統計からみる!ビジネスとして魅力ある習い事は何?

ビジネスとして成立するか否かを決める、
重要な要因の一つが、
需要と供給のバランスです。

需要に対して供給が大きければ大きいほど、
ビジネスとしての成立させるのが難しくなります。

なぜなら、

同業他社との競争が激しく、
顧客の獲得が困難で、
利益の取り合いになる市場だからです。

反対に、
需要に対して供給が少ない場合、
ビジネスチャンスになります。

習いたい生徒はたくさんいるのに、
教えられる先生が一人しかいなければ、
その先生が総取りできるわけです。

また、競合がいなければ、
価格設定やサービスについて他からのプレッシャーがありませんから、
自分のやりたいようにできます。

というわけで、
ビジネスとして魅力があるのは、

需要>供給

の市場といえるでしょう。

今回は、最新の経済センサス活動調査の結果から、
ビジネスとして魅力ある習い事は何なのか、
需要と供給のバランスという視点でみていきます。

※今回取り上げる習い事とは、経済センサス活動調査産業分類より、塾、音楽教授業、書道教授業、外国語会話教授業、スポーツ・健康教授業、生花・茶道教授業、そろばん教授業、以上7種類の習い事です。

■裾野が広いのは「スポーツ・健康教授業」と「塾」
まずはじめに、
それぞれの習い事の、
需要の大きさを比べてみましょう。

ここでは、(潜在需要の事はひとまず置いておき)

需要=受講生数 と考えます。
受講生数が多いということは、
裾野が広い習い事だといえます。

裾野が広い習い事ランキング(受講生数)
第1位 スポーツ・健康教授業 1,812,333人
第2位 塾 1,811,478人
第3位 外国語会話教授業 697,906人
第4位 音楽教授業 602,359人
第5位 書道教授業 79,324人
第6位 生花・茶道教授業 50,631人
第7位 そろばん教授業 42,951人
(平成28年経済センサス活動調査より)

手前味噌ですが(笑)、音楽教室は習い事の中で受講人数が多い方ではないかと、
なんとなく思っていたのですが、

この統計結果によると、
外国語会話と音楽が同人数程度、
その3倍近い人が、塾やスポーツ・健康教授業に通っていることになります。

■厳しい「そろばん」・魅力的な「生花・茶道」
次に、需要と供給のバランスをみていきます。

受講生1000人あたりの事業所数で比べてみましょう。

この数が大きいほど、
需要に対して供給が大きい=同業他社との競争が激しい
ということができます。

競争の激しさランキング(受講生1000人あたりの事業所数)
第1位 そろばん教授業 13.8事業所
第2位 塾 10.1事業所
第3位 外国語会話教授業 7.0事業所
第4位 音楽教授業 5.3事業所
第5位 書道教授業 2.8事業所
第6位 スポーツ・健康教授業 2.3事業所
第7位 生花・茶道教授業 1.5事業所
(平成28年経済センサス活動調査を基に筆者が算定)

私事ですが、音大を卒業した時に親戚から
「いいピアノの先生はたくさんいるから大変ね。(=ピアノの先生で食べていくのは大変よ。)」
と言われたことがあり、若干トラウマになっていたのですが(苦笑)、

これをみると、
取り立てて音楽教室が、需要に対して供給が大き過ぎるとは言えませんね。
一番厳しいのはそろばんです。
裾野は狭く、過当競争。

最後に、お金の動きの大きさをみてみましょう。

ここまでのランキングをみると、
「スポーツ・健康教授業はいいなぁ」と思われませんでしたか?
裾野は広く、競争もそれほど激しくない。
しかし、
1従業者あたり売上金額をみると、
我らが音楽教授業が、スポーツ・健康教授業のそれを大きく上回っています。

理由は、
1受講生あたり売上金額や、従業者数が異なるためです。

例えば、
そろばんは一般的に、塾より月謝が安いですよね。
(これは価値の大小ではなく、商習慣等、一口に説明できない要因によるものです。)

詳しくは経済センサスの統計結果をご覧いただくとして、
さいごに、1従業者あたり売上金額をご紹介しましょう。

お金の動きの大きさランキング(1従業者あたり売上金額)
第1位 生花・茶道教授業 13,142,466円
第2位 音楽教授業 8,369,580円
第3位 外国語会話教授業 7,155,738円
第4位 スポーツ・健康教授業 5,283,353円
第5位 書道教授業 4,327,884円
第6位 塾 4,029,904円
第7位 そろばん教授業 2,123,540円
(平成28年経済センサス活動調査を基に筆者が算定)


今回比較した7種類の習い事の中で、
需要・供給の観点から最も魅力的だと思われるのは、
生花・茶道教授業です。

裾野は狭いですが、供給も少ないために、
1従業者あたりの売上金額がとても高くなっています。
魅力的なニッチ市場です。

一方厳しいのは、先ほども挙げたそろばんです。

裾野は狭く、供給は過大。
1従業者あたりの売上金額も、
比較した中で一番低くなっています。

今回の結果からみると、
音楽教授業は、
まずまず魅力的な習い事市場といえるのではないでしょうか。

■おわりに
いかがでしたか?
統計をみると、
肌感覚とは少し違った景色がみえて、面白いですよね。

今日は、最新の経済センサス活動調査の結果から、
ビジネスとして魅力ある習い事は何なのか、
需要と供給のバランスという視点でみてきました。

今後も独自の視点で、
音楽家にとって興味深いデータをご紹介していきますので、
楽しみにしていてくださいね。


それでは今日はこの辺で。

今号も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回配信をお楽しみに!

今日も素敵な音楽を奏でましょう♪
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この記事は、メールマガジン「音楽家の仕事術」vol.95より、2020.10.15に配信したものです。

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