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ミラクルの連続。

8月某日。

「リフォームが終わったので、いつ見に来てもらってもだいじょうぶです」と、大家さんから連絡をもらう。くだびれていた壁、天井、床にはきれいにクロスが貼られていた。

どうせ内装工事をするのだから(剥がす可能性が高いということ…)貼らなくて良かったと思うし、何回かそれとなく大家さんには伝えたけれど、何せ契約はしていないし、この時点で申し込みすらしていないのだから強くは言えない。むしろ、きちんとした形で見てもらいたいという、やさしい大家さんの気持ちとして受け取ろう。

その後も、訪れるたびに冷たいお茶を出してくれたり、何よりビックリだったのが、内見をするたびにエアコンをつけていてくれたこと。夏の暑いさなか、空きテナントだから相当の暑さを覚悟していたけれど、汗ひとつかかないで済んだなんて、本当に奇跡だ。

大家さんは、おにぎりやができることをとても楽しみにしてくれているし、いつも帰り際には「気をつけてね〜」って手を振ってくれる。いままで賃貸住居で借りていた物件は大家さんと顔すら合わせたことがないこともあったから、大家さんと良好な関係を築けることは幸先がいいなと思う。

余談だけど、いま住んでいる賃貸住宅の大家さんもめちゃくちゃ良い人。古い家なので、ときどきガタが来る時がある。借主負担かなぁ〜と思いつつ大家さんにヘルプを出すと、すぐに直す手配をしてくれる。家と店は自転車で3分。このあたりの人は、良い人が多いんだな。

もう、この物件に申し込むとほぼ決めた頃、とりあえず設計士さんと内見に行った。設計士さんは、仲良くしてもらっている焼き菓子屋さんの内装を手がけた人。シンプルだけれど、ちょっとしたこだわりが随所にあって、とてもかわいらしいお店。それに、そこもおにぎりやのスタイルと一緒で、テークアウトオンリーの売り場兼厨房なので、やってほしいことが伝わりやすな〜と思った。

焼き菓子屋さんに紹介をしてもらって、「はじめまして」で現調に行って、こちらの予算を伝えて、それで受けてもらえるか検討をしてもらい、それから…という流れだった。けれど、現調の時に大家さんがいて、大家さんの旦那さんも出てきて。例のごとくお茶も出してくれて。大家さんが設計士さんと名刺交換をして、図面を渡して、どうなるの? どんなふうにするの? と、大家さんが設計士さんに質問責め。

設計士さん、おそらく依頼を受けるかどうか半分くらいの気持ちで現調に来てくれたと思うけれど、もう逃げられない。大家さんを含めて外堀りから埋めるような形になってしまっていた!
わたし的には、大家さんナイスアシスト!だったけれど(笑)。

いま考えると、受けてもらえて本当に良かったな。その後の何度かの打ち合わせで、ほ〜とか、へ〜〜とか、いろいろなアイデアをたくさんもらった。決して意見を押し付けるわけではないけれど、難しい部分はきちんと難しいと言ってくれたり、あれもこれもと言い出すわたしに、しっかりと優先順位をつけ直してくれたり。なるほど、ですよね〜という気持ちに落ち着かせてくれるのはありがたい。

わたしも以前は、お客さんのやりたいことや伝えたいことを聞いて、”言葉を通して”形にする仕事をしていた。今回、自分がお客さん側になり、以前のことを反省したり、あれで良かったんだなーと納得する部分もあったり。
技術的なことやアイデアはもちろんなのだけど、コミュニケーション能力が何よりも大切なんだなと改めて気づかされたり。

そういう意味でいうと、わたしはあまり、お客さんのやりたいや思いを聞いて形にする仕事は合っていなかったかもとイマサラ。本当にイマサラだけれど。自分はたぶん、我が強すぎる(笑)。

良き物件に巡り会えたことも、良き大家さんに巡り会えたことも、良き設計士さんに巡り会えたことも、その設計士さんを紹介してもらえたことも、思えばミラクルの連続。

さぁ、いよいよ来週、鍵の受け取りです!



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