抜毛癖
いつかこの羽たちが
現世から離れていく
かわいいこいつらが
生きるよすがになってくれればいいと思う
誰も
あなたも
腕をかかげて頭を
いじらないのなら(きたない、)
私は
なぜ頭を触らないで生きれるの
疑問に思って
つぶやく
問いかける
されど
つどつど幸せは落ちて
机の隅と
書きかけの『自分』
(を、写し取った、かりそめの、嘘だらけの、)
おのれの血で封をした
往復はがきへ
吹き溜まっていく
仔細に見たまえ
私は見ている
あなたは手で払ってしまう
ような
そんなもの
傷んだ
枝分かれした
ねじれた
染められた
太い
細い
(気持ち悪い、そんなこと、するなんて、)
信じられないほど
煩雑な
あらゆる言葉で
表現されるべき
肉塊どもの個別のオブジェクト
信じられないほど
大量の
あらゆる言葉で
表現されたはずの(忙しくて、考える暇のない、)
肉塊たちのかけがえのない宝物
でも
忠実に手に取るなら
観察ノートをつけるなら
青いブリキのペールから
拾いあげてしまうなら
(それは、病気、)
なら
仕方ないか
いつかこの羽たちが
現世から離れていく
かわいいこいつらが
生きるよすがになってくれればいいと思う
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