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006_普段の扱い方

竹弓の扱い方と合成弓の扱い方が大きく違うかというと、そんなことはありません。
竹弓を扱うときに気遣うことが10個あるとすると、合成弓は5個しかない、くらいの関係です。
大は小を兼ねる、ではないですが、竹弓の扱い方を知っておけば、合成弓も同じように扱えばいいのです。(合成弓での火入れはダメですよ。)

竹弓では弓の基本を学ぶことができます。
弱点を知れば、自然と大切にするでしょう。
日常ではどんなことに気を付ければいいのか、一緒に学んでいきましょう!




弓の急所


最初に確認しておきましょう。

Q:弓の急所はどこですか?
A:上の切詰めになります。


”切詰め”とは上下それぞれのの額木と内竹の付け合わせたところです。
ちょっとした不注意から放れることがあります。
切詰め籐が巻いてあるのも、この部分が放れるのを防ぐためにあります。
弓の中でも一番弱い部分になります。
保護する意味でも、運搬方法には気を使ってほしいです。
破損防止のためにも、姫反り・切詰めを保護するように”当て木”をすると良いでしょう。

では運搬編と練習編に分けて紹介します
■運搬編
(a).徒歩での運搬
(b).公共交通機関での運搬
(c).車での運搬

■練習編
(d).練習前編
(e).練習中編
(f).練習後編
※保管方法については前記事を参考にしてください

■扱い方に関する注意点
(g).肩入れの話

運搬編

基本は弦は外して運搬してください。
万が一、公共交通機関で急に弦が切れた場合に周囲の人に怪我を負わせてしまう可能性があります。
このような事故を防ぐためにも弦は外した状態で運ぶといいでしょう。

車などの密閉された空間では弦を張ったままでも周囲に危険が及ぶ可能性が低いです。ただし、運転中に切れる可能性は考慮しておく必要はあります。

弦を張って運ぶ場合は、弦を張ったまま運搬する場合は、弦を二重で張る or 弦ごと収納できる弓袋に入れるようにしましょう。
弦を二重にすることや、弦ごと収納できる弓袋にいれるなどの工夫をするようにしましょう。
張ったままのほうが弓の先端がどこかにあたっても壊れる危険性は少ないく、張ったままの形を保つことができます。

(a).徒歩での運搬

周囲の人に当たらないように、立てて持つようにします。
特に方向転換する時には注意します。
エスカレーターや階段では弓が天井にあたらないように注意します。
握り付近(上下50cm以内)を持つようにします。
末弭を目線の高さよりもあげないようにすると、取り回しがしやすいです。  

(b).公共交通機関での運搬

周囲に配慮して、怪我をさせないこと・邪魔にならないことを最優先にします。
当然ですが、徒歩と同様の取り回して周囲に配慮してください。
不安定な扉や壁に立てかけると振動で倒れることがあります。しっかりと自分の手で保持するか、目を離さないようにしたいしましょう。
車両への乗降時、弓を引っ掛けないように注意してください。
支える棒として使わないようにします。たまに他の人から間違われることもあるみたいですが、やんわりと控えるように言ってくださいね。高圧的に振る舞うと炎上して、弓引きの印象が悪くなる可能性もあります。

(c).車での運搬

本弭側から入れます。末弓弭が下になることを防ぎます。
車の後ろから入れることが多いと思うので、入れる場所によって変えてください。
取り出すときは姫反りあたりを支えないようして、できるたけ弓の中心を持って出してください。いいですか、姫反り付近は弓の一番弱いところです。
また、弓の上には荷物は置かないようにしてください。
荷物をおいて、弓は最後です。

練習編

(d).練習前編

・弓の破損が無いかを確認。外竹の笄や竹の剥がれ、側木のヒビなどを確認しましょう。
・籐の確認。上下の切詰め籐、矢摺り籐が問題ないかを確認しましょう。ちゃんとありますよね?竹が剥がれたときに大惨事になるかもしれません。
・弦輪の大きさの確認。弦輪は末弭とピッタリか、やや小さいくらいにしましょう。
 弦輪が大きいと、弦が伸びて関板に触れてしまい、形が崩れ、破損に繋がる確率が高くなります。練習中もチェックを欠かさずに。

(e).練習中編

・弓の形の確認。特に使い始めたばかりの頃はこまめにチェックしましょう
・弦の長さの確認。弦や弦輪が伸びて、形が変わらないようにしましょう。
・弦切れや失した場合は、速やかに破損がないかを確認しましょう。

(f).練習後編

・弓は手ぬぐいで汚れを拭う程度にしましょう。
 ごしごし拭くと竹や木の繊維が巻き込まれてしまいます。
・弦を外したら、弓は弓袋に、弓袋の上から弦をいれ、弓巻きで巻いていきましょう。弦のコーディングで汚れるのを防ぎます。
・帰宅したら、握り革が乾燥できる環境に置きましょう。


扱い方に関する注意点

※高温になる車内に放置しない
※張り込み最中の素引きや肩入れ、弓力の測定は行わないでください。
※肩入れは耳を越さない程度で日に3度までにしてください。(基本的には必要ありません)
※しばらく張らなかった弓、裏反りが25cm以上の弓は無理に張らずに弓師に任せてください。張れた場合でも1週間以上張り込んでください。
※弓が湿気を吸わないようにしてください。ヒゴは湿気を吸いやすいため、床の材質にも気を付けてください。
※的前に立ったら弦を外しても構いませんが、それまでは弦を張ったままにしてください。

(g).肩入れの話

新弓を購入するときは肩入れを行うことがありますが、やり方に気を付けてください。(必ずお店の人に断ってからにしてください。)
1回や2回ならそれほど問題ありませんが、それ以上は控えるようにしてください。肩入れは日に三度までといいますが、負担をかけないに越したことはありません。
手の内はいつもと異なります。肩入れの時はベタ押しとなりますが、耳を越さないようにしてください。耳を越すと、握る力が強くなります。握っている部分に加わっている力は巡り巡って胴抜けを招いてしまいます。

以上、竹弓の扱い方のお話でした。
普段から心がけていれば難しいことはありません。
大切な弓ですから、細心の注意を払っていきたいですね。


次回はいよいよ慣らし方になります

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