【夢現堂】について
今回は漫画のデビュー作?「夢現堂(むげんどう)」についてのお話です。
山もオチも特にありません。エピソードや作品に関することを綴ろうと思います。
実はネームから言えばすでに3年ほど前に描いた作品です。別の雑誌の新人賞に落選したあたりで描いていたものだったんですが、当時自惚れの反動(こちらの記事に詳細があります)で「あ、漫画向いてないや」とやけっぱちになりそのまま放置してしまっていました。
新人賞に落ちて飛び散ったメンタルが約一年後に再生し、下描きは最後まで終わってるし他の落選作なども含めてピクシブに載せるかーとなりました。やっぱりせっかく作ったものは誰かに見て欲しいし、反応も気になるのです。商品としての価値はなかったとしても。
「夢現堂」に関しては、ほぼ同時にTwitterにも掲載したんですが、当時はまだRT直後のツイートを覗き見ることが可能だったので(スミマセン)、期待以上の温かいコメントに本当に励まされました。イラストもすでにこれまでに十分すぎるほど温かいお言葉をいただいてきましたが、漫画はストーリーもキャラも絵もセリフも自分が責任を負うので緊張感は半端ないですね。でもこれも無料公開だから、批評は貰いにくいのだと思っています。
このあたりで満足していたのですが、だからこそ「ちゃんと完成してあげたかったなあ」という心残りがありました。そしたらピクシブの月例賞に引っかかりまして。未完成でも賞をくれるとはなんて太っ腹なんだ!と驚きました。
そして今回お世話になった、Nemuki+の担当さんにお声がけ頂き掲載となりました。
これまでコミックアンソロジーのお仕事で編集さんとお会いしたり打ち合わせしたりしたことはあったのですが、基本事務的なやり取りで済みました。しかし今回は喫茶店で顔合わせしたり打ち合わせしたりご飯へ行ったりということが全て新鮮で、「まるで漫画家みたいなことやってる……!」と自覚のなさ過ぎる感想を抱いていました。担当さんは私より若い方ですが、作品に対して真摯に向き合って下さるところに私も支えられて、完成まで走り抜けられました。
原稿中はフルタイムの仕事に加えてイラストの仕事を4~5本抱えてたので(ありがたいことですし、お受けしたのは望んでのことです)、脱稿まではスリル満点な数ヶ月でした。
そして本作について。修行では一本一本違うものを自分なりに描こうと決めていてました。その中で得意なもの、描きたいもの、喜ばれるものなどを見つけられたらいいなと。前作が舞台含めファンタジーだったので、日常の中の不思議として描いたのが「夢現堂」でした。
子どもの頃から自分でもしていた、もし自分のキャラが具現化して一緒に遊べたらという妄想。それから行動で示すタイプのヒーロー。(子どものころ大好きだった戦隊ものの、あるエピソードから大きな影響を受けました)少女漫画的な友情や魔法に少年漫画的なバトルと、割と自分が好きなものをストレートに描いたと思います。
キャラクターを濃くする、というのはおそらく私にとって永遠の課題になるかと思っていますが、旦(あさ)のあのポーズは実は職場の上司が初対面の時にやっていたものになります。しかも一度きり。
私はあまり空想は得意ではないので、日々の出来事をスクラップにして、貼り合わせるしかありません。そういう意味で、周囲にいる魅力にあふれる人々との縁をありがたく思います。
次はどんなのを描こうか、今度は何を改善しようか、そんなぼんやりした思考ではありますが、それが楽しく思えるほどには創作メンタルは回復しました。またどこかでお目にかかりましたら、よろしくお願いします。