リングフィットアドベンチャーで餅を焼き払う(あごぶろぐ)
自分は行事には囚われない生き方をしているが、Xマスには七面鳥を食い、年越しにはマグロソバを食い、正月にはオセチを食べ、餅も食う。今年も餅かなり食った。常にリスクと欲求を天秤にかけながら地雷原を駆け抜ける、それが冬という季節だからだ。そしてデキるやつほど雄弁には語らないまでも対抗策を用意してこの時期に備えている。外套の中で握りしめし短刀のようにカロリーを切り裂く鋭い刃……ここまで言えば分かるだろう、今回紹介するのは「リングフィットアドベンチャー」だ。
自分が裏通りを進んで闇市のオヤジに会いに行くと、オヤジは陰鬱そうな声で言った。「売って、無いよ……」と。リングフィットは年末に近づくに連れて市場から姿を消し、あほの転売屋が見せびらかしているやつ以外はあまり見かけなくなった。今や世の大半のゲームはDLで済む時代だが、リングフィットに限っては物理リングコンと物理レッグコンが必要なのでそういうわけにいかない。始まる前から冒険は終わってしまっていたのか……? 自分は品薄という厳しい寒風に打ちのめされ諦めかけたが、次の日にジャスコに行ったら普通に売っていたので買った。今現在、このゲームがどのくらい流通しているか自分は専門家じゃないので知らないが、世の中は手に入るか入らないかのどちらかしかないので腐らなければいずれ入手できるはずだ。
マイニンテンドーストア限定ではあるが、リングフィットアベドンチャーにはDL版も存在する。現在は在庫がないようだが、自分はどちらかと言うとこちらをオススメする。物理ソフトか電子ソフトでは大きな違いがあり、ソフトの切り替えが迅速であるというメリットは計り知れないからだ。
・リングフィットアドベンチャー……!
何が起こっている? ビビったはずだ。自分もビビった。リングフィットアドベンチャーでは手に持ったリングコンと左足に巻きつけたレッグコン、この二つのレリックが現実の肉体の動きをトレースし……ゲーム内に反映させている。プレイヤーがスクワットをすると、画面内の主人公もスクワットする。動きが正しいのか? 間違っているのか? それを加速度センサーやジャイロによって精査してくれるという寸法だ。自分は寝転がって適当に腕を振っていてもある程度クリアできたエキサイトピンポンを思い出し、技術の進歩を知った。
このゲームのメインを務めている「アドベンチャーモード」では主人公が世界を救う冒険の旅に向かうことになる。我々がよく知っている筋書きだ。魔物が現れ、エリアごとにボスが存在し、打ち負かすことで次のエリアに進むことができる。定期的に町があり、アイテムショップが開かれている。そういう、いわゆるよくあるRPGの形式を取っている。一つだけ特殊なのはフィールドを移動するのも敵と戦うのも全てプレイヤー自身の筋肉の動きによって行わなければならないという点だ。これまで我々はずのうや、ゲーム観、あるいは雰囲気でゲームをプレイしてきた。しかしこのリングフィットでは体力と筋肉が試される。自らが行うフィットスキルで敵を倒し、世界を救うために筋肉が要求されるのだ。リングフィットの入った箱を開けると決断的なフォントで「筋肉は一生の相棒」と書かれている。つまりこのゲームはRPGであると同時に自らの一生の相棒を育て上げていくリアルな育成ゲームなのだ。
自分は……プレイし始めて20分くらいで電撃が体にはしり、ものすごいゲーム特有のオーラと振動をリングコンから肌に感じた。実のところプレイする前まではリングコンの見た目から耐久性に不安を感じており、腕力エネルギーが暴走してクォ荒れる……そんな未来も想定していた。しかし、実際に握って押し込んだり引っ張ったりの操作をしている限り、逆にこちらの力不足を感じさせられる結果となった。よくよく考えればあのゼルダBoWも社員300人で一週間テストプレイさせた任天堂が念には念を入れないはずもなく、おそらくは500人くらいの腕利き地下グラップラーなどに耐久テストをさせてからOKサインを出したに違いない。自分の心配など必要なかったことを分からされた形だ。
その後も自分は2日、3日と続けてプレイし、確かな手応えを感じた。だが、それだけのプレイ記を記事にするのではただの呟きだ。そんなものはツイッター州ですればよい。この広大なるNOTE大陸でそんな小さなつぶ焼きには何の意味もない……故に自分は呟きが雄叫びに変わるほどの知見と経験を得るため、リングフィットを一ヶ月間まいにちプレイした。そして、今ここにいる。一ヶ月間の冒険で見つけし幾つかのTIPSをこの大地に刻み込む時が到来したというわけだ。
・環境を整えろ
