomaticは、「3ヶ月以内に〇〇を〇人採用するぞ!」という近視眼的な動き方より、共に働きたい人との縁を3年・5年・10年と長期的な時間軸で丁寧に育むことを大事にしています。実際、3~10年前に共に働いた方々が弊社には数多く在籍しています。さらに、過去の同僚にとどまらず、ミートアップでの出会いやSNSでの繋がりなど、あらゆる一期一会の出会いを大切にし、それらを起点にリファラルの輪を広げ続けています。何年かかっても真の信頼関係を構築することに価値を置いています。

ここから、一つずつ、詳細を説明していきます。

1. 「担当者に任せる」ではなく、「全員で採用する」

1.1 なぜ全員で採用するのか

Algomaticでは、採用を特定の担当者や人事部門だけの仕事とせず、全員で取り組んでいます。実際、現時点では採用担当者すら置いていません。「担当者や人事部門に採用を丸ごと任せる」ではなく、「全員が共に働く仲間を、自ら採用する」というやり方です。

お誘いから面談、相互にフィットを確認するプロセス、そして入社後のオンボーディングまで、実際に共に働くメンバーが一貫して行います。各段階で、深い関係性を築きながら採用プロセスを進めることで、より高い精度のマッチングと、入社後スムーズな活躍を可能にしています。

手間がかかるアプローチではありますが、深い意味があると思っています。目先の「入社」をゴールとせず、「入社後の活躍、そして、双方最善の意思決定をすること」を真のゴールとしているためです。

1.2 「この人のもとで働きたい」と思う方を仲間にする

「全員で採用しよう」と言っても、実際にそれを実現するのは簡単ではありません。シンプルに、難易度が高いです。

そこで心がけてきたのは、それぞれの職能に求められる能力に加えて、「仲間を集める力」を持つ方を、お誘いすることです。お誘いする際に、私自身が、「もし逆にこの人にお誘いされたら、共に働きたい」「この人のもとで働きたい」と強く思う方を、お誘いしてます

「全員採用」には、複利効果があります。私たち自身がとても魅力的だと感じた方が仲間になり、その方もまた次の魅力的な方をお誘いする。こうした好循環が、「全員採用」の威力を複利で高めていくのです。実際、創業前に1人で始めた採用活動ですが、今や私にとって最高に魅力的な20名を超える仲間が共に最前線で採用活動を行い、すごく魅力的な仲間を集めてくれています。

1.3 マネージャー全員の週次採用モクモク会

継続的にやり切るために、具体的な取り組みとして、週に1回、全社のマネージャー陣が参加する「採用モクモク会」を開催しています。どんなに多忙な週でも、この時間だけは採用活動に集中します。

採用におけるタイミングの重要性は言うまでもありません。良き方との出会いを逃さないためには、継続的かつ迅速な連絡が不可欠です。しかし、日々の業務に追われると、ともすれば採用活動は、後手に回りがちです。

「採用モクモク会」は、このジレンマを解消するための仕組みです。週に一度、決まった時間を採用活動に充てることで、リズムを作り、継続的なアプローチを可能にしています。これにより、長期的な視点で重要な優秀な仲間を集めることと、日々の緊急度の高い事業推進の両立を図っています。

2. 「良く魅せる」ではなく、「ありのままを見せる」

2.1 メンバー自らの言葉で会社・事業を語る

Algomaticでは、各メンバーが、自分の言葉で会社や事業について語ることを大切にしています。「なぜこの会社を立ち上げたのか」、「何に共感し、入社を決めたのか」、「今何を考え、何をしているのか」を、それぞれの視点から自らの言葉で語ります

弊社では、多くのメンバーが、自主的に発信してくれています。昨年一年で、入社・創業エントリ、技術・事業に関する記事等々、50以上の記事が、多様なメンバーから発信されています。

創業・入社エントリ・ナレッジの発信等
Algomatic Tech Blog

特に、真にフィットする方の採用においては、まずはメンバーのリファラルの一次の繋がりを持つ方に、私たちの志や考えていることを深く理解していただくことが重要であり、そのためには、繋がりを持つ各メンバーが自分の言葉で語ることが欠かせないと思っています。

2.2 ポッドキャストで伝える人柄・思想

私たちは「Inside Algomatic」と題したポッドキャストも配信しています。ここでは、生成AI分野に関する知見や、会社の文化、思想などを各メンバーが語っています。

42本のエピソード(2024/7/8現在)

この取り組みは、Algomaticに興味を持っていただいた方に、より深く会社を知っていただきたいという思いから始まりました。面談や会食だけでは時間的な制約があるため、それを補完する形で、普段お伝えしている会社の文化や、メンバーの人柄等について、ポッドキャスト形式で発信しています。

