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なくす・たばねる・ばらす      効率化の三つのキーワード⑴

とある会社の物流部門で業務効率アップについての対策会 議を定期的に開催している。どうだ、こうだと話し合いを繰り返し 行なっている。しかし解決策は見えてこないし、なかなか前に進 まない。やっと、4 回目に結論が跳ねた。問題が解決しているイ メージが見えてきた。なぜなら、根本から仕事の進め方を変える、 対処療法的ではないもの。かつ、お金をかけないでできる方法 を思いついたからである。  
 
 会議は、仕入れ物流部門の 30 代現場リーダー数人と「どう したら効率があげられるのか」をテーマに行なっている。今までは、 営業からの単純問い合わせ(商品が届きますかなど)をいかに 減らすかに焦点をあてて、担当者別の問合せ一覧表をつくって みたり、一日何件の問い合わせがあるのかを数えて種類分けを して、対応策を考えたりみたり。対策を打ってはきたものの、営 業からの問い合わせが微減という結果に終わっていた。  
 
 営業からの問い合わせは、彼らの仕事を中断させてしまう。し かし大手物流会社さんのようなシステムで問題を解決できるわけ ではない。今、どこに何があるのかを、注文コードを入力すれば わかるようなシステムを持つには高すぎる。万を超える取り扱いア イテム、発送先が 50カ所以上、日々の注文が数百という状況。 すべてを一覧表にして、営業マンに渡していくもの現実的ではない。  

 電話に対する対処という方法ではなく、別の方法が、彼らの 問題解決には必要だった。そこで、以前にきいた改善のスペシャ リティスト(レベルでいえばオリンピックの金メダルを複数持ってい るレベル)の言葉を参考にした。スペシャリストは、効率化のキー概念は「なくす」「たばねる」「ばらす」。この三つ以外に方 法はない。どれかを選択し、やってみたら、次の方法に進める。 ということを教えてくれていた。  

 彼らと三つのキー概念をもとに対策を考え直した。「問合せは なくせるのか」。この質問に対する、今日段階での答えは「なく せない」である。6 名の担当者に平均 18 件。電話をかけてく る営業マンにとっては急ぎだから、答えざるを得ないし、品目ごと の担当者は分かれている。誰がどの担当者なのかを覚えている 人も少なく、話しかけやすい担当者に電話をかけてしまうもので ある。  

 ここで一番に考えなければならないのは「なくす」だが、今そ れはできない。システム投資は 2 年後である。では、次のキーワー ドの「たばねる」に焦点をあてていこう。「たばねる」は一カ所 に集中させていくやり方になる。今彼らが選択しているかどうか は別にして、「ばらす」を、効率を上げるという視点が薄いまま に行なっている状態だと言えるだろう。なぜなら担当者がすべて をやるという業務のルールが背景にあるからだ。  

結果、仕事が切れることによるロスに目が向いていなかった。 一本の電話がかかってくることに対する処理の時間は、5 分以内のものが多い。しかし問題なのはその 5 分間が今、行なって いる業務を中断させてしまうことである。中断したものを前のリズムに、頭の使い方に戻すのに時 間がかかる。ここに見えないムダが相当な発生している。次号に続く。


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