フィットボクシングの時にも同じことを言った気がするが、まず現実で運動するにあたって闇雲にやり始める前に見直すべき点はいくらでも見つかる。自分自身、一ヶ月間やりだす前に備えておけば良かったものが幾つもあった。そういう失敗を踏まえてこれから大海に漕ぎ出すものたちへ向けて残しておくべき知識がある。
→スペース(なるべくTV画面でやれ)
自分はSwitchを携帯しているのでいつ何時でもトレーニングできるようにテーブルモードでのプレイを想定していたが、実際にやってみたら難があった。どういうことか? アドベンチャーモードは基本的にフィールドを駆け巡ることになるのだが、フィールドにはギミックやコインなどが配置されている。Switch本体の画面の大きさではコインなどの見逃しが多く、ギミックの認識がままならなかったのだ。コインだと思ってひっしに吸い込んでいたものがよく目を凝らしてみれば黄色い野鳥だったりする。自分はショックを受け、尻もちをついた。
また、慣れていないトレーニングではお手本の動きを細かく見たいところだが、画面が小さいとよくわからなくなり、てんで違う動きをやっている場合がある。お手本役のミブリも画面の向こうの自分がぜんぜん違う動きをしていたので「コイツはどこを見てるんだ?」と、心配がったことだろう。ミブリ、お前は悪くない……。。自分は反省を活かし、アドベンチャーモードのプレイはTV画面のみと定めることにした。するとギミックの視認率は増し、ミブリと同じ動きができるようになり、レッグコンやリングコンにビブー!! と叱られることもなくなった。この場を借りてミブリには礼を言いたい。次に会ったら、一杯奢ることだろう。
→床(ちゃんと床と話し合え)
いちゅでもあって当たり前の存在だと思っているからこそ我々は床に対してあまり気を払っていない。だが、こうしてひとたび運動を開始すると床はとつぜんに牙を剥き、襲いかかってくる。これは、完全な実体験に基づいての見識だ。自分がTVを置いている場所の床はだいたいポピュラーなダンジョン二階層の石畳くらいの硬さなので床に体重を掛ける形式の運動をやると体が破壊されそうになった。このゲームにはリングコン・自分・床の三位一体で成し遂げるトレーニングが多く、床と何も話し合わないまま始めた結果、床の反逆に遭ってしまうという結果だ。またフィールドの高い階段を駆け上るために必要になる「モモあげ」がダイレクトに足にダメージを与えてくるので、堪えきれなくなり対抗策を講じることにした。対抗策は幾つかあるだろうが、自分の場合はヨガマットに行き着いた。
とりあえずAMAZONで売れ筋だったこのシリーズをパッと買ったが(ヨガスキルの属性が緑だから緑色を選んだ)他にも良いやつはあるかもしれない。このヨガマットを敷いてフィットスキルに挑んだところかなりのダメージを軽減してくれたのでニートゥーチェストなど、尻への負担が激しい運動にも耐えられるようになった。ジョギングなどでの足への負担もかなり減ったように思える。またアパートやマンションなどを住処に持つ者は音にも気を使わねばならないだろうが、ヨガマットはかなりの衝撃を吸収するのでその方面でも重宝すると思った。リングフィットには「サイレントモード」があり、ジョギングを膝の屈伸運動に変えることができる。騒音対策にはこれが一番効果的だとは思うが、やはりフィールドを駆け巡る動きから没入感を奪ってしまうので自分はマットによる防音を試みることは悪くない選択肢だと考える。
→水
水分のことだ。プレイ期間が伸びるに連れて自分の一日ごとのプレイ時間も増えていったが、そういう成長の裏で水分への餓えも頻ぱんに感じるようになった。自分は体質的にあまり掻かないが少しの運動でも汗がかなり出るプレイヤーならばさらに水分補給に気を払う必要があるだろう。また極端に続けてフィットスキルを繰り返していると現実のHPがみるみるうちに減り、目眩・立ちくらみなどが起きる可能性もある。水分補給と同時に小休止を取る、という時間を作ることをオススメする。また、汗をしっかり掻くならばタオルを近くに用意すると良いだろう。タオル・ペットボトルにはいつでも手が届くようにしておけ。いずれ命を救われることもあろう。
大雑把に環境とは言ったものの当然環境は人によって違うので、改善することでプレイが向上するならば何でもやるべきだ。部屋が汚くてテレビが見えづらければ掃除をし、気分を上げるために欲しければカンフートレーニングウェアやクールな室内用シューズを買うのも良いだろう。もしかしたら「続くかわからないのに色々と整えたり形から入るのは恥ずかしい……」みたいな照れが未だにあるかもしれないが、そういうのはクソくらえだ。発想を転換させ、「続けられるように環境をより良くしよう」となったらもはや止められるものは何もなくなり、筋肉が世界を救う日も近い。