重要なのは、私たちの発信が「不特定多数に届けること」よりも「具体的な個人に深く届くこと」を重視している点です。「バズ」ではなく、「特定の○○さんが私たちのことをよく知ってくれる」ことを目指し、各メンバーへのインタビューなど、Algomaticに関する濃密な情報を提供するよう心がけています

また、会社の方向性や価値観について新たな議論や発見があった際には、「これ、今すぐポッドキャストで録音しよう!」と即座に行動に移します。準備のしすぎや演出は避け、リアルな会話をそのまま届けることで、私たちの等身大の姿を伝えようとしています。

例えば、本noteに似たトピックについて、下記Podcastでもお話しています。

2.3 お化粧しない。ありのままの姿を、伝える

採用活動において、ともすれば会社の良い面ばかりを強調しがちです。しかし、そうした姿勢は入社後のギャップを生み、「こんなはずではなかった」という失望につながりかねません。

ゴールは、入社そのものではありません。真のゴールは、入社後の活躍と、両者にとってその決断が正しかったと長期的に感じられることです。そのため、入社を検討していただく段階から、会社の等身大の姿やリアルな状況を包み隠さず共有することを徹底しています。

具体的には、私たちの強みだけでなく、大切にしている価値観、苦手としていること、直面している課題まで、全て開示します。むしろネガティブに感じられるかもしれないことこそ、早く知っていただきたい、と思っています。もし合わないと感じられるのであれば、早い段階でそれが明らかになる方が、双方にとって有益だと考えています。

2.4 お試し入社(トライアル)で相互理解を深める

入社の最終意思決定を頂く前には、実際に一緒に働く「お試し入社(トライアル)」の機会も設けています。

双方の腹落ちした合意を大事にする

具体的には、NDAを結んだ上で、SlackやNotionなど社内で使用しているツールへのアクセスをお渡し、実際にチームに入り、数日間、協働します。この期間中、候補者の方には本当の意味で「チームの一員」として参加していただきます

このプロセスにより、候補者の方には私たちの働き方や文化を身をもって体験していただけます。これにより、双方にとってより良い判断できると考えています。

2.5 期待と機会を明確に伝えるオファーレター

Algomaticでは、採用プロセスの最終段階において、単なる条件提示にとどまらず、候補者の方への期待とAlgomaticが提供できる機会を明確に言語化し、お伝えしております。

具体的には、採用プロセスに関わった各メンバーから、「オファーレター」という形で自身の思いを言語化します。このレターには、例えば、以下のような内容が含まれます:

  • 候補者の方の魅力や強み

  • 一緒に働きたいと感じた理由

  • Algomaticで実現できる可能性や成長機会

  • 入社後に一緒に取り組みたいこと

素直に思いをお伝えしたい、という気持ちもありますし、期待や良いと思っていることをクリアにすることで、よりマッチの精度を高めたいという気持ちがあります。正確な相互理解こそが、良きマッチの素になると考えています。

3. 「短期の穴埋め」ではなく、「10年かけて誘う」

3.1 10年かけて、誘う

良い採用には、時間がかかります。世間では、「半年以内にCxOを採用したい」といった即効性のある施策を求める声もよく耳にします。確かに、運良く短期間で素晴らしい人材と出会えることもあります。しかし、本当の意味で組織に大きな価値をもたらす人との信頼関係は、往々にして長い時間をかけて育まれるものです。

私たちの経験上、優秀で適切な方と出会い、信頼関係を築き、互いに共に働くことを決めるまでに、1年、3年、ときには5年以上かかることも珍しくありません。これは単なる待機ではなく、積極的に関係性を築き、互いの成長を見守り、そして適切なタイミングを待つ過程です。

実際、Algomaticには、私や他のメンバーが何年もかけて誘い続けてきた人が数多く在籍しています。例えば、弊社の横断CTOの南里さんやChief of Staffの大田は、私が20歳の頃働いていたスタートアップからの旧知の仲で、10年近くの歳月を経て、再び一緒に働くことになりました。

実は大野は私のFiNC時代に一緒に働いたメンバー(当時彼はインターン生)です。スタートアップの大変な時期を楽しんでやってきた数少ない仲間で、お互いの大事にする価値観が共有できていたことは意思決定に大きな影響を与えました

横断CTO南里さんのジョイン時のnoteより

Algomaticの代表である大野、CTOの南里さんはFiNCでのインターン時代の仲間です。大野とはインターン生2人で新サービスをゼロから創り出すという貴重な経験をし、それは今でも強く記憶に残っています

CoS大田のジョイン時のnoteより

これは決して、私の関係値に限った話ではありません。他のメンバーが、n年かけて信頼関係を築き、誘い続けた末に合流したメンバーも少なくありません。AXカンパニーCEOの鴨居は、20歳のころに横断CXO野田と共に働いていて、10年越しに合流しました。他にも、多くのメンバーが、n年前の関係からジョインしています。

