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セピア駅

それは、某日。突然、それは訪れた。

どうやら、大切な人が苦し出した。
乱暴のような、
寂しいような、
悲しいような、
助けてほしいような吐き出した言葉が私の目に留まった。

私は、居ても立っても居られなく、大切な人が生きている場所へ行こうと衝動にかられた。

意識があるときは、すでに私は電車の中に居た。

車窓は目に入らない。
私は自分を失っている。
息をするだけが精一杯だった。

次に意識があったのは、
大切な人が生きている場所の某駅だった。

『暗いな、、、。』
と思わず独り言を呟いた。

時間が上手く潰せず、
彼が働いている場所へ向かった。

彼は、存在していなかった。

次に意識があったのは、
始発で自分が暮らしている場所へ向かっている電車の中だった。

思わず、
「嫌いだよ」
「あなたが生きている町は、嫌い。」と思った。

彼に会えなかっただけで、何もかも嫌いになった。

だけど、
あなたのことだけは嫌いになれない。

あなたを嫌いになる方法を、教えて。

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