だいたい、リングフィットは基本的に自分の家とかでするものだ。自分の家にいる限り、かなり自由に選択肢はある。めちゃめちゃにスナック菓子を食ったり、ただひたすら寝たりもできる。その無限に枝分かれした道の中で、リングフィットを起動し、トレーニングをする……それは尊い選択だ。何ら恥じる部分も照れることもない。胸を張れ。そして積極的にモチベーションを上げられるよう、常に目を光らせて環境の向上に意欲を注ぐべきだ。
・運動負荷はまじめに設定しろ
リングフィットを初めて起動したときに「性別」「年齢」「日頃の運動頻度」「どのくらいのフィットネスを求めているのか」などを質問される。これは相手がランプの魔人でプレイヤーを特定しようとしているのではなく、プレイヤーに適した設定になるように運動負荷を計算してくれているのだ。自分がまず言っておきたいのはここでつまらない見栄を張ったり、実況者のマネでいきなり最大値に設定するなどの暴挙に出るなということだ。今はバーチャルVtuberなどが人気なのでそういうのを見て買うやつも増えるとは思うが、実況者はエンターテイーメントが仕事なので、当たり前にやるとつまらないからそういうことをやる。ファンとか収益化とかのためにだ。だが、それが面白かったからとマネをすると、単純につらく、実況者じゃないので収益ももらえず、筋肉も育たず、何も成し遂げられないまま荒野に佇む墓標の一つに加わる結果を招きかねない。実況者の動画を見てリングフィットを買った。ここまではかなりよくやっている。だが運動負荷の設定は自分一人のものだ。真面目に答えないと損をすることを覚えておけ。
運動負荷はどういうところに関わるのか? その説明もしておくべきだろう。運動負荷はアドベンチャー中のフィットスキルの回数に関わっている。負荷が高ければ高いほど体勢のキープに必要な時間は増え、回数自体も上がる。1~30(MAX)まであり、最初の答えによって計算される。運動負荷は毎日、少しずつ調整できるようになっている。余裕ができたら上げ、余裕がなければ下げる。いつでも好きに変更できるからこそ、最初は低い負荷から始めるべきだと自分は考える。このゲームは完全にリアルの筋力・体力によって難易度が変わるので、周りやSNSなどを見て自分の運動負荷の低さに焦りを感じたりする必要は一切ない。かんぜんに人それぞれだ。競う必要はまったく無く、常に基準は自分自身に定めておけ。もしツイッターとかで筋肉マウント鳥野郎が現れて運動負荷をばかにしてきたとしても、そんなやつの言うことには従うな。
・リング(ミブリ)の言うことは聞いておけ
リングフィットではガイド役のリングが付いてきて、プレイヤーが行うフィットネスを冷徹に審査してくる。ちゃんと体勢をキープできているか? 正しいフォームで行えているか? 全てはプレイヤー次第だ。フィットスキルであり得ないような負荷を掛けられても、リングのやつが声援を飛ばしてくるおかげでやらざるを得ない感じになる……正しいフォームで筋トレをし、成功すれば高いダメージを弾き出す。一人でやればウンザリするような運動も画面の向こうからリングが褒めてくれるのでやる気になる。実に理にかなったシステムだと言えよう。
しかし、リングコンとレッグコンの動きでこちらの筋トレを点数化しているため、ちゃんとした動きが出来ていなくてもBESTが取れる可能性がある。自分の場合この「ねじり体側のポーズ」の動きがまったく違っていたが、始めた当初は気づかなかった。これは、かなり深刻な問題だ。何故か? 筋トレをするゲームなのに正しく筋トレができていない……つまり、ちゃんと筋肉への負担を掛けられないまま無為に過ごしていることに他ならないからだ。それだけではなく、体勢によっては腰などに良くない負担を増やしている可能性もある。これは由々しき事態だと言えよう。
こうした問題にどう対処すべきか? まずはミブリのお手本をかなりしっかりと観察することが必要になるだろう。動きとして真似できるからとおざなりにしてしまうと今後そのフィットスキルの全てが無駄になる可能性がある。足は床についているか? 体の角度は? 足の開きは? 呼吸のタイミングは? なんとなくでやっているフィットスキルを見直すと、思っていたのと全然ちがう場合がある。回数をこなしていないスキルほど注意深く行う必要があるだろう。ゲームシステムだからと流しがちだが、リングとミブリは現実で言えばジムの専属トレーナーの立ち位置だ。敬意を忘れてはならない。こいつらがいなかったらこれだけのレパートリーのフィットネスを立て続けに行うのは知識的にも気力的にもちょっとむりだ。
