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戸田 温
2022年1月10日 22:49
貴方を乗せた舟は、雲の影へと消えゆく途上。後を追うには遠すぎて。頬を伝う涙は、天空の海へと還る途上。拭うには寒すぎて。終にその舟は姿を消した。眼球に映ることを止めた月光舟に、止まることを知らぬ涕。隣で貴方が囁いたような気がした。「心で見て」と、、、瞼を閉じ、月光舟を追い続ける三日月の夜。