ちょうど30歳を迎えるという中で今後の過ごし方について考えていたところCTOの南里とCXOの野田に声をかけられました。野田とは学生時代にベンチャー企業での長期インターンで2年間ほど一緒に働いていた仲で、当時からいつか一緒に事業をやりたいねと話していたのでタイミング的にはちょうど良いなと感じました

AXカンパニーCEO鴨居のジョイン時のnoteより

3.2 リファラルの輪を広げる

Algomaticでは、強い信頼関係を重視する採用哲学をもとに、リファラル採用が大きな比重を占めています。メンバーの知人や、その紹介で入社される方が多く、互いの人柄や働き方をあらかじめ理解していることで、高い精度でマッチングできております。下記のポストでも紹介しておりますが、弊社の7割のメンバーが、リファラルで入社に至っております。

しかし、従来のリファラル採用には、その特性上広がりに限界があります。そこで、私達が重視しているのは「リファラルの輪を広げる」という考え方です。リファラル的な信頼関係を新たに構築し、結果としてそれが採用につながる、というものです

具体的には、ミートアップやSNSでの出会いをきっかけに、時間をかけて人と人との信頼関係を築いていきます。その結果、数ヶ月後、あるいは数年後に転職を考えるタイミングで、共に働くことになるというケースも少なくありません。実際、去年一年で、たくさんのミートアップや、イベントを開催しており、そこからご縁あった方と、一緒に働いております

この1年で開催したミートアップ(一部)。1000人以上の方にご参加頂きました

単に「リファラルが尽きたから別の採用経路を探すぞ!」というよくある発想とは異なり、「リファラル的に信頼関係を築ける関係性を増やす」、という信頼関係を重視する思想に基づくやり方です。

3.3 ビジョンの一致を確認する

私たちは、ビジョン的なフィットを確認することを、採用プロセスの中核に据えています。自社の目指す未来像・その背景にある思想、をお伝えすると同時に、候補者の方自身の描く人生のビジョン・キャリアの展望、価値観を理解するよう努めます

目指すこと

その上で、表面的な「スキルマッチ」や「即戦力であること」だけでなく、長期的な志の共鳴を重視しています。互いの方向性が一致すると感じられればお誘いし、そうでなければ別の道を選ぶような、誠実なプロセスを心がけています。

3.4 最高の仲間と共に生きたい、という「エゴ」

「真に長期的な信頼関係を何より大切にする」という私たちの考えは、決して綺麗事ではありません。むしろ、正直に言えば、これは私のエゴに近いものでもあります

私にとって、人生の本質は「誰と時間を過ごすか」にあります。「仕事」は、好きな仲間と、好きなことをしながら、充実した人生を送るための一つの手段とも言えます。その意味で、「採用」は単なる人材確保ではなく、人生の貴重な時間を共に過ごす仲間との出会いなのです。この考えのもと、私たちは真に長期的な視野で、関わる人々との関係を丁寧に育んでいきます。

私は、人生をかけて本気で挑戦を共にする「戦友」のような関係性がとても好きです。そういう関係を築ける仲間が一人でも増えることが、私にとって何よりの喜びです。この思想は、結果として仕事にも非常にポジティブな影響をもたらすとも思っています。真の信頼関係に基づいた協働は、互いに背中を預け合い、「この人を100%信頼できる」と心から思える関係を生み出し、それがチームの強さにつながるのです。

そして、だからこそ、たとえ即座に採用に至らなくとも、何年もかけて信頼関係を築くことも厭いません。なぜなら、「仕事」のためだけと考えると一見非効率的かもしれませんが、その過程で育まれる美しい人間関係そのものを私たちは心から楽しんでいるからです。

3.5 信頼関係から、「入社」以外の縁につながることも

Algomaticでは、当初は採用の文脈でお誘いした方が、直接の入社には至らなくとも、後日ビジネスパートナーとして協力関係を築くケースが少なくありません。これは、私たちの採用プロセスが単なる「選考」を超えた、真の「信頼関係づくり」であることを表しているかと思います。

採用プロセスにおいて、私たちは徹底的に誠実であることと深い対話を重視します。これにより、候補者との間に、人と人との深い信頼関係が生まれるのです。このやり方がもたらす予期せぬ恩恵も、弊社の採用の「らしさ」だと思っています。

次の時代を代表する会社を共に作りませんか?

Algomaticの採用哲学は、単なる人材獲得のための「戦略」ではありません。私たちが大切にする、「価値観」そのものを反映したものです。

全員が採用に積極的に参加し、自らの言葉で会社と事業を誠実に語り、時には何年もかけて、一人ひとりと深い信頼関係を育んでいきます。

Algomaticはまだまだ「未完成な組織」です。私たちの価値観に共感いただけた方、人生をかけて共に、生成AI時代を代表する会社を作りませんか?

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
会社にご興味を持っていただけた方は、まずはカジュアルに、お話しできると幸いです。

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