・運動量はちょっと考えろ
リングフィットはふつうにRPGしているのでゲームを嗜んでいるやつならグングン進みたくなるはずだ。そうでなくても体を動かすことに慣れ、勢い込む時期がどこかで訪れる。しかしリングも度々言っているようにオーバーワークは逆効果だ。はっきり言ってこういうゲームにハマるやつは往々にして極端なので、いきなりムチャをしがちだ。かく言う自分もいきなり一時間とかやろうとしたが、リングとミブリ、そしてベルナルドなどの友によって取り押さえられてやめた。極端なやつはまずは自分と向き合うことが重要だ。
リングフィットの荒野にはいくつもの落とし穴がある。その奈落の底に落ちてリタイアする者も中にはいるはずだ。そうでなくても三日坊主が働いてダメになったり、国際孵化に向かって還って来なくなることもあるだろう。そういう骸の二の舞とならないようにするにはどうするべきか? まずは目標を決めろ。例えば「一日で50kcal分は運動する」あるいは「一日で20分は運動する」などだ。これらの数値は左下のメーターによって視認できるのでジョギングやフィットスキル中などにもグングン上がっていき、餅ベーションに繋がりやすい。一度、目標を決めておくとオーバーワークなどの危険な落とし穴に落ちることなくコンスタントに続けていけるようになる。
そして一番重要なのは「目標を守れなくても気にするな」ということだ。目標を立てることとそれを守り続けることは確かにモチベーションになるが、モチベーションになるということは裏を返せば守れなければ反動ダメージを受けて死ぬということの証左でもある。リングフィットには時間も体力も使うので、ほうほうの体で自宅に帰ってきてからではプレイできなかったり、唐突に膝に矢を受けてプレイできないなどの事態は誰にでも起こりうる。それだのに一度の目標を守れなかったくらいで消滅するようでは育つ筋肉も育たない。そういう頑なさが重要な場面は人生にいくらでもあるが、今は柔軟さを磨くときだ。目標はあくまで目標だと割り切り、フレキシブルにやれ。
またリングフィットではアドベンチャー以外にもモードがあり、「お手軽」では特定のミニゲームやフィットネスをプレイできる他、「ながらモード」ではゲームを起動せずともリングコンだけで筋力トレーニングすることができる。腰を据えてアドベンチャーモードを遊べないときでも幾らでもトレーニングのしようはある。自分のオススメはながらモードで、リングコンの押し引きがそのまま経験値へと変換され、自分かフレンドへ集めた経験値を贈ることができるユニークな機能だ。どうしてもTV画面を別のことに使いたい場合や、そもそもTV画面もSwitchもない場所を彷徨う場合にリングコン一つで気軽に経験値と筋肉を貯めることができる。アドベンチャーモードではジョギングをはじめ足を多用するので、腕や肩のストレッチをながらモードで補うのは大いにアリだ。
・今日はここまでだ
自分はリングフィットを買ってから一ヶ月間、一日20分のペースで駆け抜けてきた。かなり充実した31日だったと言えるだろう。肉体の変化に関してはあまり意識していないが最近は寝付きがすこぶる良くなり、この季節でもあまり寒さを感じなくなってきている気がする。こういうのは実際に変化したかはともかくとして、変化したのではないか? と考えることが肝要だ。フィジカルを鍛えながらメンタルも逞しくしていき両面で強くなれ。本人のメンタルが不安定なままでは育つべき筋肉も「ぼくらどうなっちゃうんだろう……」と不安で仕方なくなり、芽を出さずに消えるかもしれない。ちゃんと自信満々の態度で安心させてやれ・・・・・・。
自分はまだ試せていないがリングフィットと去年書いたFitBoxingとのシナジーにも計り知れない可能性を感じている。こちらを買う場合もDL版が良いと自分は思う。リングフィットをやっていて気になったらこっちもやりたくなるかもしれない。こちらでもいずれリングとパンチの奇跡のコラボを実践してみるつもりだ。
さて、今回は入門者向けの記事を書いた。環境や初期設定の運動負荷……今日書いた内容はすべて基礎の基礎、ゲームの入り口に過ぎないがいずれはもっとアドベンチャーモードに踏み込んでいきたいと考えている。その時までにもっと強く、さらにリングに認められし者となる必要があるだろう。砂糖醤油海苔モチの幻影を焼き払い、自分は未来へ進む。生まれ変わる時がついに来た。
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ドーモ! ドネートは常時受け付けています。 ドネートはときにおやつやお茶代に使われます。