サイトスペシフィックな演劇へ
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サイトスペシフィックな演劇へ

 演劇は、観る人のさまざまな状況に応じて多様なメッセージが伝わっていくと思います。ハッピーな時にハッピーな演劇を観たら、よりハッピーになるでしょうし、沈んでるときにハッピーな演劇を観たら、もしかしたら、さらにゲンナリするかも知れません。観ている作品は同じでも、劇場ごと体験する演劇は、映像作品に比べて人に対しての侵襲性が高いのだと思います。

 実際、リアルで会議を行う場合と、オンラインで行う場合とでは、話の伝わり方が全く違いますし、ちょっとした話の機微で感情が振り回されるというようなことも、オンラインでは少なくなります。平面を見るか空間に入るかで全く感じ方が違うのは、至極当然のことです。空間ごと体感する演劇は、その空間づくりが何よりも重要で、目や耳や頭で感じるものよりも、より強く影響していきます。だからこそ、演劇ではサイトスペシフィックを、しっかり考える必要があると思います。千人規模の観客が入るような劇場での演劇に比べて、小さな規模で細かな機微を楽しむような演劇の場合には、特にその点に目を向けることはとても大切です。

 オンラインで配信することを前提に考えていた劇団オンガクヤマ第9回公演「山家の猿」は、都心から離れ、サイトスペシフィックにこだわった演劇として、兵庫県丹波篠山市でリアルの公演を行うことにしました。この地にある人や自然、気候や文化、この地が持っているさまざまな魅力に溶け込んで、一つになっていくような感覚の中で、観客のみなさま一人ひとりが、この作品の当事者となりながら楽しんでいただけることを考えています。会場の中に入って観ていただくことで、もっとも楽しい体験ができる作品にしようとしています。

 でも、COVID-19の社会的約束は、社会で演劇をやる限り、最大限に果たしていく必要があります。もし会場で観ていただくことがかなわない状況になったら、このサイトで配信を行う予定です。そうなったら空間ごと体験することは、できなくなってしまいます。しかし、一方で、サイトスペシフィックとは何かを、改めて見つめなおす機会になるとは思います。この経験は、観る側も、する側にもとても大切な体験で、すでに、さまざまな局面で体験していることではありますが、演劇においてどのような体験になるのかを確かめる意味でも、大切なことだと思います。この先のリアル、オンラインハイブリッド社会における演劇はどうあるべきなのかは、こんな小さなトライ&エラーを繰り返していきながら探していくことなのだと思います。(泉 湧々)


劇団オンガクヤマ第9回公演「山家の猿」

【日時】 2021/08/21 (土)  ①13:00~ ②17:00~
     ※開場は開演の30分前 ※公演時間約90分
【会場】 丹波篠山市民センター 2F 多目的ホール
     (〒669-2321 兵庫県丹波篠山市黒岡191)
【出演】 井上かずみ、向井克仁、宮垣安伸、三和久実花、
     もりあゆみ、市田丈、谷田聖璃、中野彰夫
【作・演出】 泉湧々 【演出助手】井上奈美
【チケット】 前売 1,000円 / 当日 1,200円 

【あらすじ】
穏やかな農村で、農業の大敵であるサルが、農作物を喰い荒らすという害獣被害が起きる。猪や鹿、アライグマなどの害獣とは違い、頭がいいサルの対策は容易ではない。被害を受けた農家は緊急対策会議をするために公民館に集まる。害獣対策の専門家は適切な対策方法を論理立てて話すが、被害を受けた当の農家らは、なぜか歯切れが悪い。この地域には、サルを、ただの害獣として片づけられない、複雑な事情があったのだ。それは神社の古文書に記された、猿神の伝承に関わることだった。
そんな中、問題のサルが、公民館のすぐそばに群れを成して現れる。追い返そうと若手農家が飛び出すが、そこで皆が恐れていたことが起こってしまう。伝承に記されたかのような変化が、じわりじわりと広がっていく。
すべては、猿があらわれたことからはじまっていたのだ……


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