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消費者インサイトとは

卒塔婆通販「卒塔婆屋さん」の谷治です。

消費者インサイトについて弊社の事例を交えてお話します。

消費者インサイトとは

消費者インサイトとは、顧客でさえ気が付いていない購買への動機であり、そこを突いたサービスを提供し、売り上げが上がるなど、期待した効果が得られた時に初めてインサイトを発見したことになります。
ニーズの創造みたいなことでしょうか。

卒塔婆屋さんの消費者インサイト

「無料サンプル差し上げます」という表現がECでは良く使われています。
「卒塔婆屋さん」でも当初、初めてのお客様にも安心してもらえるよう、無料サンプルを提供しておりました。
無料サンプルの提供は、非常に上手く行き、その後のリピート購入にもつながっていたのですが、あるお客様から「色々なサンプル試したいけど、何だか申し訳ない」「サンプル送ってもらったのに、もし購入しないとなると申し訳ない」という意見をいただきました。
時を同じくして、無料サンプル提供の増大にともない、弊社の金銭的負担も増えてきていて、もう止めたいという想いと、好評な無料サンプルを廃止したらお客様が離れてしまうのではないかという想いのジレンマに悩んでいました。
そこで、無料サンプルの代わりに卒塔婆を1本単位で販売したら、お客様の「申し訳ない」という気持ちも無くなり、弊社にとっても金銭的負担をなくせるのではないかという仮説を立てました。
さっそく、卒塔婆の1本売りを開始し、同時に無料サンプルの提供を廃止しました。
無料サンプルの提供を廃止したことで、多少のクレームが出ると予測をしていましたが、結果的にクレームは全くなく、むしろ、1本売りのおかげで、気兼ねなく、お試し購入ができとても有難いという意見をたくさんいただきました。
1本売りは50本入りに比べ、割高で送料もいただいているので、お客様からすれば、無料から1本売りに変更したことは、かなりの負担増となります。
しかし、金銭的負担よりも、心理的負担が無くなったことの方が大きく、その後、1本売りは大好評となりました。

消費者インサイトの見つけ方

消費者インサイトは顕在化していないので、見つけるのは極めて難しいと思います。
「卒塔婆屋さん」の事例では、消費者インサイトを見つけようとして見つけた訳ではなく、何気ないお客様との会話から仮説をたてて実行した結果、消費者インサイトに繋がりました。

消費者インサイトを見つけようと、お客様アンケートを取っても、そもそもお客様自信も気がついていないので、そのものずばりを教えてくれる訳ではありません。アンケートに書かれていることの背景や本質を見抜かないといけません。

消費者インサイトを見つけるには、常日ごろから自社製品には関係のないことであっても、様々な情報にアンテナを張り巡らし、特にお客様との会話の一言一句に神経を尖らせる必要があります。

優秀な営業マンは、話の引出しをたくさん持っていて、様々な話題でお客様のインサイトを引き出し、お客様が「この商品、このサービスが欲しかったものだ」という提案をしています。
では、こうした資質は生まれ持ったものかというとそうではなく、訓練で後天的にでも獲得できるのではないでしょうか?

私が考える、一番の訓練方法(心構えという方がしっくりくるかも)は相手への興味・関心をとにかく意図的に持つことです。お客様に興味・関心を持つと、「何を考えて居るのだろう」「どうすれば喜んでもらえるのだろう」など会話をしながら常に相手の心の内を考える様になります。
異性に対して、この人のことをもっと知りたいという感情に似ています。こちらが発言した際の、相手の声色の変化や、相対しているのであれば、一瞬の表情の変化など、興味を持っていれば見逃しません。
先ずはお客様に対して興味・関心を持ちましょう。

意外と単純なことかもしれない

後から考えると、卒塔婆をバラ売りするというアイディアは、本当に簡単、シンプルなもので、そんなこと誰でも思いつく様なものです。だけど、当時は何処もやってはいなかった。そして、需要は確かにあったということが全てです。

アイスクリームは16世紀には食べられる様になりましたが、今では当たり前となったアイスクリームのコーンが開発されたのは19世紀になってからです。
アイスクリームにコーンをつければ食べやすいということに300年もの間、人類は気がつけなかったのです。
今ではアイスクリームのコーンは世紀の大発明と言われています。

マーケティング調査などをして、色々とパラメータを弄って、小難しく考えるのも良いですが、シンプルに考える、馬鹿馬鹿しいほど単純なアイディアが実は消費者インサイトの核心ってこともあります。

単純すぎて、そんなこともう誰かがやっていると思って諦めないで、同様の商品やサービスが無いか調べて見ると、意外と誰もやっていないかもしれませんよ。

実行する際の障壁もある

消費者インサイトを貫いた素晴らしいアイディアが出たとしても、業界の常識や慣例にそぐわない場合は、凄まじい抵抗に合います。
消費者インサイトから少し脱線しますが、良いアイディアでも、障壁があるという例えをご紹介します。
セブンイレブンの歴史でよく語られる話ですが、以前はお店に商品を配送するのは、メーカーのトラックが主流で、1店舗に一日に40台くらい各メーカーのトラックが納品にひっきりなしに来ていました。これでは、どう考えても効率が悪いということで、競合する会社の商品であってもできる限り、一台にまとめて配送する共同配送というアイディアが出ましたが、ライバルの商品を一緒に運ぶなどトンデモナイとメーカー側から凄まじい反発が起きたそうです。
今では、当たり前となった共同配送で、メーカーにもお店にも、お客様にもメリットがあると思われることでさえ、当時は慣例やプライドといったものが障壁となり導入までに大変苦労したという事例です。
抵抗勢力に対しては理詰めで話しても、慣例やプライドなどといった、永遠に交わること無い、違った軸での話にされてしまうことが多く、非常に厄介です。
私も仕事ではないですが、某ボランティア団体で、誰にとっても良いと思われるアイディアを何ヶ月も協議して説明も尽くしたのにも関わらず、過去に例が無いなどという、意味不明な屁理屈により審議否決された苦い経験があります。
もうこれ以上話しても無駄と思ったら、役員会議などの審議案件で賛成多数でないと実行できない場合は、一旦退散して、冷却期間をおいてキーマンに根回しをした上で再び議題に上げる。審議案件でなければ強行突破して実績で抵抗勢力を押さえつける他ないと思います。

まとめ


消費者インサイトとはニーズとは違い、ニーズになる前段階であり、消費者自信も気がついていないこと、かつ、実行した際に期待した効果がきちんと得られるものを言います。そして、消費者インサイトを見つけるには、お客様への関心・興味を持つことが重要です。せっかく見つけた素晴らしい消費者インサイトに対するアイディアも、慣例やプライドといった、意味不明な屁理屈によって抵抗にあうことがあるというお話でした。


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