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【雑談】竹弓失敗談〜争奪戦参戦〜

とある弓引きの物語

※この物語はフィクションです。実際の出来事とは関係ありません。

Q「弓道で最も有名な戦いとは何ですか?」
A「毎年5月にみやこメッセで行われる弓具争奪戦です。」

Q「それはどんな戦いなんですか?」
A「自分の求める弓具をゲットできるかの戦いです。」

Q「それは他人との戦いということですか?」

A 「それもあります。誰かに先を越されないようにという気持ちもありますが、いろいろなものと戦っています。」

Q「いったい何と戦ってるんですか?」
A「まずは自分との戦いです。会場入りするのは開場時間よりも前でなければなりません。朝が早いので、寝たい自分と戦います。」

Q「ほぉ、2つ目は何ですか?」
A「次はお財布との戦いです。目的の物やほしい物が見つかったら購入します。しかし、それが無かった時の代替行動が生じます。せっかく来たのだから、という心理効果で代替品を探してしまいます。
強さが近い竹弓を見つけたとき、成りはどうか?値段はどうか?本当に必要かどうか?妥協してないか?一瞬のうちに頭を駆け巡ります。
この誘惑に負けると財布からお金が出ていってしまいます。」

Q「では、最後が気になりますね。」
A「最後は運との戦いです。」

Q「運ですか?一番乗りすれば誰よりも先にゲットできるのでは無いのですか?」
A「整理券制度も無いので会場に入るのは早いもの勝ちです。
しかし、すでに各店舗では”予約済み”や”取り置き済み”となってる竹弓が存在するのです。」

Q「平等にゲットできる機会が与えられていないといいことですか?」
A「一部はそうです。遠方から来られる人は予めお店に”こんな弓が欲しい”と電話しておき、当日に見に来られます。そのまま購入することもあれば、気に入らなくて店頭に並ぶこともあります。」

Q「取り置きの連絡をしたほうが確実なのではないですか?」
A「いえ、そうではないのです。一部の銘の竹弓は先生方に優先して回されます。本人が使うのか、お弟子さんに譲るのかは別にして、我々のような一般の弓引きにはチャンスが来ることが稀なのです。」

Q「それでも早くに行くのは何故ですか?」
A「一縷の望みに賭けてるからです。誰の手にも渡っていない弓があるかも、先生のお眼鏡に叶わなかった弓があるかも、そんな運を信じて毎年トライするのです。」

Q「よく分かりました。ありがとうございます。希望の弓が手に入ることを願っています」
A「こちらこそ、ありがとうございます。京都行き、考えようと思います。」


いかがだったでしょうか?
お店に対応は異なりますが、人によって店の奥から竹弓を出してくれる時があるという噂は聞いたことがあるかもしれません。
1人で何張りも抱え込むことはないですが、1人が増えれば自分の手元に回ってくる可能性が低くなることはその通りですね。

とある弓右衛門の物語

いやいや、そういうことではないですね。
失敗談ですから!!弓右衛門は京都で購入してしまったことがあります。
強さもちょうどいい、普段はお目にかかれない竹弓、物珍しさに惹かれて即決してしまいました。
お金ですか?みやこメッセ前のコンビニのATMに行きました。(だって、買う予定がありませんでしたから。)
形はあまり良くなくて、引き心地も良くなかったです。矢飛びはいいのですが、弓返り全然しなかったのです。鈍い弓っていうんですかね?全然メインの弓にはならなかったです。後悔してます。

お店の奥にある真実!?

実際のところ、竹弓に触れて日が浅い人には特定の銘を売ってくれないお店は存在します。
その理由を考えてみましょう。

扱いが難しいから

竹弓は合成弓とは違って形が変わりやすいという特徴があります。
引き方や扱い方で容易に変わります。
特に合成弓からの移行直後だと引き方で竹弓に悪影響を及ぼす事が多いです。
最初から扱いが難しいような竹弓をオススメしない、という理由であればお店の人の優しさがありますね。
それが射手本人が求めている場合でも、今後の成長を考えて”あえて”売らない選択肢はありそうです。
一方で、売ってしまって故障が出た場合には修理が発生します。
修理することで弓師の仕事が増えますから、それだけ新弓の生産数が少なくなります。そういった打算的な考えがあるのだとしたら、ちょっと嫌になりますね。

予約が入っているから

在庫が無い場合もあるので、注文して取り寄せる方法を取ることがあります。
年間の入荷数よりも予約が多い場合には、回ってくるまでに何年もかかりますから、予約だけは受けても、実質は入手することができないことと同義になる気がします。予約だけであれば受けるのは自由ですから。
年間2張り程度の竹弓に50人程度の予約がある銘もあるそうです。(強さによって違うでしょうけど)
これはもう取り扱ってない、って言ってもいいのでは?

先生に優先的に回すから

扱いが分かってる先生に優先的に回す、ならば竹弓のコンディションも保たれるでしょうから、それを考えるならば納得の選択ではあります。
しかし、先生という立場だけで売る人を選んでるならば、それは贔屓してますね。「優先的に回すから店を贔屓にしてな〜」みたいな打算を感じます。
売る側から考えれば、一見さんよりも贔屓にしてくれてる人に売りたい、という気持ちは理解できます。
ここはすごく難しいところですよね。
初めての銘に挑戦したいと思っても、馴染みのお店で取り扱っていなければ、どこかで入手するしかありません。でも回ってこない、、、となると、通わないといけないのか?となるわけです。
逆に、一見さんでも詳しい人もいるわけですから、そこから「あそこの竹弓はメンテナンスがいいぞ〜」みたいな評判が広がる可能性もあるので、長い目線で見ればメリットも出てくるかもしれません。
小売をやってないから、お店の人はどう思ってるんでしょうか?いろいろ聞いてみたいですね。


以上、「そうだ、京都へ行こう」でした。

地元のお店ではこういう売り方だと、っていうのがありましたら、コメントで教えてください。(店舗名は伏せてね)


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