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桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

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「鬼に会ったら逃げろ。絶対に戦うな」 剣聖と呼ばれた男の言葉である。     舞台は古代の日本。 人が鬼に支配された世界である。     そんな中、桃太郎が生まれた。 城下町で、… もっと読む
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記事一覧

桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」 ~あらすじ~

「鬼を見たら逃げろ。絶対に戦うな」 剣聖と呼ばれた男はそう言った。 舞台は古代の日本。…

#01│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

犬が握りつぶされた。 鬼たちの笑い声が響き渡る。 (絵本で読んだ鬼と全然違うじゃねぇか・・・…

#02│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

猿を探しに行く道中、転生した前後のことを思い出していた。 【桃太郎の回想】 名前は水島…

#03│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

「待ってくれ。敵じゃない」 両手を挙げて、敵意がないのを示す。 「ニンゲン、ダナ」 不明…

#04│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

竹を相手に、刀を袈裟掛けに振り下ろす。スコン、と軽い音が響き、竹は斜めに斬れた。 ここは…

#05│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

「――――て、―――しろ」 なるほど、それならやれるかもしれない。狙うは、鬼の左脚だ。 …

#06│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

「なぁ楽丸、口くさいかな?」 帰りの道中は、さっきの少女のことで頭がいっぱいだった。 「そんなことないわ。あんな性格の悪いクソ少女のいう事は気にしたらあかん!」 楽丸に続き、雉彦も励ます。 「桃太郎さんの口はクサくないですよ。桃太郎さんの口は、ね」 と言って、雉彦は楽丸のほうをチラッチラッと見た。楽丸が噛みつこうと飛びつく。 喧嘩をはじめた両者を無視し、歩を進めた。 気分転換というより、逆に落ち込んだぜ。この世界、歯ブラシねぇんだから多少の口臭は仕方ないだろッ。

#07│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

猿飛が柱に線を刻む。「正」の文字は、六つになった。復活した回数を数えているのだ。 「三十…

#08│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

「なんだよ、これは・・・・・・」 長く続いた曲道の先には、開けた空間があった。そこでは、おびた…

#09│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

弟・・・・・・? どうしてそんな大事なことを早く言わなかったんだ。 「ワシとしても、うしろめた…

#10|桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

大きな馬が、顔と顔が触れ合わんばかりの勢いでお願いしてきた。 「うわ!」 桃騎の家から一…

桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

【猿飛の回想】 馬南の背に乗って鬼たちの城に向かいながら、私はオジイサンと会ったときのこ…

#11│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

それは、純和風の城だった。 近づくと、その大きさがわかる。石垣だけでもビル三階分はありそ…

#12│桃太郎「鬼が自分の9倍強いうえに9999匹いるんですが」

雉彦が赤鬼の目をつつきにかかる。赤鬼は 嫌がって両腕で払いのけようとする。 「いけッ」 猿飛の指示がとぶ。鬼の両腕が上がった今、攻撃される恐れは、ない。 刀で鬼の右足首を斬りつける。 オバアサン渾身(こんしん)の一刀である『一期一腰”は、鬼の肉に阻まれることなく振り抜けた。 (いける!) 一期一腰は、関孫六以上に鋭い。 反対側の足首に楽丸が噛みつく。 鬼の意識が足首に移るやいなや、雉彦は再び目を狙う。目つぶしは成功しないが、鬼の意識は分散できていた。 「効いてるぞッ