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空手、気にいったよ。

東京オリンピックの空手を見た。見ていて とても楽しい。なぜか? 日本人の魂を くすぐるような 何かがある。組手で相手を突く時、蹴りを入れる時、初めて見る私には、前に力を押し出しているというより、相手にちょこんと当てて、引いているように見える。決して相手を押し倒そうという力は見受けられない。試合中、審判から判定を受ける時も、いちいち礼をして受ける。判定もスローモーションの映像で不審なところは一切ない。四隅の審判が旗を揚げるのも何だか懐かしい。

女子の形も見たが、そもそも形があるのがいい。びっくりするような身体能力だ。美しく、かっこいい。という言葉では到底もたない。静寂を切り裂く選手の声が武道館に響く。見れば誰でも魅了されるだろう。演武の名前を選手が発してから演武を始めるのだが 空手が沖縄のものだと知る。試合後の日本人選手のインタビューでは 相手や判定のことには一切触れず 自分の至らなかったところを話す。潔い。

このすべてが 礼に始まって礼に終わる という武道の精神なのだろう。そして 私が空手を気に入ってしまったのも、もうオリンピックの柔道では薄れてしまった武道の香りが、空手には色濃く残っていたからだと思う。

そして何よりも、女子の形、スペインの選手が 金メダルを取り、日本選手が銀メダルを取ったことだ。当たり前と言えば 当たり前だが オリンピック開催国においては、しばしば その当たり前のことができなかったりする。そういう風に空手を育てたということだ。このことこそ、選手・相手国は、もちろんのこと、空手に対する、オリンピックに対する、ス*ポーツに対する、礼、敬意だと思う。試合後、勝者のスペインの選手が日本のコーチに正座して 礼をしてくれた。日本に対して 敬意を払ってくれたのだ。外国の方にも ちゃんと伝わっている。“さすが日本” という声が聞こえてきそうだ。誇らしい。

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