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小説紹介

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#海外文学

『都会と犬ども』のことなど

未来をひらく  まだ四分の一しか読んでいないころからわかっていた。自分がこの小説について感想文を書くだろうなということが。だから物語を追うついでに、どんなふうに感想文を書こうかゆったり考えていた。『都会と犬ども』みたいに、僕も中学校時代を振り返ってみようかな。作中のアルベルトの生き方を現代人の若者と重ねてみようかな。引用についても思った。ここの表現はなかなかいかしてるし、感想文のなかに取りいてもいいな、というふうに。  でも、いちばん考え込んでたのは冒頭とタイトルについて

短文小説紹介 #4

概要 僕は自分のTwitterアカウント(@OnishiHitsuji)で小説の紹介をしている。ここにまとめられた7つの紹介の文章はそちらで共有しているものと同様だ。  今回は025から031までとなっている。 025-リチャード・ブローティガン「東オレゴンの郵便局」 とても好きな作家。あるいはお気に入りの作家。べつに好きだってことはないんだけどもこれまで沢山読んできたし、新刊が出ると手に取ってしまう作家――僕の場合には村上春樹。  習慣的に小説を読む人には、おのずとそのよ

短文小説紹介 #2

概要 僕は自分のTwitterアカウント(@OnishiHitsuji)で小説の紹介をしている。ここにまとめられた7つの紹介の文章はそちらで共有しているものと同様だ。  今回は011から017までとなっている。 011-川端康成「伊豆の踊子」 その山道を抜けると、僕は予想していたその好機に胸が高鳴るのを感じる。立ち寄った茶屋にはあの踊り子の集団が座していたからだ。  学生のうら若き青年と、自然美に包まれた踊り子との純粋なラブストーリーを展開する本作。伊豆の雄大さに囲まれてあ