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【SS】雨の日は嫌い

 最近、特に雨の日が嫌いになってきたように思う。

 冬の寒い時期だけど日が差して穏やかな暖かい日々が続いていたが、昨日の夜から今朝にかけて雨になった。午後からは強風になっていくようだ。私は、雨の日があまり好きではない。どんよりとした空で昼間でも薄暗く感じるような雰囲気があまり好きにはなれない。特に冬の雨の日は気温も下がり余計に動きたくなってしまう。どうせなら、白くうっすらと積もるくらいの雪になってくれた方が、明るくなって心も弾んでくると思っている。

 小さな頃はどうだったのだろうか。幼稚園から小学生にかけては、小さい傘を振り回しながら長靴を履いて、わざと水たまりにジャンプして遊んでいたことを思い出す。あの頃は雨が嫌いじゃなかったな、それどころか楽しかったから好きだったのかもしれない。遊んだ後は決まってお母さんに叱られてもいたな。着ていた服に泥が跳ね真っ黒に汚していたから。いや、真っ茶色の方が近いかな。

 いつから雨の日が嫌いになったのだろう。中学生の時は、雨の日でも気にせずに海に出て遊んでいたし、雨が強い時は小さな川のような溝から水が溢れ出すのが面白いのでよく見に行っていた。しかし、高校生になると、髪や服が濡れることが嫌いになったような気がする。髪を伸ばし、私服にちょっとこだわりが出始めてきた頃だ。きっとこの頃から雨が嫌いになっていったのかもしれない。

 今は若い頃ほど髪型や服装を気にしているわけでもない。でも雨の日は何となく嫌いなままである。なぜなのだろうか。やはり、太陽が出た時の爽快感がないからかもしれない。あの暗くどんよりした空はなぜか寂しくなってしまう。

 いやっ、何かもっと違う理由があるような気がする。雨が降ると、窓ガラスが汚くなる。窓ガラス越しに見る景色が綺麗ではなくなるのだ。雨が止んで晴れあがった後も風と雨で汚れた跡が窓ガラスについたままになり綺麗な景色を見ることができなくなっしまう。特に風が強い日に降った強い雨の日の後は。我が家の窓ガラスには横殴りに泥水を吹きつけたような跡が残ることがある。窓の外側は自分で掃除できない構造になっているので汚れたままだ。ベランダがない窓なのでどうしようもない。定期的に上からロープでぶら下がったお兄さんたちがガラスの外側を掃除してくれるが、それは3ヶ月に一度。次の窓掃除がくるタイミングまで綺麗な窓になることを我慢しなければならないのだった。

 そうか、最近、特に雨の日が嫌いなのは、きっと窓ガラスが汚れて景色が綺麗に見えなくなるからだ。どうということのない理由にたどり着いて自分自身で納得してしまった。ふと窓の外を見ると、強風が吹き荒れ始めてきた。今日もまた窓ガラスが汚れてしまいそうな予感がする。

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