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お辞儀

常々、私は お辞儀っていいな~ と思っている。先日も、こんな場面に出くわした。スーパーでレジに並ぼうとしていると、スッと横から人が来たので、私は どうぞ という気持ちで右手を出した。すると その人は私の前に並び 順番がきて会計が済むと、こちらに向かって深々とお辞儀をしてから立ち去った。思いも寄らなかったので、慌てて私も いえいえという気持ちで軽く会釈をした。

また、こちらも最近の出来事だ。中学生ぐらいの男の子と私、2人とも自転車に乗って四つ角で出会い頭にぶつかりそうになった。これは失礼という感じで、2人して お辞儀をした。絶妙なタイミングだったので、とても気分がよくなった。

コロナ禍でマスクをしているとはいえ、何となく声を出すのが憚られるためか、この2つの出来事は一言も発っせられることはなく、お辞儀だけで済まされた。お辞儀だけで「ありがとう」「すみません」「いえいえ こちらこそ」という気持ちが伝っているのである。

伝わるのは、日本人にだけではない。マスターズ優勝の松山英樹のキャディ、最後のホールのあと カップにピンをさし、帽子をとってコースにお辞儀をした。これは世界中に配信され賛辞を受けた。ニュースによるとキャディは こうコメントしたそうだ。「このような反響に本当に驚いている。感謝の気持ちでコースにお辞儀をした。考えてやったことではなく本能でやっただけ」と

かなり昔だが ベトナムヘ旅行に行った時、今となっては、なんでと思うが モスクに行った。おそらくガイドブックに載っていたのだろう。そこにいた おじいさんがモスク内を隅々まで案内*してくれた。案内が終わると横から若者が出てきて 右手を差し出した。チップを要求されたのだ。それを見た おじいさんは、ものすごくイヤな顔をして若者の手をたたいた。若者は手を引っ込め、チップを支払うことはなかった。私は英語で感謝の言葉を述べ その場を離れた。少し離れてから振り返ると、まだ おじいさんが立ってこちらを見ていたので深々と少し長めのお辞儀をした。すると おじいさんは笑顔で手を振ってくれた。

お辞儀は、感謝の気持ちは もちろんのこと 敬意や謙遜が伝えられる。お辞儀をしあった者、あるいは それを見ていた者を、心地よい魔法にかけたり、虜にしたり、そんな力が、お辞儀には、あるように思う。

やっぱり、お辞儀って なんか いい!



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