11/04/21 6:52

今日もまた、眠れない。時刻は朝5時前である。最近は過去民放で放送されていた国内ドラマを観るのにハマっていて、昼過ぎに目覚めた瞬間から眠たくなるまでの間一瞬も休むことなく、だ。正確に言うと昼過ぎに目を覚まし、昨日風呂に入らなかったことをほんの少しだけ後悔しながら、ベッドから出る口実のためにUber eatsを頼み、用を足し、大嫌いなシャワーを浴びる。テレビをつけ、ドラマの続きを再生させしばらくすると家のチャイムが鳴る。びしょびしょの髪の毛を雑にタオルでぐるぐると包んだら出る。あ、服も着ないと、危ね〜と呟いてそこらへんに散乱している服の山から適当なものを着用し、ようやく食べ物を受け取る。ソファに腰をかけドラマを少し巻き戻したところから、私の1日はスタートする。

本当は、朝起きて朝日を浴びるための散歩に行き、その道中に新たな発見があったりして、清潔を保たれた自宅に帰り着いたら今度はジムに行き、しっかり汗を流してから食べる朝ごはんは最高だろうな〜、とか、転職活動に必要な職務経歴書を書き込んだり、久しぶりにスーツに腕を通してWEB面接なんて受けたりしてから飲むビールは最高だろうな〜、とか、理想の今の自分の姿が頭を錯綜し続けている。そういう自分が心の中にいることを認知しながらも、ここ3週間ほどとりあえず呼吸して飯食って寝たい時に寝る生活で命を繋いできたが、いつまで経ってもそんな自分におさらばが言えないので、どうせ寝れないんだから、と今この時刻に部屋の明かりをつけて久しぶりにPCを開いた。

私は1つのことを考え始めたらずっと同じことを自分なりの答えが出るまで考え続けてしまうがために、仕事のことを考え続けてしまった結果、酒癖がアホみたいに悪くなり容易に男について行って簡単にセックスをしてしまったり、友人の些細な発言を許せなくなったり、他人の気持ちなんてあまり考えられなくなってしまった、もうすぐ26歳になる女会社員営業職役職なしだった。今はプロニート。9月から休職しています。理由は適応障害です。

休み始めて1週間は、ベッドから1ミリも動けなかった。とりあえず休めてよかった、このままだと仕事飛んでしまうところだった、よかった、と何度も頭の中で私自身を元気づけるように叫んだ。5日間が経過した頃、「とりあえず風呂に入ろう」と思った。その日は通院日。風呂に入り、身支度をし、キャリーケースに適当な服を詰め込み、家を出た。病院ではとりあえず休めてよかったですとだけ伝えて、すぐに新幹線に飛び乗った。これまで一度も娘を駅まで迎えに来たことのない父親から「雨降ってるから、駅まで迎えに行くわ」と連絡が来たことにびっくりすらしなかった。コロナで一年半、帰省していなかった。開口一番、「太ったな、安心したわ」と言われた。本当に太ったので何も言えない。

「今日暇だったらドライブ行こ」2回目の通院が終わりLINEを開くと一行目にそう書かれてあった。相手は会ったことのないTinderで知り合った男性だ。初見の男性と車内で密室になることの危険性は大いに想定したが、最悪殺されてもまあそれはどんまいってことで、と軽く受け止めて行くことにした。私のことを知らない誰かと、適当な話がしたかったからだ。その日は相手が星野源のことを「源くん」というので友達なの?といじったりしたことしか覚えていない。あとは都内を適当に走らせてくれている隣でビールを飲みながら、その知らない男性と大声で一緒に歌を歌っていた。サカナクションのアルバムの中でどの曲が好きだったのかまでは思い出せない。

そんなこともあったが、私はみるみる元気になっていった。毎朝起きて、朝日を浴びるための散歩をし、帰宅してご飯を食べてピアノを弾いて、映画を観て寝る生活をしていた。冒頭に記載したおおよそ理想の生活を送っていたのがプツンと切れてしまったのは転職活動を始めようとした時だ。またあの頭が割れそうで立っていられない頭痛が津波のように頭の中を押し寄せたので2日で辞めた。

実は約2年ほど前から極端なことが増えた。やる気満々、睡眠時間が3時間でも元気に笑顔とパワーで乗り切りますよ〜っ!金・土・日は酒三昧!寝てないけど会社行きます、みたいな生活を余裕で楽しくできる時と、完全に電池が切れて暗闇で泣く時が3ヶ月周期で交互に訪れるのだ。またその暗闇で泣く時が来たのか、と今だからなんとなくそんな感じで受け止められている。当初は暗闇で泣く自分を受け入れることができず、絶えずお酒を飲んで考える時間とお金をドブに捨て続けた。とりあえず、命を伸ばすために。

直近は楽しい時と暗闇で泣く時の差はそこまで激しくなくなっていた。ただなんとなく、この差ができてしまっているのは仕事のストレスのせいで、適応障害が治れば治ると思っていた。でもそんなことはないかもしれないと、最近は思っている。一生己のテンションの高低差に振り回されることを受け入れ、それでも前に進めていくのは己しかいない。

己しかいない。この強い自己認知がさらに私をぐちゃぐちゃにする。その己に立ち向かえなくて、目の前で尻込みしてしまうのだ。そうして、己を目の当たりにした私はシクシク泣いてしまうのだった。そこでいつも思う。そうしてシクシク泣いている私の隣に、誰かがいてくれたらいいのに。誰か、というものの誰でもいいわけではない。だから私はいつも己の前には私1人で立ちはだかるのだ。連れて行かれて迷惑を受ける被害者は出させない。だけど、己と立ちはだかる前に寄り道が必要だ。煙草を加えて、酒を飲んだら、適当に、私のことを何も知らない誰かに、体を許すのであった。体だけを許している。私は私自身で、私が女であること、人間であること、他人は温かいことを自覚することで、ようやく己と立ち向かうことができる。

何をやっているのだろうか。これは寄り道が終わった後の感情である。己がこんなことを見るとさらに強さを増して、襲ってきそうだ。そうやって考えているうちに、己に立ち向かうことをいつも辞めているのだった。








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