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お母さん
1年ぶりに故郷、新潟へ帰省。
メインイベントは、息子と母と観光列車に乗ること。
新潟駅から山形県酒田駅を結ぶ観光列車、“海里(かいり)”の2時間半の旅。
4両編成の4両目のランチ付きの席を予約、予約者以外、この車両には入れない、ひとときの優雅な時間。
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出発の鐘とともに、いざ。
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トンネルを越える前から雪景色、車内はもちろん暖かいから、なんとも贅沢な気持ち。
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左手に日本海の荒波を眺めながら、ゆっくり進む。
通常の特急よりもプラス30分かけ、のんびりと。
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お弁当にも心を満たされる。
おもてなしの心、接客も物腰の柔らかく、終始安心感に包まれる。
料理は季節ごとに変わる様なので、何度乗っても楽しめそうだ。
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新潟駅出発のとき、烏が見送ってくれた。
こういうことがあると毎回、何か意味を考えてしまう。
吉か、それとも。
酒田では泊まらず、2時間後の特急“いなほ”で新潟へ戻る。
“いつか”を今。
先延ばしにして良いことは少ない。
夜は実家に泊めてもらい、久しぶりに母と語らう。
健康維持のため、今年の3月にジムを始めて、筋肉がついてきたという話をすると、まだまだ細いと、もっと食べろと。
母の料理は旨い。
息子も大好きだ。
毎回たくさんのメニューを出してくれる、全部食べたいけれど食べきれない。
食べきれなかったはずが、今回は食べられた。
食べても食べても食べられる。
胃の中に、幸せの層が折り重なる。
怪我の功名ならぬ、
ジムの功名とはこのことか。
私は母を「母ちゃん」と呼ぶ。
ジャイアンと同じ呼び方だ。
中高生くらいのときからだろうか。
思春期、
きっと気恥ずかしかったから、なんと呼べばよいか迷った結果だったかと。
今になって母から、
「お母さん」と呼んでほしかった、とぽつり。
同級生の兄弟も「お母さん」と呼んでいるから、憧れていたと。
そうだったのか。
知らなかった。
こんな些細なことも聞き出せず、20年以上過ごしてきたのか。
長男でいて実家を出て関西に住む。
年に一度帰るかどうか。
親孝行はできていないと分かっている。
今からでも呼ぼう。
今ならもう気恥ずかしさはない。
大人になったのだから。
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