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ネット民「GoogleEarthで三峡ダムを見たら曲がってた。三峡ダムがヤバい!」←GoogleEarthエアプか?

今から約半年ほど前の2020年6月末、坂東忠信氏がTwitterに投稿したとある画像が注目を集めました。

坂東氏曰く「グーグルアースで見た時には曲がっていた三峡ダムが数日経ったら真っ直ぐになっていた。中国政府から圧力をかけられて画像を修正したのだろう」とのこと。

確かに坂東氏の投稿した1枚目の画像に写る三峡ダムの堤体は曲がっているように見えます。

彼のフォロワーの中にはこれを「中国政府がひた隠しにする三峡ダムの真の姿」と認識している人がいるようで、当該ツイートのリプ欄や引用RTは概ね以下のような反応で溢れかえりました。

本当に分かりやすい国だよなぁ。😅(ネコウヨ画像リプ)

PC版は模型だそうです(ソースはYouTube)(トランプアイコン)

Google Earthが中共に取り込まれたのでしょうか?(猫アイコン政治垢)


これらの意見について突っ込みたいことは山ほどあるんですが(特に模型説)、とにかくこの一言だけは言いたい。

全員GoogleEarthエアプか?


YouTube発の怪しげな情報を疑いもせず受け入れてしまうような層は知らないかもしれないけど


三峡ダムに限らずGoogleEarthの写真はわりと歪んでいるもんだぞ?


良い例があるので紹介します。

上の画像は日本の岐阜県にある兼山橋の航空写真ですが、

見ての通り思いっきり曲がっています。


では、兼山橋は実際に曲がっているのかと言えば、もちろんそんなことはありません。

兼山橋は真っ直ぐな橋として今日も木曽川に架かっていますし、模型でも無ければ崩落寸前というわけでもありません。

改めて書きますが、GoogleEarthの航空写真が歪むことは別に珍しくも何ともない「よくあること」です。

GoogleEarthを探せば三峡ダムや兼山橋以外にも曲がりくねり、歪みに歪んだダムや橋などいくらでも見つかります。

さらに、GoogleEarthは不定期で航空写真を更新しています。

つまり、坂東氏が言う「数日前に見た時には曲がっていた三峡ダムが真っ直ぐに修正されていた」のは単に航空写真がそのタイミングで更新されたというだけ……というオチ。

そもそも航空写真の三峡ダムが曲がっていたこと自体GoogleEarthでは「よくあること」なんですから、中国政府がわざわざ圧力をかけて修正する必要など皆無ですよね。


ワッポンの時もそうでしたが、こういったデマや憶測の類いは「詳しくは知らないし調べようともしないがネットの情報は正しいと信じている層」から発生しやすい傾向があります。

最近ではトランプ応援団のJアノンがアメリカの選挙制度や法律を都合良く適当に解釈した結果、やれ「戒厳令を発令してトランプ再選」だの「郵便投票は不正の温床」だのと連日デマをバラ撒き、挙げ句の果てには「アメリカとメキシコの国境に25万人の人民解放軍が集結」と噴飯モノの情報を大真面目に信じていたのは記憶に新しいかと思われます。

そして、記事中で掲載したスクリーンショットの中にトランプアイコンが混ざっていたことからも分かるように、GoogleEarthを見て三峡ダムの歪みや中国政府の関与を指摘する層はJアノンとも密接な……というよりほぼ同じ層がやっています。

彼らは三峡ダムよりも先に自分たちの歪んだ情報リテラシーの修正を真剣に考えるべきではないのか……そう思わざるを得ない一件でした。


※兼山橋の画像はブログから転載。撮影者と執筆者は同一人物です。

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