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友人と私の遠い夏の USA <ヨセミテ編>

夏がきて、抜けるような青空にザ・夏!と主張しているような入道雲を目撃したりすると、今でも懐かしく蘇る風景は、20代の終わりに友人と決行したアメリカ縦断旅行での、記憶のかなたできらめく夏の風景だ。
中学時代にハリウッド映画に恋をして、英語に沼墜ちした私にとって、いつの日かスクリーンの向こう側のあこがれの地USAに上陸する!という想いは、ずっと抱き続けてきた消えない野望だった。

1994年夏、ついに『映画の友』の友人と、温めてきた共通の夢を決行!
ネットもスマホもないアナログな時代、旅のガイドブックの王道『地球の歩き方』だけを頼りに、綿密な旅企画会議を数回にわたり開催、3週間に渡る二人旅をスタートさせた!
少し色あせたフイルム写真とメモ書きの断片、30年経過しても消えない記憶のパズルピースをつなげながら、あの時、書きそびれてずっと後悔してきた旅日記の代用として少しずつ綴っていきたい。

初回は、旅の始まりのヨセミテ国立公園編!

カリフォルニア州シエラネバダ山脈の中央部に位置し、サンフランシスコからは車で約3時間半。1984年にユネスコ世界遺産に登録されたらしいから、私たちが訪れたのは、登録からちょうど10年目だったみたい。
実は国立公園全体の90%以上はまだ手つかずの自然で、観光地として有名な『ヨセミテ渓谷』は全体の1%に過ぎない、という事実にはビックリ。
『神々が住む場所』との言い伝えにふさわしく、神々しい空気感に満ちていた。
友人との旅プラン会議で、「ヨセミテは外せないよね!」で一致。ここから旅をスタートするのは迷わなかった。

バスの中からキャッチした
ヨセミテ渓谷の一部

サンフランシスコのホテルで1泊した後、バスで移動して到着。長旅を経てバスの車窓から国立公園の山肌が見えてきた時の高揚感は、今でも忘れない。

セコイアの森で樹齢2,700年!の
巨大樹木の根元にて

ヨセミテから、グランド・ツアーに申し込み、近くの『セコイア国立公園』へ。
広大なセコイアの森には、ジャイアントセコイアと呼ばれる、樹齢2,000年以上の巨大樹木が生い茂っており、漂う神秘と太古の空気感が圧巻だった。

ヨセミテのシンボル 自然が造った
標高2,199mのパノラマ展望台
グレーシャーポイント
グレーシャーポイントの絶景スポット 
ハーフドーム 
言葉を失うくらい壮大だった

グランド・ツアーのドライバーは、当時仕事歴20年のとてもgentleな、感じのいいおじさまだった。メモには『仕事を愛しているのがよくわかる』『英語も柔らかい響き。でも、ずっとしゃべりっぱなし。すごい!』との
記録が(^^;)
ヨセミテバレーの中心地から60キロほど離れた位置にある観光名所、グレイシャーポイントは、『絶景』とはまさしくこんな風景のために存在する言葉、と息を呑むような自然界のアートだった。
カメラにはとても収まり切れないのが悔しかった。

レンタサイクルを利用してスポットを廻る
マーセドリバーミニハイキング
宿泊したロッジ 背後の渓谷
も圧巻!

ヨセミテには1泊のみだったが、園内はちょっとした町のようになっていて、食料品を仕入れるお店やサービスセンター的施設、宿泊施設、などのスポットをバスが巡回している。宿泊も、独立したログハウスやきっちりしたタイプのホテルなどさまざま。私たちが選んだのは、アパートメントタイプのロッジ。(多分、費用を少しでも節約したような記憶が;;;;)

野生のリスが普通に木々を上り下りしている、まるで映画や海外の絵本から飛び出したような風景に興奮したものだった。

ランチはガーデンのテーブルで緑に
囲まれながら
マイナスイオン浴びまくり!

ヨセミテでの1泊2日で、壮大な自然と同じくらい強烈に記憶に刻まれているシーンがある。到着してすぐ、宿泊手続きをするために訪れたインフォメーションセンター施設のロビーでのこと。

列に並んでいた私たちのカウンターの担当者は、ブロンドヘアの若い白人男性。やがて私たちの順番が来ると、
”Are you Japanese?"とにこやかなスマイルを浮かべて聞いてきた。日本人だと答えると、おもむろに長方形のプレートをどこからか出して胸の前あたりに掲げた。そのプレートに書いてあった文字は。。。。
何と手書きの日本語で『花嫁募集中』!
友人と私がその場で爆笑したこと、いたずらっぽく笑う彼の満面の笑顔。
あぁ、アメリカに来たんだな~、と心底思えた瞬間だった。
彼は、日本人女性がチェックインするたびに、きっとあのプレートを掲げて場をほっこりさせていたのだろう。微笑ましいおもてなし。。。
あの後、彼が日本人の花嫁とゴールインできたのかどうかはわからないけど(笑)、アメリカの旅の始まりを、ユーモアと笑顔でウェルカムしてくれた短いシーンは、30年たった今でもほんわか優しい光を記憶の隅に放ってくれている。


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