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小説紹介

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#英米文学

大西書評堂#3 「クリスマスの思い出」と「八〇ヤード独走」

トルーマン・カポーティ「クリスマスの思い出」(村上春樹訳)・あらすじ  二十年前の秋のこと、僕はまだ七歳で、クリスマスの日は刻々と近づいてきていた。髪を短く切り詰めた女――背中がひどく曲がりこぶのようになっていて、頬はリンカーンのようにこけている――はうきうきした様子でクリスマス前の、この季節がやってきたことを僕に話しかけている。彼女は僕の親友だった。とても遠い親戚で、歳は六十を越している。彼女は僕のことをバディーと呼ぶ。彼女の子供時代にそういう友達がいたからだ。ただ、いまで

大西書評堂 #1 「幽霊たち」と「中空」

ポール・オースター「幽霊たち」(柴田元幸訳)・あらすじ  ブルックリンの私立探偵のブルーは謎の人ホワイトからの依頼でブラックという人物を監視することとなる。ブラックを見張り、週に一度報告書を送る仕事だ。道路を隔てた真向かいの一室から監視を続けるブルーだが、ブラックは紙に向かって何かを書き綴るのみで、いっこう行動を起こさない。困惑しながらも監視、そして報告を続けるブルーだったが、それでもブラックは向かいの部屋で書き物をしているのみ。あまりにも長い時間とともにブルーの目的は混濁し