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【SS】帰って来たよ

 世界は退廃してしまった。人は安全を求めて大陸の奥地へと避難してしまった。でも、私は、生まれ育ったところに帰りたかった。そう、この都市に。

 この都市への入り口には赤いスクエアのゲートがある。元々は燃えるように赤く輝くゲートだった。誰しもがこのゲートを目指してやって来ていた時代が懐かしい。ゲートの下に立って目を閉じるとあの輝かしい街の景色が瞼の裏に蘇る。今となっては見る影もないが、絶対に復活できるはずだ。人間はそんなに弱くはない。

 私が普段生活していたアパートにはすでに水が入り、とても住めるような場所ではなくなっていた。でも、私はこの街がすきだ。なんとかして復活させたい。私はもはや完全な人間ではなくなっている。半分は機械になって命を繋いだのだ。私の脳も半分はAIが補ってくれている。私の持っている知識とAIの中に蓄積された世界中の知識を融合させ、なんとか街を元通りにして、みんなにもう一度帰って来てもらいたい。それが、私の夢だ。絶対に誰にも邪魔させはしない。たとえエイリアンであったとしても。

 こんなに荒れ果てても空は青く、水は澄んでいる。絶対にここでの生活を実現させてやる。私はそう自分に言い聞かせ、かつてのロボット工場に向かい、使える部品を探し出して作業用ロボットを必死になって作った。そして、瓦礫を片付け、住める場所を探し、少しずつ街の景観を取り戻す目処がついて来た。するとどこからともなく同調してくれる人たちが集まり、協力体制ができて来た。武器を準備するチーム、住宅を復元するチーム、食糧を調達し水耕栽培を実施するチームが並行して動き始めた。これならいける。そう確信した。

 もともとは、エイリアンの襲撃によって壊された街だったが、シールドを強化しエイリアンの弱点を見つけ、攻撃する装置も街の周りに配置した。これで、空からの攻撃も地上からの攻撃も海からの攻撃にも耐えられる装備が揃った。街の安全性は格段に上がり、みんなが避難している場所よりも安全な場所変貌しつつあった。

 手伝ってくれたみんなは私に市長になってほしいと言っている。しかし、私はその申し出を断った。ここまで来れたのはみんなの協力のおかげであって私一人の力ではないし、今や世界中でエイリアンの攻撃を受けて破壊されて放置された都市がまだまだたくさんある。私は、世界中を回る決断をした。今大切なことは、地球全体で協力する体制を作ることだと思ったから。

 私の使命は地球を守って元の状態に復帰することだと、私のAI脳が私に言っている。だから私はチームを作った。20名の精鋭で構成する地球防衛チームだ。これからは、エイリアンを撃退し元の平和な地球を取り戻してやる。

 私たちは、赤いゲートにそう誓って出発した。


 AIで書かれた絵を元にショートショートを作ってみました。これは、あずみのさんが考えられたイベントです。魅力的な絵がたくさん掲載されていて、大変迷いましたが、赤いゲートがふと目に止まり、物語を作ってみました。


この素晴らしいイベントに投稿してみました😊


#AIアートイベント #創作 #ショートショート

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