あべこべでうらはら

高校時代3年間サッカーをかじっていたので、縁があり去年のGWから知り合いのフットサルチームに入れてもらった。高校以来のまともな運動で初回は散々だった。空振り、オウンゴール、あげくに足をつってしまった。「役立たず!」「へたくそ!」「お前がいると迷惑だ!」と心の中で自分へのヤジが鳴り止まなかった。私の心の声はなぜか常にアウェーだ。

あまりの恥ずかしさに早く終わってくれと思っていたら、最後に「足をつるまで走ろうって思う気持ちが偉いよね!おじさん達は無理無理」と笑って励ましてくれた。自分では思いつかないような温かい言葉をかけてもらって、私は大きな衝撃を受けた。アウェーだったのは自分の中だけで、ここはどうやらホームらしい。

それ以来定期的に参加しており、昨日も行ってきた。

5チーム総当たりで、女子は1チームに1人。男性はみんなそこそこ上手なので、チームの戦闘力は女性陣の能力の差によって決まるような気がしている。周りの女性は確実に私より上手なので、私がいる時点でチームは完璧に不利だと毎回申し訳なく思う。

チャンスを潰した自覚は5回以上ある。頭の中ではヤジの声がだんだん大きくなってきた。もしかしたら他の人は毎週このためにコンディションを整えてきているかもしれない。私のチームになったばかりに申し訳ない。ぼーっとしてないで他の上手い人のプレーみて勉強しやがれ!みたいなことを考えていた。でもそれとは裏腹にホームの私は、目の前で起こる面白いやりとりを見て大袈裟に笑ったり、周りを盛り上げたりもしていた。

アウェーではゴミが投げ込まれはじめたころ、ホームでは私が女王様ポジションのノリがはじまり「罰ゲームはダッシュ10往復でいい?」と確認された。どうやら今回、最下位には罰ゲームとしてダッシュ10往復があり、プラス女子5人にスタバを奢らなければならないらしい。そして、それを聞かされてた時点で私のチームはビリだった。女王様は自分のチームに与える罰を決めていた。

残り時間でラストのゲーム。順位はビリで確定してしまったが、ここで勝つとダッシュ10往復が5往復に減るらしい。結果をいうと、私のドリブルからのシュートが決まり、勝つことができた。ヤジは鳴り止んだが、ホームではますます女王様キャラを定着させることとなった。

「はい、ビリのチームはダッシュ!」と言われたので、一番迷惑をかけたのだからダッシュくらい頑張ろうと位置につこうとすると、「女子はいいの!」と言われてしまった。足を引っ張っていた人間が傍観し、試合に貢献していた人間が罰をうけるなんて心苦しすぎる!と思ったけど、女性陣に罰ゲームをさせると笑えなくなるというのも理解はできたので、抵抗しつつ引っ込んだ。想像以上にきつそうだったダッシュ5往復で、ヘトヘトになった4人。私のせいで大変申し訳ないとおもいながら「今日はこのくらいにしとくわ」と言っていた。毎回恒例の1位とビリの集合写真では、男性陣4人が正座で私がご不満な構図で写真を撮る羽目になった。

このあとビリにくせに女性のメリットとしてスタバをおごってもらえるということだったが、歯医者があると嘘をついて早く帰った。せめて一人分のスタバ代を浮かせることでビリとしての罪悪感を払拭したかった。すんなり帰ることに成功したので、前回アイスラテを飲みながら帰ったときよりもご機嫌で帰った。


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